田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第130号]京都河原町に大型商業施設開業~マルイからエディオンへ

2020年10月30日

京都市内の中心商業地である四条河原町の南東角、阪急京都線「京都河原町」駅直上に大型商業施設「京都河原町ガーデン」が2021年春開業する。同施設は今年5月に閉店した「京都マルイ」の後に建物を改装する形で開業、キーテナントは家電量販店のエディオンになる予定だ。

この一報を聞いたときは、インバウンド需要がほぼ消えた今、京都を代表する商業地で家電なのか?という疑問もあったが、ビルオーナーである住友不動産のIRで「リアルでしか味わえない「体験」「体感」 を伴った消費シーンの創出」と単なる家電の販売ではないことを知り、少し安心した。

四条河原町交差点を挟んで西側向かい、高島屋京都の南側には2019年12月に高層階をホテルとした商業施設「GOOD NATURE STATION」がオープンした。オープン後間もなくコロナ禍に見舞われたのはお気の毒だが、最近はGoToキャンペーンの効果もあり多くの人出で賑わっている。5年前の2015年にオープンした京都バルも含め、京都河原町界隈は大型商業施設が元気だ。

ところで、京都河原町界隈には既存の百貨店もある。こちらはどうか。

この周辺にある3つの百貨店、京都タカシマヤ、藤井大丸、大丸京都店。今のところ、閉店の話は聞こえてこない。感覚的な話で恐縮だが、9月以降は来客もある程度増えているように見える。お隣の滋賀県大津市で「西武大津店」、兵庫県神戸市では「そごう西神店」がいずれも今年8月に閉店し、全国的に見ても百貨店離れが進み閉店が相次いでいる中、健闘しているといえよう。

では京都全体の商業施設が好況であるかというと、そうではない。コロナ禍の中、多くの店舗が閉店に追い込まれている。

桂小五郎寓居跡の高級料理旅館「上木屋町 幾松」、ねねの道沿いのわらび餅で知られる「洛匠」、もちがメインの割烹料理店「きた村」、「皿洗いで1食無料」で知られる「餃子の王将」出町店等々。

他にも多くの飲食店等がこの数ヶ月に店を閉じた。これらもそうだがコロナによる売上減ではなく後継者不在による廃業もあるが、それとてコロナによる来客減・売上減がきっかけの一つになったであろうことは想像に難くない。

昨年までのように著名な寺社仏閣の周辺はどこに行っても人人人……、そんな状態に戻るのは少し時間がかかるかもしれないが、数ヶ月前の驚くほどに人気のない街からは脱しつつある京都。資力のある企業であれば「ここ1、2年が踏ん張りどころ」と我慢もできるであろうが、個人商店、零細企業はそうもいかない。体力のある企業が生き残る、そんな現実が「百貨店が元気な京都の街」で見て取れる。

コロナ禍で見直された一戸建ての取引は好調、新規ホテル開業を見込んでの土地需要が減ったためマンション供給も復活の兆しが見える。数多くある個人経営の魅力ある店舗についても、住宅市場同様、早期に立ち直って従前のような賑わいを見せてくれることを切に願う。

 

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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