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住まいサーフィン編集部

容積率とは何か?調べ方や建ぺい率との違いを解説!

2024年12月12日

更新日最終更新日:

容積率とは何か?調べ方や建ぺい率との違いを解説!

土地を買う前に知っておきたいこと、それが「容積率」です。建物を建てるときにはさまざまな制限があり、好きな大きさの家を建てられるわけではありません。

今回の記事では、容積率の基礎知識や建ぺい率との違い、緩和措置について解説します。

この記事の編集者

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1. 容積率の基礎知識

まずは、容積率の基礎知識を解説します。

容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合です。延床面積とは、建物の各階の床面積の合計になります。つまり容積率は、「その土地にどれだけの大きさの建物を建てることができるか」を表す数値です。

容積率

容積率の計算方法

容積率は、この計算式で求められます。

容積率

容積率(%)= 延床面積 ÷ 敷地面積 × 100

例えば容積率が200%で敷地面積100㎡なら、延床面積200㎡の建物を建てることが可能です。

なお、容積率は一律に決まっているわけでなく、その土地(地域)によって違います。50%のことがあれば、緩和条件によって1500%を超えていることもあります。容積率の調べ方は、後ほど解説します。

容積率が規制される理由

容積率が決まってなければ、床面積が広くて高層な建物を好きなように建てられます。土地を有効活用できるので、その地域の発展にも繋がりそうです。それなのに、なぜ容積率が決まっているのでしょうか。それは、都市の過密化を防ぎ、日当たりや通風を確保するためです。

もし住宅街に無秩序に高い建物が並ぶと、日当たりや風通しが悪くなります。それだけでなく、人が多く住むことで、水道や電気などのインフラ整備が追い付かなくなったり、道路の渋滞が発生したりするおそれもあります。
また、人が多くなることで静かに生活を送ることができなくなるかもしれません。後ほど詳しく解説しますが、日本は地域によって利用目的等が定められています。戸建てや低層マンションがメインの住宅街、中高層マンションや商業施設が建ち並ぶエリアなど、地域によって求められる環境はさまざまです。そのため、そのエリアに適した容積率が法律によって決められています。

2. 容積率と建ぺい率の違い

次に、容積率と建ぺい率(建蔽率)の違いを見ていきましょう。

建ぺい率(建蔽率)とは

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合です。建築面積は、建物の外壁や柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で、簡単に言うと「建物を真上から見たときの面積」になります。

建ぺい率

容積率と建ぺい率の違いは、敷地面積に対する計算対象が①延床面積なのか(容積率)②建築面積なのか(建ぺい率)です。

建ぺい率が規制される理由

建ぺい率が決められている理由は、容積率の理由とは一部少し異なります。建ぺい率が規制されているのは、敷地内に適度な空白を確保することで、日当たりなどを確保し、さらに災害時(火災・地震)に延焼するのを防止するためです。
建ぺい率が決まっていないと、敷地を有効活用しようと建物を目いっぱい大きく建ててしまうでしょう。すると隣の建物との間隔が狭くなり、火災時にすぐに延焼してしまう恐れがあります。日本は木造住宅で、住宅が密集しているところでは被害が大きくなってしまいます。延焼を防止し、逃げ道を確保するためにも、建ぺい率は重要です。
また、容積率と同様に、日当たりや通風を確保するためでもあります。

建ぺい率についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

建ぺい率の基礎知識と重要性

建ぺい率の計算方法や緩和措置などをご紹介します。

3.土地(地域)ごとの容積率と調べ方

日本で土地を利用する際には、その土地が属する用途地域によって、建物の規模や形状が厳しく制限されています。制限されているものの一つが、容積率です。用途地域は利用目的によって細かく13種類に分かれています。
※用途地域がないエリアもあります。用途地域については、こちらの記事で解説しています。

用途地域ごとの容積率

それでは、各用途地域(工業系地域を除く)の容積率はどうなっているのか見ていきましょう。

【用途地域(工業系地域を除く)の容積率】

用途地域 用途内容 容積率(いずれか)
第一種低層住居専用地域 低層住宅のための地域 50・60・80・100・150・200%
第二種低層住居専用地域 主に低層住宅のための地域
(150㎡までの店舗含)
田園住居地域 農業用施設、
低層住居地域に建築可能な住宅
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅のための地域 100・150・200・300・400・500%
第二種中高層住居専用地域 主に中高層住宅のための地域
(1500㎡までの店舗・事務所含)
第一種住居地域 良好な住環境保護を目的とした地域、
住宅や3,000㎡までの店舗・事務所等
第二種住居地域 良好な住環境保護を目的とした地域、
住宅や10,000㎡までの店舗・事務所等
準住居地域 道路の沿道に指定され、
自動車関連施設などと住居が調和した
環境を保護する地域
近隣商業地域 近隣住民に対する日用品供給を主な内容とする
商業施設が建設可能な地域、中高層マンションも建設できる
商業地域 主に商業施設やその他業務の利便性を高めるための地域、
風俗施設や危険性のない工場も建設できる
20~130%(10%刻み)
用途地域の指定のない区域 10,000㎡を超える店舗や映画館は建設できない 5・8・10・20・30・40%

ただし、容積率が制限されてさらに小さくなることがあります。また、逆に緩和されて大きくなることもあります。

容積率の調べ方

容積率は、市役所のWEBサイトで調べられることが多いです。都市計画図が公表されていたり、地図情報システムから都市計画情報を調べたりすることができます。
分からない場合は、市役所に直接問い合わせをしてみると良いでしょう。

複数の地域にまたがる場合には?

土地によっては、容積率の限度数値が違う地域にまたがっていることがあります。このようなケースでは、それぞれの面積割合によって計算をします。
例えば全体敷地面積は100㎡で、容積率300%が30㎡、200%が70㎡としましょう。前面道路は12m以上とします。この場合は、(300%×30+200%×70)÷100=230%が容積率の限度です。

4.容積率が制限される条件

つづいて、容積が制限される条件をご説明します。

建物の前面道路の幅が12m未満の場合、容積率が制限されます。前面道路とは敷地が実際に接する道路のことです。複数の道路に接しているときには、一番広い道路の幅が基準となります。

住居系用途地域上の表では、近隣商業地域・商業地域・用途地域の指定のない区域 以外の地域)は、幅の数値に10分の4(0.4)を乗じたものが容積率の限度になります。商業用途地域や工業用途地域では、幅の数値×10分の6(0.6)です。
※行政の判断によって乗ずる数字が異なる場合があります

住居系用途地域

例えば住居系用途地域で、建物Aの前面道路の幅は5mとします。このケースを計算すると、容積率の限度は5m×0.4×100=200%となります。
もしこの地域の容積率が300%でも、限度が200%なので、前面道路5mである建物Aの容積率は200%です。しかし、もしこの地域の容積率が150%だったら、前面道路による限度が200%でも、建物Aの容積率は150%です。

つまり、①その地域の容積率と②前面道路の制限による容積率のうち、どちらかより厳しい方がその建物の容積率の限度になるということです。

5.容積率の緩和措置

最後に、容積率の主な緩和措置をご紹介します。

住宅等の地下室

地階の住居部分については、その床面積を容積率の計算(延床面積)に含めなくて良いとされています。ただし、延床面積に含めなくて良いのは、建物の延床面積の3分の1までです。例えば地下含めて全体で150㎡の延床面積、地下部分の面積を50㎡とした場合には、地下の50㎡はそのまま容積率の延床面積に含めなくて良いということになります。

なお、ここでいう地下室とは、地下の天井が地盤から高さ1m以下の場所にあるものを言います。

エレベーターの昇降路

エレベーターの昇降路(シャフト、走行する縦穴状の空間)は、容積率の計算(延床面積)に含めなくて良いとされています。これは、バリアフリーの観点からエレベーターの設置を促進しているからです。

ロフト・屋根裏部屋

ロフトや屋根裏部屋については、その床面積を容積率の計算(延床面積)に含めなくて良いとされています。ただし、ロフト・屋根裏部屋の面積が下の階の2分の1未満で、床から天井までの高さが1.4m以下であることが条件です。ロフトや屋根裏部屋は収納として使う必要があります。

ガレージ・車庫

建物の1階部分に作られた車庫や、ガレージ、カーポートなどは、その床面積を容積率の計算(延床面積)に含めなくて良いとされています。ただし、延床面積に含めなくて良いのは、建物の延床面積の5分の1までです。

共同住宅(マンション等)の共用部分

マンションなどの共同住宅は、共用廊下・玄関・階段などの共用部分は、容積率の計算(延床面積)に含めなくて良いとされています。

バルコニーやベランダ

バルコニーやベランダについては、幅2mを超えなければ、その床面積を容積率の計算(延床面積)に含めなくて良いとされています。2mを超えている場合は、その超えている分は延床面積に含まれます。

ただし、バルコニーやベランダが開放されていることが条件です。壁や柱で囲まれているインナーバルコニーの場合は、延床面積に含める必要があります。

特定道路の場合

特定道路とは、幅15m以上の道路のことです。敷地から特定道路までが70m以内で、かつ前面道路の幅が6m以上12m未満のときには、容積率が緩和されます。※特定道路から分岐している必要がある
どれくらい容積率が緩和されるのかは、前面道路の幅や、特定道路までの距離によって変わってきます。

6.まとめ

今回の記事では、容積率と建ぺい率の違いや、調べ方、緩和措置などを解説しました。

容積率は、敷地の広さだけでなく、用途地域や前面道路の幅などによって変わってきます。また、建物に関する制限は容積率だけではありません。高さ制限や日影規制などもありますので、専門家に相談しながらしっかりと計画を進めていきましょう。延床面積はどれくらい必要なのか?と悩んでいる方は、こちらの記事を参考にしてください。

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また、この記事をお読みの方は、注文住宅を検討している方も多いかと思います。

注文住宅を建てる方の多くは、まず先にデザインを重視する傾向にあります。
しかし、戸建て住宅に住む上で次のような心配事はありませんか?

  • ● 地震発生時の倒壊リスクが、マンションよりも戸建ての方が高い
  • ● マンションに比べて、部屋が寒い印象がある
  • ● 友人のマンションに比べ、エアコンの効きが悪い
  • ● ヒートショックはマンションよりも戸建てで起きやすい

上記のようなリスクがあるため、デザインだけでなく住宅性能を考慮した家造りが重要です。

住宅性能は目に見えませんが、部屋の暖かさや通気性の良さは住んだ後に実感できます。
さらに、高性能住宅は省エネ効果が高いため毎月の光熱費削減にもつながります。

安全・安心で快適な暮らしを送るために、耐震性や断熱性にも配慮したマイホーム計画を立てましょう。

また近年、住宅関連の様々な補助金制度が運用されており、高性能住宅を建てれば補助金が受け取れます。
さらに、省エネ住宅は税制優遇までも受けられるので活用して損はありません。

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