南海トラフ地震が起きるのではないか?そんな不安を覚えている人も多いだろう。
きっかけは8月8日日向灘を震源とした地震の発生を受け、8月9日に気象庁から「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されたことだ。
南海トラフ地震は、その被害想定のレポートを見ると東海地方・近畿地方・四国地方・九州地方に甚大な被害を与えることがわかる。大きな被害を受けるのは西日本だ。筆者の住む近畿地方で想定される死者数は50,000人〜275,000人。東海地方は80,000人〜323,000人。あの未曾有の大災害となった東日本大震災の死者が約15,900人。いかに巨大な地震、激甚な災害かがわかる。
南海トラフ地震臨時情報が発表される1週間前は株の大暴落という「激震」が走ったが、こちらはその株価が続伸し急激な相場のクラッシュは免れた。しかし、大地震・大災害が起きるかもしれないという不安は少なくとも1〜2週間、長引けばもう少し続くであろう。
株価は、実際の会社のポテンシャルを正確に表しているのではなく、「皆が上がりそうだと思う株があがる」人気投票であると言われることがある。2営業日続けての大暴落をした後に株価が持ち直したのは、「買いだ」と考えた人が多数いたから。株価の大暴落はないだろうと皆が思えば大暴落は起きない。
しかし地震は「起きると思うから起きる」わけではない。株価が人の行動によって決まるのに対し、地震は自然災害。起きるも起きないも人にはわからない。
しかし不動産価格はどうか?「南海トラフ地震が発生すれば被害を受けるから不動産を買い控えよう(or安くても売却しよう)」と考えて人が行動すれば相場は下落する。その意味では不動産業界にいるものとして南海トラフ地震が発生するかどうかはもちろん気がかりであるが、それがどのように不動産相場に跳ね返るかが心配だ。
地震が怖いから不動産は買わない、という人がいる。地震で建物が倒壊してしまったら一晩にして資産を失ってしまうから、といった理由だ。個別の不動産を考えるとそうなのだが、不幸にも大地震が発生し、多くの建物が倒壊すれば不動産の需要は増す。また、耐震性能に優れた建物は地震が発生しなくても需要が高まる。
地震は起きるか起きないかわからないし、避けることもできない。わからない以上は、耐震性能・地盤の強度等で個別判断するしかない。そのあたりをしっかりと吟味し「どの不動産が選ばれそうか」を考えれば「人気投票」に勝てるのではないか?
*参考リンク
南海トラフ地震に関連する情報(気象庁)
南海トラフ巨大地震の被害想定について(第一次報告)
南海トラフ巨大地震の被害想定について(第二次報告)