田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第188号]地元愛がわかる「居住府県別住みたい街ランキング」

2023年03月22日

出るたびに注目してしまう「SUUMO住みたい街ランキング」。今月10日に最新版の「SUUMO住みたい街ランキング2023関西版」が発表された。中でも気になったのは居住府県別の住みたい街ランキング。大阪府民ランキング、兵庫県民ランキング等、特定の府県に居住する人の「住みたい街ランキング」が出ているのだが、これを比べるのがなかなか面白い。

以下、居住府県別ランキングを筆者の独断にて簡単に見ていきたい。このランキングだけで決めつけることはできないのは承知の上で「そのような見方もできるのか」と気楽に見てもらいたい。

そこに住む人が同じ府県の街を選んでいるということは、それだけ地元を評価している、地元愛があると言える。ただ、地元といっても府県域は広い。どこが選ばれているかには少し差がある。

府県庁所在地をトップに選んでいるのは大阪府(梅田:大阪市北区)、京都府(京都:京都市南区)、和歌山県(和歌山:和歌山市)。これは府県庁所在地が生活エリアとして充実していて、良くも悪くもその街の存在が頭ひとつ抜けていると言える。

例えば京都府。京都府の人口約255万人のうち約145万人、約6割の人が京都市に集中し、京都市以外の人口をすべて足し合わせても京都市の人口には、全く届かない。

比べて滋賀県。滋賀県の人口約141万人に対し大津市の人口は35万人弱。約7割の100万人以上の県民が県庁所在地以外に居住している。県庁所在地のある大津市内の駅の最高位は8位(大津)にとどまる。

そんな滋賀県だが「同じ府県を選んでいる」という点においては、2府4県でTOP。滋賀県民が選ぶ住みたい街ランキングには、10位内に滋賀県外がたったの一つしか入っていない。県民の滋賀県愛が感じられる。唯一県外から入っている京都(4位)も、県庁所在地である大津からはJR線で3駅となり、47都道府県中最も近い県庁所在地。選ばれるのも当然といえば当然だ。

県外の駅が一つだけ、の地元愛が強いのはもうひとつある。兵庫県だ。3位に梅田(大阪市北区)が入っているものの、それ以外は神戸市3駅、西宮市2駅、芦屋市・明石市・姫路市・宝塚市各1駅と兵庫県愛に溢れている。

反対に県外の駅が多いのが和歌山県。上位3駅はすべて和歌山市だが、4位~7位は大阪市、神戸市、大阪市、京都市と他府県の大都市に「住みたい」人が多い。和歌山県内の大阪府下勤務可能なエリアは、県域最北端に位置する和歌山市にほぼ限られることも関係しているであろう。

SUUMOに限らず色々な媒体等が実施する「住みたい街ランキング」。毎度同じような内容などといってはいけない。成人式の日に発表される成人人口や子供の日に発表される出生者数などと同じで、少しづつ変わるからこそ世の中のトレンドもわかる。また、そのトレンドから長期的に「伸びる街・廃る街」がわかる。このコラムでも定期的に見ていきたい。

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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