田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第222号]天災の際に考えておきたいこと

2024年08月30日

台風やゲリラ豪雨による交通網に乱れが多い。

大雨による遅延や運休で電車移動が思うようにできず、不便を感じた人も多いだろう。電車が止まっているから「車で向かいましょう」とはいかない事情があれば、予定をキャンセルしたり延期したりすることになる。

昨今は前日から運休が発表される計画運休も増えたが、それ以外にも以前なら走行していたような天候でも運休することが増えている。また、雨で止まるのではなく雨による事故、例えば倒木や水路決壊により線路が使用できなくなっての運休もある。

その際に移動の可否を左右するのが2線2駅可能かどうか。例えば私鉄とJRの両路線が利用できれば、一方が使えなくても他方への振替が可能。1線しか利用できなければ、車が利用できない場合は立ち往生となる。

全路線が計画運休するような大きな台風の際は2線利用だろうが3線利用だろうが同じ。しかし、そんな場合は会社や学校、その他多くの施設等が営業していないであろうから、そこへ向かえなくても問題はあまりない。問題となるのは特定路線のみが運転していない場合。関係者全て揃っているのに自分だけはそこへ向かえないというのはバツが悪い。2線2駅利用可能な住まいであればそのような可能性は減る。

筆者も長らく2線2駅エリアに住んでおり、行先によって利用する路線を変えることも多い。これは、仕事柄様々な場所に行くことが多いからであって、一般的には2線利用できてもどちらか一方しか利用しない人の方が多いであろう。

そんな人でも2線2駅のメリットを享受できるのが、降雨や事故等で一方の路線が止まった時だ。筆者も人身事故等で列車が止まった時には何度も2線2駅に救われた。

また、大雨の際は水害も心配だ。

堤防決壊、そして床下浸水。そのような被害も可能性はあるので、ハザードマップはしっかりとみておきたい。と、それはそうなのだが、都心部においてそのような事態はそれほど多く起きるわけではない。だから気をつけなくても良い、ということではなく、もっと気をつけておくべきことがある。それは歩道や道路の冠水。いわゆる内水氾濫というものだ。

内水氾濫は、大雨の際に雨水の排水が追いつかずに下水道やマンホールから水が溢れ出す現象。先日東京で起きたゲリラ豪雨で新宿のマンホールから水が溢れたり、麻布十番で車道が冠水したニュースを見た人も多いだろう。

あのようなことが起きると、建物が浸水したり等の被害が起きたり、また外出に支障をきたす。何より、頻繁に内水氾濫の被害に見舞われるエリアは買主に敬遠され市場評価が落ちる可能性もある。

内水氾濫についてもハザードマップで、内水氾濫のハザードマップがない場合は、行政や近隣へのヒアリングで確認できる。これは、ぜひ実行してほしい。

よく営業マンが「2線2駅は便利ですよ」「ハザードマップは確認しましょう」といった説明をする。ネット記事にもチェックリストに挙げられている。しかし、それだけではなかなか意識に残らない。より具体的なシーンを想像した方が良い。天災や災害にあった時、遭遇しかけた時は、より具体的に不動産選びのポイントを考えるチャンスと思って欲しい。

とはいえ地震が起きた時にあれほど騒がれた「活断層」「液状化現象」などは案外忘れられてしまっている。天災は忘れた頃にやって来る、とはよく言ったものだ。

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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