田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第204号]マンションと居住者、二つの老い

2023年11月22日

先般、50代独身女性から相談を受けた。

現在は賃貸で独り住まい。いずれは今の家から転居したいが、高齢単身女性は賃貸の審査が通りにくいと聞くので、マンションを購入したい。新築マンションは高いので中古で探したい。どのように探せば良いか?

ざっとこのような相談であった。

はじめは、築浅マンションでそのまま住むのと築古マンションでリノベーションをして住むのはどう違うか?という話題になった。築浅は価格は高いが仕様設備は新しく、築古は仕様設備は古いが価格が安く築浅との差額で自由に工事ができる。

次に話題になったのが「あと何年、健康でいられるか?」。仮に、マンション一人暮らしで健康に暮らすことが出来るのが85歳までとしよう。55歳の方なら後30年。

築10年のマンションは85歳の時に築40年で、3〜4度目の大規模修繕工事が議題に上がっていることであろう。築30年ならばどうか?築60年であり、物件によっては既に建て替えがなされている可能性もある。

80歳の時点で、建て替えのため一時的に転居するのはかなり辛い。となるともう少し若い、例えば購入しておよそ20年後の70代前半で買い替える、もしくは建て替えのタイミングで施設に入所するなどの選択肢がある。

定期借地権付分譲マンションの定借期間が以前は50年のものがあったのが、最近では70年等に伸びているのはこの辺のことも考慮されていると思われる。30歳で購入した場合、期間が50年だと80歳で更地返却しなければならない。

50代で購入となると、「終の住処」をどうするかを考えておく必要がある。自身の寿命とマンションの寿命、どちらも有限なのだから。

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

Official Site:https://c-lab.co.jp/
YouTube:@clabkyoto
Twitter:@tanakahant
Instagram:@kazuhiko.tanaka