北摂エリアに位置する茨木市の総持寺エリアで、なかなか存在感のあるマンションが竣工した。「茨木ICO CITY(以下、「茨木イコシティ」)」だ。エコシティではなくイコシティ。総戸数475戸の大規模マンションで、複合開発であることが売りだ。
商業店舗、例えばスーパーが隣接エリアに並行して開発されるような場合「商住複合開発」と呼んだりするが、この「茨木イコシティ」はこれぞ複合開発と言って良い規模感の開発だ。475戸のマンションに近接し戸建て街区、追手門学院(大学、中学校、高等学校)、医療福祉ゾーン、太田東芝公園、そして51店舗の専門店からなる「イオンタウン茨木太田」が開業。総面積が甲子園球場約4.8個分と、広告で書かれている「複合開発で街が変わる」も伊達じゃない。
複合開発エリアだけでも広いのに、このエリアには茨木市内屈指の大規模公園である「西河原公園」が隣接する。茨木市民であれば、特に子育て層の方にはお馴染みの公園だろう。「総持寺エリア」と言われてピンと来なくても「西河原公園の近く」といえばわかる人も多いだろう。
この大規模複合開発内の分譲マンションが、三井不動産レジデンシャルと野村不動産の共同事業とくれば存在感が薄いわけがない。地域のランドマークとなることは確実であり、買う買わないは別として一度見ておいた方が良い物件だと思う。
ところで、本マンションで気になることが一つ。それは少々駅から遠いこと。
昨今は「駅直結マンション」が珍しくなく、駅徒歩7~8分でもそれほど駅に近いイメージがしない。そんな市場環境で、本マンションは最寄駅がJR東海道本線「JR総持寺」駅徒歩14分・15分。この「JR総持寺」駅が開業したのは、2018年と最近の話。それまでは阪急京都線「総持寺」駅が最寄駅であったエリア。本マンションからは徒歩20分・21分。歩けないことはないが、周辺エリアの人の多くは自転車を利用していたのではないか。実際に物件WEBサイトにも「駅まで自転車で向かう選択も~」と記載されている。
このエリアにおいて、新駅の開業はとても大きい。徒歩15分は駅に近いとは言えないが、徒歩圏として許容範囲。しかし徒歩20分となると毎日の通勤や通学では、なかなか負担が大きい。SUUMOやLIFULL HOME’Sでも駅徒歩分数の条件検索は、最大が「20分以内」。それ以上は徒歩圏とはみなしていないわけだ。
と言ってもコロナ禍でリモートワーク、リモート授業が定着し、毎日電車で通う必要がなくなった人も多い。そうなると、駅から多少遠くても自宅にいる際の利便性が高ければ問題ないという考えもある。駅まで徒歩15分・20分かかったとしても、大規模公園やイオンに近い方が生活しやすいというわけだ。
計画段階でコロナ禍は想定されていなかったわけだが、期せずして「こういう立地もアリだな」と感じられるマンションだと言える。