田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第152号]交通利便性が高いのになぜかマイナー~宇治市六地蔵

2021年09月29日

京都は大規模なマンションが少ない。広い敷地が少ないのと高層建築物が建てにくいからだ。中心部はそうであるが、市内でも中心地を離れたエリアや隣接市には比較的大規模なマンションも見かける。

現在分譲中の「クラッシィハウス京都六地蔵」がそうだ。「住まいサーフィン」の「今、旬なマンションランキング」で京都エリア最大戸数(648戸)だ。ブランド名から住友商事の物件だとわかるが、他にも事業主として関電不動産開発、三菱地所レジデンスも名前を連ねる。しかし多くの人は「六地蔵ってどこ?」だと思うであろう。さてこの六地蔵、どのような場所なのか?

クラッシィハウス京都六地蔵」の最寄駅は、京都市営地下鉄東西線の始発駅である「六地蔵」駅。出入口が敷地内に直結しており駅徒歩距離は1分。駅前ならぬ「駅上物件」。と、ここで「京都市営地下鉄だから京都市内」と思った人もいるだろうが、本マンションの住所は宇治市。お茶や百人一首で有名な街だ。ただこの六地蔵という場所、限りなく京都市に近い場所で、本マンションを北側に5分も歩けば京都市内(伏見区)となる。宇治市の北端、限りなく京都に近い場所にあるのが六地蔵だ。

六地蔵界隈はお世辞にも開けたエリアとは言い難いが、買物施設はとても充実している。言い方を変えれば利便性は高いのに郊外のゆったりとした雰囲気を残した場所ということだ。本マンション徒歩圏には、約130店舗が集まるショッピングモール「MOMOテラス」、他にもホームセンターコーナン、イズミヤ、ニトリなどがある。これらは山科川という河川を隔てた場所にあり、マンション側はその喧騒の影響を受けない。

充実しているのは買物施設だけではない。交通網も充実している。地下鉄・京阪・JR、三つの「六地蔵」駅が徒歩圏にある。先にも記した地下鉄東西線はJR東海道線(「山科」駅)、地下鉄烏丸線(「烏丸御池」駅)、JR嵯峨野線(「二条」駅)へ乗り継ぎができ、滋賀方面・京都市内方面への移動には困らない。それ以外にJR奈良線「六地蔵」駅でJR「京都」駅、京阪宇治線「六地蔵」駅で京阪本線の特急停車駅である「中書島」駅へ乗り換えなし。三線三駅が徒歩圏であっても、三線のうち二線が並行して走る場合が多い。大阪市内中心部のように碁盤の目のような鉄道網の場所ではなく、六地蔵のような郊外エリアで三線がそれぞれ異なる方向に走るのは珍しい。

三線三駅、ショッピングモール徒歩圏、そして歴史ある土地。知名度は低いがポテンシャルは高い街、六地蔵。大手デベロッパーが分譲マンションを手がけるのもわかる。最後に余談。本マンションは最高20階建。周辺で一番の高層マンションとなるが、なんと同じ地下鉄「六地蔵」駅前には2010年竣工の19階建タワーマンション (「パデシオン六地蔵 ザ・タワーレジデンス」)がある。本マンションが竣工する2023年以降、「六地蔵」駅前はタワーマンション が居並ぶ景観へと変化する。

 

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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