「京都の物件は安い」。東京在住のお客様からよく言われる。京都市内中心部の一等地、いわゆる「田の字」「御所南」等々のエリアの新築分譲マンションの坪単価は500万円を超え、その上をうかがう価格となっている。京都市民にとっては「めちゃくちゃ高い」「買えない」が平均的な感覚なのだが、東京の相場を知る人は「主要駅の中古マンション程度で、一等地の新築が買える」と感じられるようだ。
果たして京都の新築マンションは高いのか安いのか?これは見方によって異なる。
「東京よりも京都が良い」「京都に住みたい」という方にとっては、京都の不動産は断然安い。「LIFULL HOME`S」の価格相場情報を参考に見てみよう。
「専有面積70平米の場合の中古マンション平均価格」を見ると京都市内中心部の上京区3191万円、中京区3429万円、下京区3922万円。最高値は八坂神社や清水寺で有名な東山区で3953万円。一等高いエリアでも4000万円以下。ちなみに東京23区では、千代田区の11060万円を筆頭に港区9589万円、中央区8202万円、と中心部は1億前後となっており、最安値の足立区3497万円やその次に価格の低い葛飾区3760万円と同程度の価格だ。
これは大阪市内を見ても同じ。北区3957万円、中央区3904万円。平均相場をみると
京都市内中心部 < 大阪市内中心部 < 足立区、葛飾区
であり「京都は安い」といって間違いはない。
一方、投資案件としては、決して安いとは言えない。
京都市内の3LDKの相場賃料は一番高い中京区で20.39万円。上京区と下京区はそれぞれ16.99万円、16.21万円。千代田区50万円、港区46.94万円、中央区34.98万円と比べて圧倒的に安い。半分から3分の1程度。中古マンション価格と同じ程度の差、すなわち賃料利回りを考えると中古マンション価格は「そんなもの」であり安くはない。むしろ葛飾区の賃料(23.37万円)をみると、京都の中古マンション価格は「賃貸相場から見ると高い」とも言える。
*参照:「LIFULL HOME`S」の家賃相場情報
以上は、スポットの立地評価や築年数・建物グレードなどを考慮していない平均値で見たものであり、統計的に正しいとは言えない。ただ、肌感覚としては「だいたい正しい」と言える。
京都の物件は都内の物件より安いから概ね投資に向いている、という判断はあまり筋のいい考えとは言えない。物件個別の条件を考慮して慎重に選ぶべき。安いからといって飛びついてはいけない。
ただ、京都に住みたいという方にとっては、京都の相場は天国のように見えるはずだ。東京都内中心部なら築古マンションしか買えない予算でも、京都市内なら築浅マンションが購入できる。
現在の相場、京都好きの首都圏在住者にとっては投資案件としては要検討かもしれないがセカンドハウスや移住先としてはお買い得と言える。