●近畿TOP級だが主戦場は神戸
デベロッパーにはそれぞれ得意な分譲エリアがある。得意エリアでの供給を続け地場デベロッパーしての地盤を固めるデベロッパーもいるが、そこをあしがかりにエリアを全国に広げることによって供給を増やそうとする拡大志向のデベロッパーの方が多い。
今回紹介する和田興産、神戸市を拠点とするデベロッパーだが、この企業ほど地元での供給にこだわっているデベロッパーも少ないといえる。2004年にJASDAQに上場しているが、上場後も分譲エリアを広げることなくその分譲実績はほぼ神戸市内という珍しい会社だ。
直近3年度の近畿圏の分譲マンション事業主別供給棟数ランキングにおいて、和田興産は2015年度 2位(21棟)、2016年度2位(21棟)、2017年度3位(12棟)と常にトップクラスの実績を叩き出している。この実績は、大阪や京都に住む人にとっては、正直、意外な結果であろう。それもそのはず神戸市以外では2015年度 6棟、2016年度12棟、2017年度3棟しか分譲していない。神戸市以外での順位では2015年度 8位、2016年度4位、2017年度16位だ。
裏を返せば、神戸市での供給が多いということだ。和田興産の神戸市内での供給実績は驚異的なものだ。なんと神戸市内においては供給棟数ランキング20年連続1位。大手企業が進出していない一地方都市ならこのような会社も存在するかもしれないが、関西圏で3番目の規模を誇る大都市である神戸においてこの実績は特筆すべきといえる。
●小規模分譲が特徴
「ワコーレ」のブランド名で分譲を続ける和田興産。「分譲のほとんどが神戸市内」というほかにも特徴がある。まず、分譲規模が小規模である、ということが挙げられる直近3年の近畿圏における平均分譲戸数(供給戸数/供給棟数)は2015年 39.9戸、2016年38.1戸、2017年38.7戸と見事に全て40戸切り。タワーマンション、大規模マンション全盛の昨今、これはかなり小ぶりな分譲と言える。ちなみに直近3年和田興産とともに近畿圏でTOP3を分け合っているプレサンスコーポレーションと日本エスリードの平均分譲戸数がそれぞれ2015年 53.9戸・81.0戸、2016年65.8戸・98.4戸、2017年91.5戸・91.7戸であることからも和田興産の分譲規模の小ささがわかる。
そんな和田興産なのだが、直近のIR資料をみると「近年の戦略」として「従来の中小型に加え100戸超の大型マンションを開発」「神戸・阪神間から隣接する大阪府北摂地域へエリアを拡大」と掲げている。
が、しかし、「今、旬なマンション(※)」をみると「兵庫」では「ワコーレ住吉オーナーズレジデンス(68戸)」「ワコーレ伊丹平松ザ・レジデンス(18戸)」「ワコーレKOBE摩耶ザ・リミテッド(25戸)」「ワコーレ岡本ザ・レジデンス(38戸)」「ワコーレ神戸山本通ベルヴェツィオ(26戸)」「ワコーレザ・神戸トアロード(192戸)」の6物件がランクイン。一方「大阪 北摂」ではランク内に物件はゼロ。相変わらず「神戸市/小規模の和田興産」だ。
●神戸市で20年連続1位は評価大
和田興産には他にも「リーズナブルな価格設定」という特徴がある。とりわけこれを小規模マンションで実現しているのには感心する。土地価格と建築費高騰の煽りを受けて、スケールメリットによるコストダウンのためにタワーマンションを含む大規模マンションが増えているなか、小規模マンションで実現できるのは企業努力の賜物といえる。顧客、とくに地元神戸の顧客ニーズを知っているからこそできる話だ。
全国的な知名度は低いが、神戸市を中心に阪神間では存在感のある和田興産。その分譲マンションには地元を知り尽くしているという安心感が感じられる。神戸市内で購入を検討する際の有望な選択肢の一つだ。20年連続1位は伊達ではない。
※今、旬なマンション(2018/04/10 01:15 更新)
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https://www.sumai-surfin.com/product/ranking/re_rank_season.php?m=0&t=1&a=27
参考:
・http://contents.xj-storage.jp/xcontents/89310/1c7fc7c9/0837/4bd2/939c/4ec56b865643/20170810172437279s.pdf
・http://www.wadakohsan.co.jp/bunjo/results.html