田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第76号]大阪市内で「人気度」が高いのは天王寺界隈!?

2018年06月28日

【「人気度」が高いのは「大阪市内」物件】

「住まいサーフィン」に「人気物件ランキング(トップ20)※」というのがあるのをご存知であろうか?ここでは各物件の「マイページ登録数」を総戸数で割った数値を「人気度」として、そのランキングを公表している。(https://www.sumai-surfin.com/product/ranking/re_rank_link.php

例えば6/27現在の首都圏、関西含んだ「すべて」のTOPは「オープンレジデンシア代官山ザ・ハウス」で人気度は2,523%。9位までが1,000%超えとなっている。

それに比べると関西エリアの「人気度」数値は低く、兵庫県に二物件あるのを除くと100%超えは大阪市内にしかない。しかも全て100戸未満だ。


【「人気度」高いマンションが集中する天王寺区・阿倍野区】

この100%超え、「大阪市内」という以外にもエリア的な特徴がある。それは天王寺界隈に集中しているということだ。

6/27現在、大阪市内の「100%超えマンション」は8物件。区別では天王寺区4物件、阿倍野区2物件と4分の3がJR他各線「天王寺」駅界隈のマンションで、北区のマンションはわずかに一つしかない。

なぜ天王寺界隈のマンションはこのように「人気度」が高いのだろうか?一つには住宅地としての評価が高いということが理由としてあげられる。

高級マンション=タワーマンションの感が否めない昨今だが、タワーマンションがいまほどたくさん供給される前から天王寺界隈は人気の住宅地だった。いまでは広告の規制上、新築マンションや中古マンションのチラシ等に学校区が売り文句としてあからさまに書かれることは(全くないとは言えないが‥‥)なくなったが、その昔「人気の◯◯小学校区」といったコピーがよく見られていた。そこでよく見られた名前は五条小学校、真田山小学校(以上、天王寺区)、常盤小学校(阿倍野区)。これらの小学校は今でも人気が高い。

土地価格から見ても住宅地における天王寺区の優位が見て取れる。2018年度の公示地価、大阪府下の住宅地上位10地点の内5地点が天王寺区となっている。ちなみに北区は1地点のみ。これは北区に商業地が多く住宅地が少ないということも大いに関係しているが、それにしても天王寺区の住宅地価格の高さが伺える。


【梅田界隈にはない「小規模の魅力」をもつ天王寺界隈のマンション】

もう一つ天王寺界隈の「人気度」が高い理由が挙げられる。それは小規模なマンションが多いから。大阪市内に寄らず、戸数の少ないマンションの方が「人気度」が高い傾向にある。例えば「200戸以上」には、小規模マンションが多い天王寺区・阿倍野区のマンションは出てこない。全14物件中、中央区6物件、北区5物件。8割方が梅田〜なんば界隈に集中している。

北区・中央区は極端に昼間人口の多いオフィス街であり区画の大きなオフィスビルが多い。それらオフィスビルが、タワーマンション=大規模マンションとなっている。一方、天王寺区・阿倍野区は広大な区画の土地が出にくいため、分譲マンションが小規模化している。その結果、北区・中央区には「人気度」の高いマンションが少なく、天王寺区・阿倍野区に「人気度」の高いマンションが集中していると言える。

もちろん天王寺界隈にも大規模マンションいくつもある。しかし、実際に住むマンションが大規模であったとしても、梅田(大阪)界隈と比較すれば住宅の比率が多く、特に阿倍野区は住宅における一戸建ての割合が多いので、天王寺界隈は梅田より「住宅地の香り」がする。「人気度」が高いのは小規模マンションが多いからといえるが、住宅地としての雰囲気も残しつつ、交通や買い物の利便性も兼ね備えている天王寺区・阿倍野区のマンションが人気が高いのは今も昔も変わらない。


※参考リンク
人気物件ランキング (トップ20)2018/06/27 01:08 更新
https://www.sumai-surfin.com/product/ranking/re_rank_link.php

 

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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