最終更新日:
マンションや一戸建ての購入は大きな買い物です。
そのため住宅ローンを借り入れる方が多いですが、毎月しっかり返済できるのか不安になることもあると思います。
特に子育て中の家庭だと教育費が必要になるので、家を買うことに慎重になっている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、子育てにかかる費用や住宅ローンの基礎知識、注意点などを解説します。
目次
1. 子育てにはどれくらいお金がかかる?
子育てに必要な費用はどれくらいなのでしょうか。
子どもというとまずは「教育費」を思い浮かべる方も多いと思いますが、それ以外にも食費や衣服代など、生活をしていく上で様々な費用が必要となります。
今回は大きく分けて「教育費」と「(教育費を除く)養育費」について見ていきます。
教育費
文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、年間の「学習費総額」※の平均は以下のようになっています。
※学校教育費・学校給食費・学校外活動費(塾や習い事)のこと
幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高校 | |
---|---|---|---|---|
公立 | 165,126円 | 352,566円 | 538,799円 | 512,971円 |
私立 | 308,909円 | 1,666,949円 | 1,436,353円 | 1,054,444円 |
また、日本学生支援機構の「令和2年度学生生活調査結果」によると、大学の教育費等(授業料・修学費・通学費等)は以下表のようになっています。
年間の教育費等 | |
---|---|
国立 | 592,000円 |
公立 | 605,000円 |
私立 | 1,310,700円 |
近年は大学進学率が50%を超えています。
大学に行かない場合でも短期大学や専門学校に進学するなど、高等教育機関への進学率は8割を超えています。
そのため、高校卒業後の教育費についても念頭に入れる必要があります。
教育費は公立と私立で大きく差がありますが、すべて公立で4年制大学に進学した場合でも、800万円以上がかかります。
すべて私立だと、なんと2300万円以上です。
また、大学院に進学する場合や留学をする場合は、別途費用がかかります。
子ども一人当たり、教育費は約1000万円ほど必要だと思っていた方が良いでしょう。
養育費
養育費とは子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用で、衣食住に必要な経費や教育費、医療費などがこれに含まれます。
教育費については先ほど解説したので、今回は教育費以外に生活で必要な費用について見ていきます。
内閣府の「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」によると、未就学児から中学生までの年間子育て費用額の平均は以下表のようになっています。
なお、小学生と中学生については、学校教育費・学校外教育費・学校外活動費は除外しています。
年間の養育費 | |
---|---|
未就学児 | 1,043,535円 |
小学生 | 847,225円 |
中学生 | 975,565円 |
この調査は2009年に行われたので、幼保無償化などの制度が始まる前のものになります。
子ども医療費助成等の各種制度や物価など今とは違う点もありますが、子ども一人当たり年間約80~100万円弱必要ということが分かります。
どの項目の割合が大きいのかは年齢によって違いますが、年齢が高くなるほど食費の割合は増えています。
その他詳しい結果については、内閣府の「調査結果」をご確認ください。
2. 住宅ローンの基礎知識
次は住宅ローンについて見ていきましょう。
住宅ローンとは、住宅を購入・改築等するにあたって金融機関から受ける融資(ローン)のことです。
各金融機関には、複数の住宅ローン商品があります。
商品ごとに条件や金利は様々で、また、同じ金利タイプであっても金融機関ごとに金利は異なります。
住宅ローンの金利プラン
住宅ローンは、大きく分けると主に3つの金利プランがあります。
- ● 変動金利
- ● 固定金利(期間選択型)
- ● 固定金利(全期間型)
それぞれの特徴は以下のようになっています。
変動金利と固定金利(期間選択型・全期間)のメリットとデメリットはこのようになっています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
変動金利 | ・金利が低いため3つのメリットがある ①返済額が抑えられる ②借入金額が増やせる ③審査が通りやすい ・返済リスクに対する2つのルールがある ・しばらく金利が変動していない |
・返済額が上昇するリスクがある ・常に金利情報をチェックする必要がある ・2つのルールで援助された返済額は 最終時に支払わなければならない |
期間選択型 固定金利 |
・好きな期間だけ金利を固定できる ・期間終了後に変動か固定を再度選べる ・全期間型と比べて金利が低い |
・変動金利より金利が高い ・期間終了したら再度金利プランを 検討しないといけない ・当初の金利が低くても、期間終了後に 引き下げ幅が少なくなる可能性がある |
全期間 固定金利 |
・全期間返済額が変わらなくて安心 ・金利の変動をチェックする必要がない ・フラット35が使える |
・他の金利プランよりも金利が高い ・金利の上昇がないと支払額で損をする |
変動金利の大きな魅力は低金利なことです。
現在は特に金利が低いので、変動金利を選択している人が一番多いです。
期間選択固定金利は、好きな期間だけ金利を固定することができます。
全期間固定金利よりも金利が低いので、子どもの教育費がかかる間は固定金利にする方もいます。
全期間固定金利は他のプランより金利が高いですが、返済額が一定なので安心です。
また、全期間固定金利のフラット35には「地域連携型(子育て支援)」という商品があり、子育て支援の場合は当初10年間は年0.25%引き下げがあります。
利用要件など詳しいことは、フラット35の説明ページをご覧ください。
変動金利と固定金利の違いについては、以下の記事でも解説しています。
住宅ローンは年収に対してどれくらい借りられる?
住宅ローンを借り入れするときに、年収に対して最大でどれくらい借りられるのでしょうか。
住宅ローン審査時には、「返済負担率」がチェックされます。
返済負担率とは、年収に対して年間どれくらいの割合で住宅ローン返済するかを示すものです。
例えば年収600万円の人が毎月14万円返済する場合の返済負担率を計算してみましょう。
金利が0.4%の場合、約5500万円を借り入れると毎月の返済額が約14万円になります。
- 年間のローン返済額÷年収×100=返済負担率
- (140,000円×12ヶ月)÷6,000,000円×100=28%
住宅ローン審査における返済負担率は金融機関ごとに設定されています。
返済負担率を超えている場合は、希望額の借り入れができません。
住宅ローン審査時の返済負担率は、25%~35%以内に設定されていることが多いです。
全期間固定金利のフラット35では、以下のようになっています。
年収 | 返済負担率 |
---|---|
400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上 | 35%以下 |
このように、年収やその他条件によって返済負担率が違う場合もあります。
返済負担率から借入可能額を計算できるシミュレーションサイトが複数ありますので、どれくらい借入れできるのか是非試してみてください。
ただし、いくら借り入れるのかについては、今後のマネープランを踏まえてしっかり検討しましょう。
特に子育て世帯だと、子どもの年齢によって支出額が異なります。
詳しくは、後半で解説します。
3.子育て世帯の住宅ローンシミュレーション
それでは、実際に子育て世帯が住宅ローンを借り入れた場合、どのような家計状況になるのか見ていきましょう。
以下の条件で、子どもの年齢や入学校別にシミュレーションしてみます。
- ● 世帯年収800万円
- ● 借入金額5,000万円(返済負担率19.14%)
- ● 35年ローン
- ● 変動金利(0.4%)・元利均等
- ● マンションを購入し、毎月管理費・修繕積立金等として28,000円支払うとする
会社員の場合、給料から税金や保険料を差し引かれた金額(いわゆる手取り)が振り込まれます。
一般的に、手取りは額面の約8割前後と言われています。
世帯年収800万円でボーナス無しの場合、月々の額面給与は約66万円で、手取りは約53万円です。
夫婦・子ども1人(8歳・公立小学校)世帯
内容 | 金額 |
---|---|
月々の住宅ローン返済額 | 127,595円 |
管理費・修繕費等 | 28,000円 |
子どもの教育費※1 | 29,380円 |
生活費※2 | 305,652円 |
手取りから上記金額を差し引いた残金 | 39,373円 |
夫婦・子ども1人(13歳・公立中学校)世帯
内容 | 金額 |
---|---|
月々の住宅ローン返済額 | 127,595円 |
管理費・修繕費等 | 28,000円 |
子どもの教育費※1 | 44,899円 |
生活費※2 | 323,325円 |
手取りから上記金額を差し引いた残金 | 6,181円 |
夫婦・子ども1人(13歳・私立中学校)世帯
内容 | 金額 |
---|---|
月々の住宅ローン返済額 | 127,595円 |
管理費・修繕費等 | 28,000円 |
子どもの教育費※1 | 119,696円 |
生活費※2 | 323,325円 |
手取りから上記金額を差し引いた残金 | -68,616円 |
※1 「令和3年度子供の学習費調査」の「学習費総額」から算出
※2 子どもについては、「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」の年齢別費用から、教育関連費用及び子どものための預貯金保険を除いた金額を算出。
大人については、「令和5年7月家計調査」を基に教育費・住居費を除いた金額を算出。
シミュレーションした結果、子どもが公立小学校に通っている場合は毎月約4万円の余裕があります。公立中学校の場合は何とか家計は黒字、私立中学校の場合は約7万円弱も不足することになりました。
このように、同じ子育て世帯でも毎月の支出額は年齢や学校選びによって大きく変わることが分かります。
4. 子育て世帯が住宅ローンを借り入れる場合の注意点
最後に、子育て世帯が住宅ローンを借り入れる場合はどのようなことに注意すべきなのか、見ていきましょう。
変動金利や期間選択型金利の場合、金利が変動することを念頭に置く
全期間固定金利タイプは金利が一定ですが、それ以外のプランにおいて金利は変動します。
今は全体的に低金利で、特に変動金利は超低金利となっています。
しかし、固定金利は昨年から少しずつ上昇しています。
変動金利についてはほとんど変化はありませんが、今後もずっと低金利が続いていくとは限りません。
住宅ローンは返済期間が長いです。
そのため、金利が上昇して返済額が上がる可能性があるということを心づもりしておきましょう。
なお、変動金利(元利均等返済)には、返済額が一気に上がることを防ぐための「125%ルール」と「5年ルール」があります。
「5年ルール」とは、金利が上がってしまっても5年間は返済額が変わらないというものです。
また、「125%ルール」により金利が上昇しても前月の返済額の125%以上にはなりません。
これらのルールがあるので、前の月に比べて一気に返済額が跳ね上がるということはありません。
ただし、急激な上昇が続くと返済額に占める利息の割合が大きくなってしまいます。
毎月の返済ですべて返せなかった場合、残りの元金と未払い利息は最終返済時に請求されます。
金利が変動するプランは固定金利に比べて低金利なので魅力的ですが、このようなリスクがあるということも理解しておきましょう。
借入れ金額を決める前に、マネープランを立てる
同じ年収で同じ金額を住宅ローンで借り入れていても、子育て世代かどうかによって返済の余裕は大きく変わります。
先ほどシミュレーションした結果からも分かるように、一般的には、子育てに必要な費用は年齢が上がるほど多くなります。
借入時には毎月の返済に余裕があっても、子どもの進学先によっては返済が困難になることもあります。
そのため、借入金額を決める前にまずはマネープランを立てましょう。
その際には子どもの私立受験や習い事はどうするのかなど、教育の方向性についても考えることが重要です。
子どもの進学先がどうなるのか、未来のことなので確定はできません。
「子どもは幼稚園から大学まですべて国公立にしよう」と決めて計画を立てても、本人の希望やそのときの状況によって変わることも十分ありえます。
しかし、だからといって無計画で良いというわけではありません。
まずは子どもの成長に必要な費用を把握して、貯金や積み立てがどれくらい必要なのか計算をしましょう。
その上で、借入れ金額が適切か検討することが大切です。
資産価値の高い家だとリスクヘッジになる上、住み替えのときも安心
マネープランを立てて適切な金額を借り入れても、予想外のことが起きて返済ができなくなることがあります。
その場合、まずは返済方法の見直しや住宅ローンの借り換えを検討することになりますが、それらが難しい場合は家を売却するということになるでしょう。
このとき売却額よりも住宅ローン残債の方が多ければ、自己資金から補填する必要があります。
しかし、資産性が下がりにくい家であれば、売却額で住宅ローン残債を完済できる可能性が高いです。
また、購入当初は十分な広さだと思っていたけれど、子どもの成長に伴って手狭になるというケースが多くあります。
逆に、子ども部屋が必要なので広めの住宅を購入したが、子どもが一人暮らしをするので部屋が余っているということも。
これらのケースの場合は住み替えを検討することになりますが、その際にも資産価値の高い家の方が住み替えをしやすいです。
家が欲しいと思ったときに、「住みやすさ」や「周囲の環境」など様々な観点を踏まえて検討すると思います。
その際に、「資産価値」についても注目をすると、いざというときのリスクヘッジになるでしょう。
資産価値について、詳しくは以下の記事で解説しています。
資産価値の下がりにくいマンション・一戸建ての選び方!「資産価値」は何故重要なのか?
2021/8/30
資産価値が将来の安心・万が一の備えに繋がる理由と、資産価値のある家を選ぶ方法を詳しく解説していきます。
5.まとめ
本記事では、子育てにかかる費用や住宅ローン借入れ時の注意点について解説しました。
今回はご紹介しませんでしたが、自治体は独自で子育て家庭支援制度を行っています。
制度の内容や支援の手厚さは自治体によって異なりますので、マイホーム選びの際はぜひ調べてみてください。
お子さんが生まれ、購入を検討している方へ
夫婦二人の暮らしからお子さんが生まれたことで、マイホーム購入を検討し始めた方も多いのではないでしょうか。
「住まいサーフィン」では、子育て中の皆様向けにマイホーム購入の基礎知識をご案内しています。
子育て世帯の平均年収から見たマイホームの購入目安金額、住宅ローンの借り入れ事情、初期費用など、マイホーム購入に役立つ内容となっております。
下記のボタンから是非ご覧ください!
また、住まいサーフィンでは、マンション購入や売却、分譲戸建て購入検討者向けサービスをご用意しています。
例えば、新築マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?
- ● 「将来値下がりしないか心配。10年後に価格がいくらになるのか簡単に分かったら良いな」
- ●「万が一売ることになっても、売却額より住宅ローン残債の方が多かったらどうしよう。売却時点の予想利益が分かったら良いな」
住まいサーフィンの各物件詳細ページでは、将来の資産性が一目で判断できる「沖式マンション10年後予測」を無料公開しています。
「値上がりシミュレーション」機能を使えば、5年後・10年後の将来価格をベストケース・標準ケース・ワーストケースの3つのシナリオで具体的にシミュレーションできます。
物件価格や金利を入力すればその場で自由にシミュレーションできるので、購入するべきか悩んでいる方にぴったりです。
さらに、「含み益シミュレーション」機能では、値上がりしたマンションを売却した場合に、実際に得られる利益を試算した結果を確認できます。
「沖式マンション10年後予測」の活用方法は、下記の動画でさらに詳しくご説明しております。
でもなぜ、住まいサーフィンでは将来予測ができるのか?と疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
そこには、住まいサーフィンにしかない3つの理由があります。
住まいサーフィン独自の特徴
- 1.広告サイトではないため、売主への忖度が不要
- 2.サイト開設25年と老舗であるが故に、過去から蓄積されたビッグデータを保持・分析している
- 3.不動産業者、金融機関、REITといったプロにコンサル及び情報提供している精緻なデータを活用している
しかしなぜ、こんなに有用なデータを無料で公開するの?と怪しく感じる方もいるのではないでしょうか。確かに怪しいですよね。
その理由として、住まいサーフィンを開設した代表の沖有人が掲げる理念があります。
それは不動産売買における情報の非対称性を無くすことです。
昔から、不動産業者は売り手に不利益となる情報を隠すため、騙されて損をする消費者が後を絶ちません。
そんな消費者を減らすために、住まいサーフィンで購入に役立つ情報を無料公開し、理論武装してほしいとの思いがあります。
住まいサーフィンは、購入検討する全ての消費者に情報を活用してもらうため、有料ではなく無料で情報提供を行っています。
ただし、運営にはお金がかかります。
そのため、不動産業者や金融機関等の企業にコンサル提供を行い利益を得ることで、住まいサーフィンの無償利用を実現しています。
無料会員登録するだけで、全ての情報が確認できリスクなく始められます。
退会も簡単に出来ますので、まずは気軽に登録して、マンション購入を成功させましょう!
簡単無料登録はこちらから!
マンション購入に役立つコラム記事
- SUUMOとの違い
- 資産性とは?
- 購入メリット
- 購入の流れ
- 最適な購入時期
- 必要な初期費用
- 女性のマンション購入
- 独身のマンション購入
- 中古マンション失敗談
- 築20年マンション
- マンションと戸建て比較