分譲マンション供給の主戦場は旧市街地だ。都心部商業地のタワーマンションは、一時期の勢いはないものの、その人気は根強く相変わらず供給は多い。一方、郊外都心問わず住宅街の低層マンションも見直されており、5階建未満の供給も心なしか増えている。
高度経済成長期からバブル期までは人気の高かったニュータウンは、交通便の悪さや高齢化などにより需要が低下し、少なくとも関西圏においてニュータウンでの供給はマイナーな存在となっていた。
ところが今週(2023/05/07時点)の「新築マンション一覧」を見て驚いた。京都、大阪、兵庫でそれぞれ「ニュータウン」の分譲マンションが新着マンションとして掲載されていた。
京都市は「ソルティア京都宝ヶ池」。最寄駅は京都市営地下鉄烏丸線の終点「国際会館」駅。京都市内のマンションは、やれ田の字エリアだ洛中だなどと言われるが、本マンションエリアは洛北エリアであり、ニュータウンエリア。WEBサイトでは「宝ヶ池エリア15年ぶり」の供給と謳われている。
大阪は和泉市の「メイツ和泉中央ザ・マークス」。最寄駅は泉北高速鉄道の終点「和泉中央」駅。泉北ニュータウンエリアのさらに先にある。「ソルティア京都宝ヶ池」は「15年ぶり」とあるが、こちらは「いぶき野5丁目に25年ぶり」とのこと。
最後に兵庫県は三田市の「ルナコート三田ウッディタウン中央」。最寄駅は神戸電鉄公園都市線の終点「ウッディタウン中央」駅。ウッディタウンは1987年に街開きした三田市最大のニュータウンだ。こちらも同駅徒歩9分圏内の新築マンションとしては13年ぶりらしい。
3物件に共通するのは「旧市街地ではなくニュータウン」「最寄駅が始発駅」。そして、どの物件も「○年ぶり」と供給の少なさ/希少性を売りにしていること。大阪・京都・兵庫、それぞれで同じような特徴を持つ分譲マンションが新規で供給されているのは、大変興味深い。
なぜ今、ニュータウン物件が複数供給されているのか?理由は色々考えられる。都心部での土地取得が難しいから、建築費・土地価格の高騰により郊外でなければ「売れる価格」で供給できないから、もしくはリモートワークの普及で通勤時間が伸びることに抵抗感を持つ人が減ったことで「ニュータウンでも売れる」と踏んだから。おそらくどれも関係しているのであろう。
一つ言えるのは、どのマンションデベロッパーもニュータウンに商機を見出しているということ。今後、この様なニュータウンマンションの供給が増えていくのかどうかはわからないが、物件の選択肢が増えるのはユーザーにとってありがたい話だ。