京都市役所から「京都市のマンション管理支援の取組」というレポートが発表された。マンション全般を指しているように見えるが、実質的には高経年マンションに対する取組だ。
レポートによると、京都市における管理支援の必要な「要支援マンション」の定義は以下の四つ。
- ● 管理規約がない
- ● 総会または理事会が開かれていない
- ● 管理費または計画修繕のための積立金を徴収していない
- ● 大規模修繕工事を実施していない
これらのうちどれか一つにあてはまるもの、もしくは「建物に深刻な劣化症状が多数認められ、修繕だけでなく建替え等も視野に入れた検討が必要と認められるマンション」が要支援マンションとなる。
今のところ、要支援マンションがそれほど多くある訳では無いがその予備軍は多い。
同レポートによると京都市内の分譲マンションは、令和2年(2020年)時点で679棟(35%)と約3分の1が築30年以上。令和12年(2030年)には、今ある分譲マンションの過半数にあたる1129棟が築30年以上となる。
現在、仲介の現場では「昭和のマンション」すなわち築35年程度以上の物件になると、「マンションの寿命は何年?」といったお客様からの質問が増えてくる。あと10年もしないうちに半分くらいのマンションが、購入の際に寿命のことを気にしなければならなくなる。
正確な数字は知らないが、京都市は多くの都市より高経年化が早いと思われる一方、東京や大阪等の大都市圏では京都よりも早く高経年マンションの増加による問題が顕在化するだろう。ここ10年で、建て替えや解散など「分譲マンションの最期」をむかえる物件は、今まで以上のペースで増加するから尚更だ。
「マンションは管理を買え」と言われて久しいが、清掃が行き届いているか、積立金は十分か、と言った程度しか気にしていない人が多い。今後は、管理組合の運営実績や収支管理、そして建物管理の評価をもっと丁寧に見ていく必要が増していくのは確実だ。