田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第192号]郊外大規模が増える理由

2023年05月24日

今、旬なマンションランキング」の関西エリアで、関西ではなかなか珍しい大規模マンションがあった。場所はそれぞれ離れているが、どちらも関電不動産開発のブランドネームをかざした物件「シエリアシティ明石大久保」(総戸数810戸)と「シエリアシティ大津におの浜」(総戸数708戸)だ。



同じ事業主である以外にも、この二つのマンションには共通点がある。それは、都心からの距離感だ。

シエリアシティ明石大久保」は兵庫県の明石市にある。同マンション周辺から電車で少し(7分)移動すれば賑やかな繁華街であるJR「明石」駅。JR「大阪」駅までは51分で十分通勤可能。

シエリアシティ大津におの浜」は滋賀県大津市にある。同マンションから電車で少し(13分)移動すれば賑やかな繁華街であるJR「京都」駅。JR「大阪」駅までは45分で十分通勤可能。

・大阪通勤圏
・大阪とは別の商圏
・「別の商圏」の大阪とは反対側に位置

この三つの共通点があり、かつ大規模だからこそリーズナブルな価格での分譲が可能となっている。

しかもそれぞれ「駅前再開発エリアの最終開発区画(シエリアシティ明石大久保)」「琵琶湖岸まで徒歩圏で利便性の高いエリア(シエリアシティ大津におの浜)」という「魅き(ひき)」がある。

大阪中心部はタワーマンションを中心に空前の価格帯に突入している。フォーシーズンズホテルとの一体開発となる「ブリリアタワー堂島」や、同じくホテル併設であり高級賃貸マンション「ラ・トゥール大阪梅田」との複合ビルとなる「梅田ガーデンレジデンス」はどちらも坪単価600万程度。一般的な世帯が住居として購入する価格ではない。

平均的な給与所得者が購入できるマンションを分譲するには、都心の土地価格が上昇したことでより郊外に、建築コストが上昇したことでより大規模に、物件を計画する必要がある。この二物件が符合するのは、関電不動産の方針であるところも大きいであろうが、今後も上記二物件のような「大阪通勤圏かつ郊外」「魅きのあるエリアの大規模」が供給される可能性は高い。

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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