今年は自然災害が多い。とりわけ関西でも様々な災害が相次いだ。
地震。6月18日に起きた大阪部北部を震源とした地震が発生した。最大で震度6弱を記録し、高槻市・茨木市を中心に屋根損傷やブロック塀倒壊等の被害をもたらした。当日は公共交通機関の多くが運休し、帰宅難民が続出。震源地に近い阪急京都線「南茨木」駅は、駅舎の損傷により利用ができず、地震発生当日は全列車が通過となった。
豪雨。6月末から7月頭にかけて断続的に激しい雨が振った。地震による被害で屋根にブルーシートを被せた痛ましい風景が多く残る中、雨は降り続き、7月6日には兵庫県と京都府で大雨特別警報が発令。広域にわたる複数エリアが土砂災害警戒区域や洪水想定区域として避難指示や避難勧告が出た。とりわけ京都市内では鴨川の氾濫の危険から市内中心部にも発令された。
酷暑。7月中旬から下旬にかけて、チベット高気圧と太平洋高気圧の二つの高気圧の強まりから記録的な気温が続いた。7月14日から26日まで13日間、大阪市は35度以上、京都市では37度以上を記録。高温のために学校のプール開放や祇園祭の花傘巡行が中止になるなどの異常事態。気象庁も「熱中症による死亡事故等が相次いだ。
台風。1993年の台風13号以来25年振りという非常に強い勢力の台風21号が9月4日に徳島県、瀬戸内海を抜け兵庫県神戸市に上陸した。街路樹等の倒木だけでなく、大型看板や木造家屋、車両が風で飛ばされるなどの凄まじい暴風が関西全域、特に大阪南部の沿岸エリアで吹き荒れた。また風の被害だけでなく高潮の被害も大きく、六甲アイランドや関西空港などが大規模に浸水する事態となった。
ほんの数ヶ月の間に、揺れ、雨、気温、風と様々な負荷が住宅にかかった。しかもそのどれもが「歴史的」ともいわれるレベル。住宅が毀損した方も多いと思う。しかし、語弊を恐れずいうならば中高層の集合住宅はあまり被害を受けていない。また一戸建てについても屋根を損壊した家屋の多くは和瓦で、スレートやカラーベストで被害を受けた家の割合は低い。
ここ数ヶ月で、どのような種類の自然災害であっても大怪我や命の危険に晒されるような事態になることを改めて感じた人も多いであろう。当然といえば当然だが、住まい選びの際には、災害の発生しにくいエリアか、発生するとすればどのような災害か、建物は災害に強いか、災害への備えはあるか等々複数の視点でみておきたい。
地震であれば活断層、水害であれば過去の浸水履歴。酷暑や台風については建物によって被害を受ける度合いも変わる。全ての災害を避けることは無理かもしれないが、受ける可能性を減らす、災害があっても被害を減らすことは可能だ。
「天災は忘れた頃にやってくる」とはよくいわれるが、今年は「忘れた頃」どころか、爪痕が消える前にやってきた。これを教訓として、今後に備えていただきたいともに、被災された方や施設等の早期の復興を願う。
(追記)
本記事に記載した自然災害はいずれも広範囲に被害が及んだが、本記事では大阪通勤圏を中心とした京都市〜大阪市〜神戸市にわたるエリアについての被害のみ言及し、甚大な被害が発生したそれ以外のエリアについては特に言及していない。これは特定エリアの住宅事情について情報発信をする連載の趣旨によるものでありご容赦願いたい。