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昨今さまざまなものが値上げされていますが、住宅も例外ではありません。地価や建築費などが高騰しているので、特に新築住宅はマンションを中心にかなり高額となっています。
新築が高いことから中古住宅を検討している方も増えています。しかし、中古住宅には何となくマイナスイメージがある方も多いのではないでしょうか。
そんな方に知っていただきたいのが、「安心R住宅」です。
今回の記事では、安心R住宅の内容やメリット・デメリットについて解説します。
目次
1. 安心R住宅とは何か
安心R住宅とは、国土交通省の基準を満たした中古住宅のことです。
安心R住宅に認定された物件の広告には、このマークを表示できます。
画像出典:国土交通省「安心R住宅」
安心R住宅は2018年に創設された比較的新しい制度になります。
なぜこの制度ができたのかというと、日本は中古住宅の流通(売買)が諸外国に比べると少ないからです。
よくある中古住宅のマイナスイメージ
中古住宅と聞くと、「不安」「汚い」「わからない」といったマイナスイメージを持つ人も多いです。
画像出典:国土交通省「まんがでわかる!安心R住宅」
データで見ても、日本は欧米に比べると中古住宅(既存住宅)の流通がかなり少なくなっています。
全住宅流通量(既存流通+新築着工)に占める既存住宅(中古住宅)の流通シェアは、アメリカやイギリスは80%超えています。それに対して、日本は14.5%※です。
※平成30年の情報
なぜ中古住宅の流通量は少ないのでしょうか。新築住宅購入者が回答した「中古住宅を選ばなかった理由」を見てみましょう。
新築住宅の方が気持ち良いという理由が最も多いですが、下記の理由を挙げている人も多いです。
- ● 隠れた不具合が心配
- ● リフォーム費用などで割高になる
- ● 設備の老朽化を懸念
- ● 耐震性や断熱性が低そう
こういった不安を解消してくれるのが、安心R住宅です。
安心R住宅に認定されるための要件や基準
安心R住宅のRは「Reuse(リユース:再利用)」「Reform(リフォーム:改築)」「Renovation(リノベーション:改修)」を意味しています。
安心R住宅は耐震性があり、専門家によるインスペクションが行われていて、リフォーム等について情報提供がされている中古住宅(既存住宅)です。
具体的には、このような要件があります。
- 安心
- ● 新耐震基準に適合
- ● 専門家によるインスペクション(検査)を実施
- ● (マンションの場合)管理規約と長期修繕計画があり、購入者から求められたら情報を開示する
- きれい
- ● リフォーム工事済またはリフォームプラン付き
- ● 外装・主な内装・水回りなどの現況写真付き
- わかりやすい
- ● 今まで実施した工事や点検の内容が分かる
- ● どんな保証や保険がつくのかが分かる
安心
安心R住宅は新耐震基準に適合しているので、旧耐震基準よりも耐震性能が高いです。
新耐震基準とは大規模地震(震度6強から7程度)でも倒壊や崩壊せず、中規模地震(震度5強程度)だとほとんど損傷しないように設計された基準のことです。
旧耐震基準と新耐震基準の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、安心R住宅はインスペクション(建物状況調査等)をしていて、構造上の不具合や雨漏りなどがないのかプロの目で確認しています。インスペクションについてはこちらの記事をご覧ください。
さらにマンションの場合は、管理規約や長期修繕計画の内容を確認できます。
きれい
中古住宅は「汚い」というイメージがつきがちです。
しかし安心R住宅は、リフォーム工事が実施されているのできれいな状態で入居できます。
リフォームされていない場合には、費用情報を含むリフォームプランが必ずつくことになっています。提案されたリフォームプランは実施してもしなくてもどちらでもかまいません。
※なお、築浅の場合はリフォーム不要となっています
また、外装や主な内装、水回りなどの現況写真も多く提供されます。
わかりやすい
安心R住宅は、さまざまな情報が開示されます。過去の修繕内容や点検結果だけでなく、こういったことが分かります。
- ● 耐震性
- ● 検査基準の適合
- ● 工事の実施状況
- ● 共有部分の管理(共同住宅等)
- ● 建設時の状況
- ● 当該住宅に関する書類の保存状況等
- ● 保険又は保証に係る情報
- ● 省エネ性能
広告時にもある程度の情報が掲載されていて、商談ではさらに詳細な情報が開示されます。
安心R住宅は、任意の制度です。制度に取り組みたいと手を挙げた事業団体を国が審査して登録します。
登録された事業団体は、リフォームの基準などのルールを設定して、団体に所属する事業者(不動産会社)の指導・監督をするという仕組みです。
画像出典:国土交通省「まんがでわかる!安心R住宅」
2. 安心R住宅のメリット
つづいて、安心R住宅のメリットをご説明します。
(買主)安心できる中古住宅が一目でわかる
中古住宅は、新築に比べると選択肢がかなり多いです。さらに、住宅の状態は同じ築年数でも使用状況などによって大きく変わってきます。「きれい」で「安心」できる物件を探すのも一苦労でしょう。
しかし、安心R住宅ならロゴマークを見れば一目で分かります。建物内の現況写真も多いので、検討もしやすいです。
(買主)フラット35の金利が一定期間引き下げになる
安心R住宅なら、フラット35の金利が一定期間引き下げられます。
フラット35とは、返済期間中ずっと金利が変わらない住宅ローンのことです。フラット35は特定の条件を満たすことで、特別に最初の数年間だけ金利が引き下げになることがあります。
安心R住宅の場合は、当初5年間の金利が年マイナス0.25%になります。
2024年2月現在のフラット35の金利は1.82%です(借入期間21年以上35年以下、団信あり、融資率9割以下)。
しかし安心R住宅に認定されていれば、当初5年間は1.57%になります。
フラット35についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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2024/02/02
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(売主)物件の早期売却がしやすくなる
安心R住宅に認定されれば、他の中古住宅よりも信頼度が高くなります。そのため、早期売却もしやすくなると考えられるでしょう。
中古住宅は、必ずしもスムーズに売却できるとは限りません。
エリアや築年数によっては、適正価格のはずなのに数ヶ月以上売却活動をしているのに売れないということもあり得ます。
安心R住宅に認定されることで、少しでも早く売却できるかもしれません。
(双方)売却後のトラブルが少なくなる
中古住宅の売買では、引き渡し後に不具合が見つかって買主からクレームが入ることがあります。不具合の内容によっては責任の所在が曖昧になり、トラブルになるケースもあるようです。
安心R住宅では、建設時の状況や工事の実施状況などさまざまな情報を開示しています。売買する前から双方が情報を確認しているので、トラブルになるリスクは低くなるでしょう。
(双方)瑕疵保険に加入できる
安心R住宅に認定された物件というのは、「既存住宅売買瑕疵保険」への加入要件を満たしています。
瑕疵(かし)とは欠点・欠陥という意味です。瑕疵保険は住宅の検査と保証がセットになった保険で、購入後に瑕疵があった場合は保険金が支払われます。
3. 安心R住宅のデメリット
安心R住宅にはさまざまなメリットがあることが分かりました。一方、いくつかデメリットもあります。
コストや手間がかかる
安心R住宅にするためには、インスペクション(建物状況調査)の費用がかかります。住戸の広さや検査項目によりますが、費用は4.5万円~10万円ほどになるようです。
調査の結果、修繕・補修工事が必要になるケースもあります。
これらの手続きは、費用だけでなく手間もかかります。特に工事が必要となった場合には、何度も打ち合わせをする必要が出てきます。
知名度が高くない
安心R住宅の制度が始まってから8年ほどになりますが、知名度は高くありません。安心R住宅にはさまざまなメリットがあるのに、それを知っている人の方が少ないであろう残念な状況です。
安心R住宅の数も、それほど多くありません。
国土交通省の調査によると、令和3年4月~9月に流通した安心R住宅は623件でした。
画像出典:国土交通省「安心R住宅制度の実施状況についてお知らせします!」
中古住宅(既存住宅)の流通量は、年間約61万件です。安心R住宅はごく一部であることが分かります。
安心R住宅にすると、一般媒介契約を選べない
家を売るときには、不動産会社と媒介契約を結ぶ人がほとんどです。媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
契約できる業者数 | 複数社と契約OK | 1社のみ | 1社のみ |
自己発見取引 | 可能 | 可能 | 不可 |
契約期間 | 任意 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
業務処理状況の 報告義務 |
任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの 登録義務 |
任意 | 7日以内 | 5日以内 |
安心R住宅に認定してから売却する場合には、専任媒介契約または専属専任媒介契約を結ばなければなりません。
媒介契約を結ぼうとする会社に対して「安心R住宅に認定されたい」と相談をして、インスペクションや各種リフォームを実施するという手順になります。
4. 中古住宅を売買するときの注意点
最後に、中古住宅を買うときまたは売るときの注意点について解説します。
中古住宅を買うときの注意点
安心R住宅でも、欠陥が絶対にないとは限らない
安心R住宅は、事業団体が決めた基準を満たした住宅です。
ただし、その基準は「壁:著しいカビ、剥がれ、著しい汚れ、悪臭や生活臭がないこと」など、曖昧なことが多くなっています。
インスペクションされているので大きな欠陥はないと考えられますが、必ずご自身の目でよく見るようにしましょう。
リフォーム内容をよく検討する
安心R住宅の場合には、リフォームが実施されているか、もしくはリフォームプランが提案されます。
リフォームされている(提案されている)なら自分では何もしなくて良いと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、中古住宅購入者からはこのような失敗体験談も寄せられています。
パートナーと生活するため、リフォーム済みの中古マンションを購入したのはいいのですが、リフォームにトイレは含まれておらず、トイレが水漏れ故障していることに購入後気が付きました。業者に相談したら、購入者は気づかないケースが多いけれど、20年以上経過した中古マンションでは、ほとんどはパッキンやタンクに不備があるとのこと。トイレは全部取り替えると17万かかるということでした。>>この体験談をもっと詳しく見る
マンション内の共有施設やサービスが充実している点が気に入って中古マンションの購入を決めました。ですが、室内に関して不満が残る結果となりました。購入前に内装はリフォーム済みとの説明を受けましたが、フルリフォームではなくハーフリフォームだったのです!お風呂はリフォームされておらず、床タイルの劣化がとても気になります。>>この体験談をもっと詳しく見る
リフォーム済の場合はいつどこがリフォームされたのか、他にリフォームすべき箇所はないか必ず確認するようにしましょう。
住まいサーフィンの「実録!マンション・一戸建て購入のしくじり体験談」では、住宅購入者の実体験談を掲載しています。どんなことに気を付けるべきか分かるので、是非ご覧ください。
中古住宅を売るときの注意点
不動産会社の力量に左右される
安心R住宅で売る場合には必ず専任媒介契約か専属専任媒介契約になるので、1社としか契約できません。
不動産会社の売却能力が高くないとなかなか売れないという事態になってしまうので、どの会社と契約をするのかは慎重に決めましょう。営業活動は積極的に行ってくれているか・担当者は信頼できるのかなどを見極める必要があります。
適切な売り出し価格を知っておく
売却を成功させるためには「売り出し価格」が重要です。価格が高すぎればいつまでも売れなくなり、安すぎれば損をしてしまいます。
売り出し価格は不動産会社と相談して決めることになりますが、悪質業者だと相場から離れている価格を提案してくることがあります。しかし相場や適切な価格が分かっていれば、その時点で「この業者は信用できないかも」と気付くことができます。
適切な価格を知るためには、売却予定の不動産を査定して、相場価格を調べましょう。
査定といえば、複数の不動産業者にまとめて査定依頼をする「一括査定サービス」を想像する人が多いと思います。一度の手続きで複数社から査定結果が届くので便利ですが、注意が必要です。
なぜなら、依頼を獲得するために、査定価格を相場よりも高く提示してくることがよくあるからです。
「うちならこの価格で売ってみせますよ」と言ってくるので、ついつい信用して契約してしまいます。もちろん売れるはずもなく、結局価格を下げることになります。
そんな事態を防ぐために、一括査定をする前にご自身で情報収集を行いましょう。周辺の不動産がどれくらいの価格で売られているのか定期的にチェックしてみてください。
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5.まとめ
今回の記事では、安心R住宅について解説しました。
安心R住宅なら新耐震基準に適合しているので、住宅ローン控除などの減税制度を利用できることが多いです。
中古住宅は新築よりはお手頃な価格ですが、それでも購入時には高額な費用がかかります。少しでもお得に、そして安心して住宅を購入できると良いですね。
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