筆者の住む京都は、ゴールデンウィーク以降も、相変わらず観光客で溢れている。国内の旅行客が京都を訪れるのは土日祝日が中心だが、海外からの観光客にとって曜日は関係ない。平日でも観光スポット周辺は活気に満ちている。ネガティブな言い方をすれば人・人・人で騒々しい。
では、どこが騒々しくて、どこがそうでもないか。その時間帯はいつか。そのような地域事情は住んでいればよくわかる。この店は何時からオープンしていて昼間はそうでもないが、夜は行列ができる。あの店はオープン当初は行列ができるが、一巡すると落ち着いて夕方には空いている。その店は休祝日は閉まっているが平日は大賑わい。等々。毎日そこで暮らしていればわかることだ。電車に座れる座れない、バスに乗るまで並ぶ並ばない、ダイヤが乱れる乱れない。近くの事情が大体が把握できていて、その事情を鑑みて買い物に行ったり移動したりする。なるべく人混みや行列を避けストレスを減らしたいからだ。
しかし、たまにしか来ない場所では、そんな細かいことまではわからない。宿泊施設周辺の環境についての調査不足で、移動に不便を感じたり騒音でよく寝れなかったりみたいなこともあるだろう。ネットに記載されている口コミ等で事前調査も可能だが、常に口コミが正しいとは限らない。
こういう失敗。「思ってたのと違う」という経験。誰にでも経験はあるだろう。これが旅行であれば嫌な思い出も後々笑い話となるかもしれないが、暮らしのベースとなるマイホームとなると話は違う。別の物件を買えばよかった、高い買い物をしてしまったと後悔することになり、最悪の場合は売却の可能性もある。
そんなわけで住宅選びの際は、念には念を入れて周辺環境のチェックを行いたい。よく私がアドバイスするのは以下のこと。
●現地は条件を変えて複数回見学
土日にモデルルームへ何度行っても周辺環境はわからない。実際に生活するのは現地周辺。「朝・夜」「平日・土日祝日」「晴天・雨天」等、条件を変えて複数回足を運んでおきたい。
●通勤/通学は実際に利用する時間帯に確認
土日と平日、昼間と朝夕はダイヤも列車・ホームの混み具合も違う。たったの一度でも確認しておけば後々後悔することも少ない。購入後は何十回、何百回と利用することを考えればただの一度も確認しないのは怠慢以外のなにものでもない。
●周辺環境は周辺の人に聞く
営業マンは物件には詳しいが周辺環境に詳しいとは限らない。周辺をよく知るのは周辺の人。おすすめは個人営業の喫茶店や食堂の人。古くから営業するお店だとエリアの系譜もわかる。郊外エリアならタクシー運転手も地元に詳しいケースが多い。
不動産の価値は、建物と土地すなわち周辺環境で決まる。価格=建物×土地、の計算式だ。建物が数字で客観的に表されるのに対し土地・周辺環境は、それが難しい。手間を惜しまず自分の目と足で確かめたい。
*参考:マンション・一戸建て購入で後悔した理由ランキングTOP5
[第193号]手間を厭わず目と足を使う~後悔しないための環境チェック
2023年06月14日