布施。難読地名の一つで、こう書いて「フセ」と呼ぶ。文字通り大阪市の東側に位置する東大阪市のこの地で、「日常を発信する」アンバサダーが募集されていた。募集しているのは「SEKAI HOTEL」という企業。空き家をリノベーションし、街に客室を分散させた「まちごとホテル」を運営することで最近注目を浴びている会社だ。観光ガイド等であまり脚光を浴びることがない地域の“日常”を観光資源と捉えて観光につなぐ活動を展開しており、今回は東大阪市布施の商店街内に宿泊施設を点在させ、その周辺の日常を発信することで、観光だけではなく地方創生分野でもノウハウを確立していきたいということだ。
布施周辺のことが同社のブログで紹介されていた。少し読んでみたが、「銭湯が~」「たこ焼きが~」「お好み焼きが~」等のエントリーが並び、「布施の魅力」というよりも「東京から見たステレオタイプな大阪」といった感じ。関東の人が見ると大阪界隈は、全てのっぺりと「大阪」に見えるのであろう。
そんな布施、一体どのような場所なのか?
「布施」とは近鉄の大阪線・奈良線の急行停車駅の名称で、「布施」という住所はない。一般的には近鉄「布施」駅周辺を「布施」と呼ぶ。もともと東大阪市は布施市・河内市・枚岡市の三市が合併してできた行政区で、駅名はその時の名残だ。
旧布施市は東大阪市の中でも大阪市に近い、おおよそ大阪市境から中央環状線までのエリア。旧河内市・旧枚岡市と比較して都市化された時期は古く、戦前には既に開発されていたエリア。隣接する大阪市東成区・生野区(編入当時はどちらも東成区)が大阪市に編入されたのが大正14年(1925年)で、市街化が進んだ時期とちょうど重なる。
その名残もあるのだろうが、今も東大阪市の中心部である旧布施市は、北区(梅田界隈)や中央区(難波界隈)とは少し違う、生野区・東成区のような飲食や小売りの商業店舗と住宅が混在する「大阪下町」の雰囲気を持ち合わせている。駅の周辺は複数の商店街があり、居酒屋や食堂等の飲食店が数多い。昨今のご時世、世代交代などで空き店舗もあり往時の賑わいを知る人からすれば寂しいかもしれないが、今でもなかなか歩いて楽しい街だ。「食い倒れの旅」の宿泊先として、SEKAI HOTELが布施を選んだのはなかなか魅力的な選択だったといえる。
また、布施界隈は「準市内」といえる立地であり「コスパ」が良い。環状線の外側、しかも大阪市外なので不動産価格は安く、生活コストについても下町であるため安い。その上、交通弁が良い。近鉄線を利用して「難波」駅までは直線距離で約6km、乗り換えなしの15分で着く。梅田までも30分足らずだ。近鉄大阪線と並行して走る阪神高速13号東大阪線/中央大通は駅から北側約2km。高井田料金所が利用できる。「大阪市アドレス」にこだわらないのであれば「便利でお買い得」な街だといえよう。
「布施」駅の東隣の駅、徒歩10分程度の場所に「河内永和」駅がある。ここにはJRおおさか東線の駅があり、同線は「新大阪」駅と「久宝寺」駅を繋ぐ大阪府下の環状線的役割を担っている。この区間が開業したのは昨年2019年。今は「都心部回帰」であまり日の目をみてないが、今後は見直される事が期待できるエリアだ。
布施の街の魅力は大阪からの程よい距離と暮らしやすさ・リーズナブルさ。居住者のメリットは「銭湯・たこ焼き・お好み焼き」だけではない。
(参考)PR TIMES
「まちごとホテルSEKAI HOTEL(セカイホテル)、東大阪市布施の”日常”を発信するアンバサダーを募集。」