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住まいサーフィン編集部

つなぎ融資と分割融資の違いは?どちらが有利になる?!

2024年08月23日

更新日最終更新日:

つなぎ融資と分割融資の違いは?

マイホーム購入時に多くの人が使う住宅ローン。

その住宅ローンの融資実行は建物が完成して引渡しを受ける時です。

でも、注文住宅を購入する際は土地の代金や着工費など建物完成前に様々な支払いが生じます。
そんな時に使えるのが「つなぎ融資」や「分割融資」。

この記事では、「つなぎ融資」「分割融資」の内容と違い、どちらを利用すればいいのかなどわかりやすく解説していきます。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

1998年開設、マンションの適正価格や資産価値を判断するための価格情報サイト「住まいサーフィン」が運営。
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有し、不動産の専門知識を持つスタッフが自宅売買に役立つ情報を発信します。
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1.つなぎ融資とは?その基本概念と特徴

つなぎ融資とは?

住宅を購入する際、住宅引き渡しの前に必要となる資金を準備できない時に一時的に利用する融資を「つなぎ融資」と言います。

つなぎ融資とは、住宅ローンの融資実行までに必要な資金を別の借入方法で受ける短期的な融資のことで、いわゆる住宅ローンではありません。先に支払いが必要なお金を一時的に借り、あとから借りる住宅ローンで一本化するのがつなぎ融資です。つなぎ融資を利用することで、土地の残代金から建物の上棟金までをカバーできます。

つなぎ融資の流れ

つなぎ融資が必要なケースとは

そもそも注文住宅で支払いが必要なタイミングとはどんな時なのでしょうか?

注文住宅では建売住宅とは違い、支払いのタイミングが3~4回あります。

(工事代金の支払方法やタイミングはハウスメーカーや工務店ごとに決まっており、ここにあげたケースはよくある支払いのタイミングになります。)

土地を購入する時

土地探しから始めて家を建てる場合、先に土地を購入します。代金の支払いも土地購入時となります。

着工金を支払う時

建築工事が始まる前に施工業者と工事請負契約を結びます。その際に支払うのが着工金で、建築費用の1/3程度です。

中間金を支払う時

一般的に柱や梁などの建物の骨組みを完成した棟上げ時に支払うのが中間金と呼ばれます。工事の途中で中間金として建築費用の1/3程度を支払います。

引渡しの時

建物が完成して引渡しの時に融資が実行され、このタイミングで建築費用の残金を支払います。

住宅ローンの融資実行は建物完成時になります。よって、それまでの支払い費用は住宅ローンが融資実行される前に必要となります。この資金を借り入れでまかなう時に利用されるのが「つなぎ融資」です。

つなぎ融資は無担保で借り入れることになりますので、住宅ローンの事前審査が完了し、金融機関より完成後の融資の内諾を得ていることが必要になります。
資金使途は土地取得資金や建物建築資金に限られるなどの制限があります。

つなぎ融資の返済方法は2通りです。

① つなぎ融資の期間は利息のみの支払いで、住宅ローン融資実行時にまとめて返済。

② 利息もまとめて住宅ローン融資時にまとめて返済。

金利が住宅ローンよりも高めの設定なので決して少なくはない金額です。また、つなぎ融資のための諸費用(事務手数料や収入印紙代)が必要になります。
つなぎ融資を利用する際は、着工期間の短縮を依頼し借入期間をなるべく短くしたり、自己資金をなるべく使うなどして、少しでもコストを下げる工夫が必要かもしれません。

注文住宅の場合、つなぎ融資を利用してから建物が完成し引渡しまでの期間利息がかかります。何らかの事情により建物の完成が遅れると当初予定していたよりも支払利息が増える可能性がある点に留意しておく必要があります。
また、つなぎ融資で借入れることができる限度額は、「最大○○万円」「住宅ローンの借入額と同額」などと金融機関によって条件が異なりますので、金融機関に事前に確認しましょう。

つなぎ融資の金利

つなぎ融資の金利は2〜4%が相場で、住宅ローンに比べ高めです。
借入期間が長かったり金額が大きかったりすると、支払う利息も高額になるので要注意です。

【つなぎ融資利息例】

実際につなぎ融資を下記のような条件で借りた場合どのくらいの利息がかかるのか計算例を見てみましょう。

<例>土地代2,000万円を6ヶ月、着工金800万円を3ヶ月、中間金600万円を2ヶ月、年利3%のつなぎ融資を組むと以下のような利息水準になります。

融資額 融資期間 融資利息
土地代  2,000万円 6か月(180日) 2,000万円×3%÷365日×180日=29万5,890円
着工金  800万円 3か月(90日) 800万円×3%÷365日× 90日=  5万9,178円
中間金  600万円 2か月(60日) 600万円×3%÷365日× 60日=  2万9,589円
【 利 息 合 計 】 38万5,197円

2.住宅ローンの分割融資とは?

分割融資の基本的な仕組み

分割融資とはどういった融資でしょうか?

分割融資とは、住宅ローンを複数回にわたって利用する融資の方法で、全額住宅ローンの扱いです。住宅購入の際に必要な資金を一度に借りるのではなく、段階的に借りることができる融資方法です。

金利の設定方法も返済方法も融資を受ける金融機関によって異なります。

融資のタイミングは2回までならどのタイミングでも利用できるとする場合や、3~4回まで利用可能という金融機関もあります。融資が必要なタイミングで融資を受けられないと、融資実行以外のタイミングでは自己資金を用意する必要が出てきてしまいます。ですので、必ず、分割融資が何回まで利用可能で、ご自分の資金を調達する必要があるタイミングと合っているか、分割融資可能な回数の確認は必ず行いましょう。

分割融資の金利

分割融資で融資を受ける際の金利の設定は金融機関によって異なります。

1⃣ 一括して同じ金利を設定
1回目の融資金利が2回目以降の融資時にも適用されます

例:土地購入時(1回目)の融資金利が1.5%、建物購入時(2回目)の融資金利が1%だった場合

1回目   1.5%
2回目以降 1.5%

2⃣ 融資のたびに金利を設定し直す
住宅ローンを受ける時にそれぞれ融資を受けます

例:土地購入時(1回目)の融資金利が1.5%、建物購入時(2回目)の融資金利が1%だった場合

1回目   1.5%
2回目    1%

分割融資の返済のタイミング

  • 1⃣ 融資が実行された翌月から返済開始
  • 2⃣ 建物が完成し、引き渡された後から返済開始
  • 3⃣ 建物の引き渡し後、すべての融資が実行されるまでは、最初の融資実行より利息分のみを返済する

分割融資の利点として、借入金額が段階的に増えるため、利息負担が少なくなることが挙げられます。また、工事の進行に応じて必要な資金を適時に受け取れるため、資金計画が立てやすくなります。

ただし、分割融資にはデメリットも存在します。例えば、融資のたびに手数料がかかる場合があるため、総費用が増える可能性があります。また、融資の条件やスケジュールによっては、資金が必要なタイミングで受け取れないリスクもあるため、事前にしっかりと計画を立てることが重要です。

3.メリットとデメリット

つなぎ融資と分割融資の主な違いは何でしょうか?そのメリットとデメリットをそれぞれ比較してみましょう。

つなぎ融資

短期融資で住宅ローン融資とは別

【メリット】
●無担保融資
●抵当権の設定なし
●登録免許税に減税装置がある

【デメリット】
●無担保のため金利は高い
●住宅ローンではないので住宅ローン控除を受けられない
●事務手数料や収入印紙代が必要

分割融資

1本の住宅ローン契約で複数回に分けて融資を受ける

【メリット】
●金利は全て住宅ローン金利で借り入れられる
●住宅ローン控除が受けられる

【デメリット】
●土地、建物それぞれに抵当権設定が必要
 ⇒登記費用が2回必要 
 ⇒土地のみの場合、登録免許税の優遇措置が受けられない

■抵当権設定登録免許税の優遇措置

抵当権設定の税率は通常0.4%です。
これが、新築の場合(新居購入の場合)は0.1%に優遇措置がなされます。
しかし、土地のみに抵当権設定する場合はこの優遇措置が受けられず通常の0.4%がかかります。
つまり、0.3%が割高になります。
分割融資の場合は土地の抵当権設定費用の優遇措置を受けることができません。

【優遇措置あり】※1回の住宅ローンやつなぎ融資の場合

(例)3,000万円の土地に建物と一緒に抵当権を設定する場合(1回のみ)

 登録免許税は12万円のところ、優遇措置がなされて3万円で済む (0.1%)
   【計算 3,000万円 × 0.001(0.1%) = 3万円 】

【優遇措置なし】※分割融資の場合

(例)分割融資実行に伴い、3,000万円の土地のみに抵当権を設定する場合(2回設定)

 登録免許税は12万円 (0.4%)
   【計算 3,000万円 × 0.004(0.4%) = 12万円 】

■住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除される制度です。住宅ローン控除は入居から最大13年間にわたって受けられます。(2024年現在)

費用の比較

つなぎ融資
事務手数料 金融機関によるが10万円前後
収入印紙代 100万円を超え500万円以下…2千円
500万円を超え1千万円以下…1万円
1千万円を超え5千万円以下…2万円
5千万円を超え1億円以下 …6万円
団体信用生命保険料 つなぎ融資実行時の死亡などのリスクに備えた保険への加入費用
(金融機関が負担することもある)
分割融資
※通常の住宅ローンで
かかる費用以外のもの
抵当権設定費用 土地・建物それぞれに必要
抵当権設定の税率は通常0.4%
手数料 融資ごとに手数料がかかる
※金融機関による(1回のみの金融機関もあり)

つなぎ融資と分割融資、どちらがお得か?

つなぎ融資と分割融資のどちらがお得かを判断する際には、各々のメリットとデメリットを理解することが重要です。

つなぎ融資は、主に住宅の建設中に必要な資金を確保するために利用されます。建設が完了し、正式な住宅ローンが実行されるまでの間の資金繰りをサポートします。このため、つなぎ融資は短期間での利用となり、利息が高めに設定されることが一般的で便利な半面「もったいない」という声もよく聞かれます。

一方、分割融資は住宅ローンの一部を段階的に実行するものであり、建設の進捗に合わせて資金を受け取ることができます。これにより、つなぎ融資と比べて利息負担を軽減できる場合があります。しかし、分割融資は手続きが複雑であり、各段階での審査が必要となることもあります。また、土地、建物それぞれに抵当権の設定をする必要があります。

結論として、資金繰りのスムーズさとかかる費用や利息負担のバランスを考慮し、自分の状況に最適な方法を選ぶことが重要です。

4.利用可能な金融機関

つづいて、実際につなぎ融資を行っている金融機関を見ていきましょう。
(つなぎ融資対応可能な金融機関の一部になります)

つなぎ融資が可能な金融機関は限られていますが、従来の銀行だけでなくネット銀行でも取り扱っています。金利や融資限度額が異なりますので、自分に合った金融機関を検討する必要があります。

金融機関 金利 融資限度額 契約諸費用
楽天銀行 2.84%
(2024年8月1日~2024年8月31日基準金利)
500万円以上融資額以内
最大3回まで
手数料一律11万円
収入印紙代
SBI新生銀行 固定金利手数料定額型
0.75%
500万円以上土地購入代金100%以内 事務手数料0円
電子契約手数料5,500円
三井住友銀行
(つなぎローン)
三井住友住宅ローン変動金利型と同一 400万円以上住宅金融支援機構直接融資額以内 保証料33,000円
ARUHI(フラット35) (実質年率)15.0%以下 100万円以上8,000万円以下 手数料一律11万円
収入印紙代
アプラス 固定金利
短期プライムレート+年0.275%
[現在レート:1.750%](2024年8月現在)
※2024年9月25日以降は変更予定
500万円以上1億円以内
(住宅ローン融資額以内)
手数料11万円
※2024年9月25日以降は16.5万円予定

現在人気のネットバンク「ジャパンネット銀行」「auじぶん銀行」「住友SBIネット銀行」などはつなぎ融資を行っていません。

しかし、金利も低く魅力的な商品もあります。つなぎ融資を行っていない金融機関をどうしても住宅ローンの借入先にしたい!
そんな時には、「アプラス」などのつなぎ融資だけでも融資可能な金融機関がありますので、ハウスメーカーや工務店に相談すると良いでしょう。

分割融資が可能な金融機関

次に分割融資が可能な金融機関を見ていきましょう。分割融資が可能な金融機関の一例です。
地方銀行でも分割融資の対応可能な銀行がありますが数は限られています。
ネット銀行は分割融資が対応不可となっていることが多いようです。

金融機関 金利 おすすめポイント
みずほ銀行 0.375%~ 1⃣ 団体信用生命保険に無料で加入できる
2⃣ 手数料等が二重で発生しない
手数料は住宅ローンの1回のみ、追加では発生しません
三井住友銀行
(土地先行融資)
住宅ローン金利

1⃣ 住宅ローンの金利で借入可能
2⃣ 一定の要件を満たせば、土地資金の借り入れも住宅ローン控除の対象

【デメリット】土地・建物で個別に申込が必要
契約ごとに手数料(融資額の2.2%)、登記費用が発生

りそな銀行 住宅ローン金利

1⃣ 住宅ローンの金利でお借入可能

分割融資では、土地取得から2年以内に居住するなどの条件を満たすと土地資金の借り入れも住宅ローン控除を適用可能です。

5.まとめ

こちらの記事では「つなぎ融資」「分割融資」についてみてきました。

注文住宅をお考えの方は、その内容を把握しておくといいでしょう。

つなぎ融資、分割融資を利用することで、自己資金が少なくても憧れの注文住宅を実現できます。

「もったいない」といわれるデメリットだけではなく、メリットも含めて総合的に判断しましょう。

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