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寒くなってくると気になるのが床下からの冷えです。暖房を付けていても、じわじわとくる足元の冷え。
いくら暖房で暖かくしても温まりきらない、こんな時は床の断熱が不十分なためかもしれません。
この記事では床断熱のメリットやデメリット、施工の方法などについてみていきます。しっかりと把握し、冬でも暖かい家づくりをしていきましょう!
目次
1. 床断熱とは?
まずは、断熱等級の基礎知識を解説します。
基本概念とその目的
断熱とは、住宅や建物内部へ外からの熱の伝わりを抑えることです。
室内の温度は、外気温の影響を受けます。
断熱性が低い住宅は外気温の影響を受けやすいため、夏は暑く、冬は寒くなりやすいです。
そのため、冷暖房器具をフル稼働しなければならず、快適性が保ちにくくなります。
一方、断熱性が高い住宅は外気温の影響が比較的少ないため、夏は室内を涼しく保ち、冬は暖かさを守ることができるので、快適な住環境を実現できます。
また、家の中の温度を一定に保ちやすく、部屋と部屋の温度差も小さくなり、ヒートショックのリスクを抑えることも可能となります。
その中でも「床断熱」とは床に対して断熱性能のある断熱材を入れ、床面において外気の侵入を遮断し断熱性を高めます。
床下に断熱材を施す「床断熱」には次のような効果があります。
- ● 冬の床下からの冷気を妨げ、暖房効率、床暖房の効率が良くなる
- ● 夏の室内の温度上昇を防ぎ、冷房効率が良くなる
- ● 間接的に省エネ効果が得られる
- ● 防音効果が得られる
床下に断熱材を設置する施工方法は、主に2種類あります。
「床断熱工法」と「基礎断熱工法」です。
床断熱工法とは?
床下の空間と床材の間に断熱材を施すことで、外気による冷気や熱の侵入を遮断する工法です。
住宅の1階部分の床下に、直接断熱材を敷き詰めます。フローリングや畳などの床材と、床下の空間との間に断熱材を入れるため、床下の冷たい空気を遮断することができます。
床断熱を行う際には、床と断熱材の間に隙間ができないように施工することが大切です。
床下の温度の影響を受けにくく、室内の底冷えが抑えられ、暖房の効率も向上します。
日本に従来からある工法で、風通しのために床下には換気口を設置する必要があります。
基礎断熱工法とは?
基礎断熱工法は家の基礎全体を断熱材で包み込む工法で、建物の基礎の立ち上がり部分を断熱材で覆う施工方法です。
主に基礎コンクリートに対して施工されます。換気口の設置は不要です。
基礎のコンクリートで覆うため、床下自体に外気が入り込まず、床下の温熱環境をコントロールしやすくします。
外部の空気の流入を遮断する効果があり、気密性が高い住宅を実現できます。
2. 床断熱工法と基礎断熱工法のメリットとデメリット
続いて、「床断熱工法」と「基礎断熱工法」のメリットとデメリットについてみていきましょう。
床断熱工法のメリット
- ●通気口があるため床下は常に外気が循環されている
- ●床下の空気の循環のおかげでカビやシロアリが発生しにくい
- ●長く行われている工法のため、技術が安定しており、安心して導入できる
- ●新築だけでなくリフォーム時にも対応可能
床断熱工法のデメリット
- ●床下にエアコンの設置ができず、全館空調には向いていない
- ●施工可能な断熱材が床の高さに依存するため、断熱材の厚みが足りないなど、断熱性能に限界がある
- ●そのため、十分な気密性が得られずに冷気が床下から入りやすくなる場合がある
基礎断熱工法のメリット
- ●床下の気密性・断熱性が床断熱工法よりも高いため、より冬は暖かく、夏は涼しい状況を保ちやすい
- ●床下エアコンの設置が可能で全館空調しやすい構造
- ●室内と基礎部分の温度差が小さいため、冬場でも床下の水道管が凍結しにくい
基礎断熱工法のデメリット
- ●床下が浸水すると自然に排水・乾燥できないため、カビなどが発生しやすい
- ●シロアリが断熱材の中を通って柱や桁に到達し、増えてしまう可能性がある、また、被害に気が付きにくい
床断熱工法と基礎断熱工法では上記のような違いがあります。
床断熱工法は、リフォームでも比較的簡単に施工が可能です。
築年数が古い家でも床断熱であれば床材を剥がして断熱材を入れれば工事が完了となるため、施工できるケースがあります。
3.床断熱の種類と選び方
一般的な床断熱材の種類
床断熱に使用する断熱材は、大きく分けて、4つに分けられます。
床だけでなく、壁や天井などにも使用されます。
効果や特徴は断熱材の種類によって下記のような特徴を持っています。
選び方としては、予算、断熱性能、耐久性、環境への配慮などを考慮することが重要です。
ただ、あくまで施工会社によるため、施工前に確認する事、また希望があれば施工会社に相談することが必要となります。
1.無機繊維系
ロックウール
- 天然岩石などの鉱物を加工し繊維状に仕上げた断熱材
- 耐熱性・耐火性に優れており、比較的安いのが特徴
グラスウール
- リサイクルしたガラスを繊維状に仕上げた断熱材
- 不燃性が高く、耐久性・安全性に優れており断熱材では最も安いため、よく使用されている素材
2.木質繊維系
セルロースファイバー
- 天然繊維(パルプ:古紙や新聞紙)からできた断熱材
- 断熱性能は高く、防音性、防虫効果もあるが少し高価
3.天然素材系
羊毛ウール系、炭化コルク系断熱材
- ウールや炭化コルクのような自然素材の断熱材
- 自然の調湿効果があり、不燃性、保温性は高く、人体や環境にも優しい、価格はやや高め
4.発泡プラスチック系
ポリスチレンフォーム(EPS)
- 発泡プラスチック系の断熱材
- 水や湿気に強く、軽量で扱いやすいが、燃えやすいという欠点がある、価格はやや高め
押出法ポリスチレンフォーム(XPS)
- ポリスチレン樹脂に発泡剤と難燃剤を混ぜ合わせ、発泡させながら押し出してつくる断熱材
- 堅くて難燃性を有する板状の断熱材、水や湿気に強いですが、価格はやや高め
ウレタンフォーム(PUF)
- ポリウレタン樹脂を主成分として、発泡させたスポンジ状の断熱材
- 吹き付けて施工するため、高い気密性・断熱性能を持ち、耐久性にも優れていますが、価格が高め
フェノールフォーム(PF)
- フェノール樹脂を発泡させ、硬化剤などを加えたボード状の断熱材
- 微細な気泡に高断熱ガスを密閉することで高い断熱性能を持ち、高性能だがその分高価な断熱材
今までは安価で扱いやすいグラスウールが一般的でしたが、断熱性能が劣化しやすいことなどから、最近では床下は湿気の影響を受けやすいため、湿気に強い素材がおすすめされています。
床断熱におすすめの素材
- ● セルロースファイバー
吸放湿効果があり、湿気を防ぐための結露対策にも効果的です。 - ● ポリスチレンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム
プラスチック素材のため水に強く、床下からの湿気対策にも効果的です。 - ● ウレタンフォーム
水を通さないスポンジ状の断熱材であることから湿気に強く、湿気の影響を受けやすい床下への施工に効果的です。
4.床断熱の施工方法
専門業者による床断熱施工
床断熱の施工方法には、以下の主要なステップがあります。
① 既存の床材を慎重に取り外し、床下の清掃を行います
② 断熱材の選定とカットを行い、床下に均等に配置します。この際、隙間ができないように注意することが重要です。
③ 断熱材の設置が完了したら、防湿シートを敷き、湿気の侵入を防ぎます。
④ 最後に、新しい床材を取り付け、施工が完了します。
DIYで断熱材を敷き詰めている方もいますが、隙間が空いて十分な断熱効果を得られないなど、DIYでの施工は難しく失敗のリスクがあります。
そのため、専門の業者に依頼することをおすすめします。
一般的な断熱施工の費用相場は20坪で約30~40万円です。
5.まとめ
この記事では床断熱についてみてきました。
床断熱についての重要性、選び方のポイントはおわかりいただけましたでしょうか?
床断熱も快適な生活を送る上で欠かせない断熱施工の一つです。
ご自宅の快適性を向上させたい方は、デメリットもしっかりと把握し対策をしっかりと行ったうえで、床断熱施工を行いましょう。
すでにお住いの住宅でも断熱リフォームをお考えの方もいらっしゃるでしょう。国や自治体がさまざまな補助金制度でバックアップしているのであれば、リフォームを前向きに検討されている方もいるかもしれません。
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