田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第132号]「塚口さんさんタウン」から「大規模マンション」へ

2020年11月27日

「今、旬なマンションランキング」、兵庫県(200戸以上のマンション)の1位は「プラウド阪急塚口駅前」だった。阪神間の「プラウド」では珍しく421戸と大規模物件だ。今回は本物件のある「塚口」をご紹介したい。

まずは「塚口」がどこにあるかご存知だろうか。塚口は尼崎市内北部にあるエリアで、大まかには阪急神戸線急行停車駅である「塚口」駅周辺を指す。圏内にはJR宝塚線「塚口」駅もあり、尼崎市内では唯一 2線2駅が利用できるエリアだ。

名前が似ているので「塚本」と間違える人が時折いるが、「塚本」はJR「大阪」駅から一駅西側、JR「尼崎」駅の手前にある大阪市内の各駅停車駅。「塚口」駅とは場所も近いので余計に間違える人もいるのかもしれない。

尼崎市は、ダウンタウンの出身地など下町イメージでメディアに取り上げられることが多いが、北部と南部ではかなり街の雰囲気が違う。

塚口は、(園田や武庫之荘もそうだが)阪急電鉄の分譲地があるなど閑静な住宅街を控えたエリア。関西では高級スーパーといえば「イカリスーパー」という方も多いが、その発祥の地は塚口。また、今はそうでもないがその昔は「富裕層が利用する」イメージが強かった信託銀行についても、三井住友信託銀行の尼崎市内唯一の支店が、阪神尼崎でもJR尼崎でもなく阪急「塚口」駅にある。塚口の高級住宅地ぶりが伝わるであろうか。

1978年、市街地再開発事業で「塚口さんさんタウン」ができた。スーパー、映画館、商業施設そして住宅。一番館から三番館までの大規模施設で大変賑わいを見せた。が、しかしここ10年ほどは商業施設としての陳腐化、建物の老朽化などにより往時の活気はなくなっていた。

そこに、次の用途として現れたのがランキングの「プラウド阪急塚口駅前」だ。箱物商業施設としての価値が失われていっても、梅田まで10分、駅前1分のポテンシャルは依然として高い。住宅としてこの立地は相当競争力があると言える。

尼崎市の人口は1970年の55万人をピークに減少し続け、現在は45万人にまで減少している。ただここ10年は人口減少も鈍化し、JR「尼崎」駅周辺や阪神「尼崎」駅周辺の「住宅化」が進んだことで「居住地再編」が行われているようにも見える。

工業都市のイメージが色濃い尼崎だが、それは主に南部、港湾部周辺部の話。「昔の尼崎」からはかなり変わっている。今後は尼崎の特徴である「都心に近くフラットな立地」であることがもっと注目されていくであろう。

 

(参考)
今、旬なマンションランキング
2020/11/27 01:27 現在
最近、お気に入りに登録された数が多いマンション (トップ10) 兵庫/200戸以上のマンション

 

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

Official Site:https://c-lab.co.jp/
YouTube:@clabkyoto
Twitter:@tanakahant
Instagram:@kazuhiko.tanaka