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キッチンやリビングなどで天井の一部が他の天井よりも少し低くなった天井を見かけたことがあるのではないでしょうか。
いわゆる「下がり天井」です。
下がり天井を付けることでどういった良さが生まれるのか。
また、どういった取り入れ方をすればおしゃれになるか。
「下がり天井」のメリットやデメリットについて解説していきます。
目次
1. 下がり天井とは?
天井の高さを一部分だけ通常の天井よりも低くする建築手法を「下がり天井」と言います。
下がり天井にすることで「デザインの一部」としてメリハリをつけることができます。
また、梁や配管などのダクトスペースを綺麗に隠すために下がり天井になっていることもあります。
デザインの一部として
「下がり天井」はデザインの一部として、とても魅力的な効果を発揮します。
異なる高さの天井を組み合わせることで視覚的な広がりをもたらす効果があります。
キッチンやリビングの一部分の天井を下げ、その部分に異素材や違うカラーのクロスを使ったり、床材と同じ木の素材や木目調のシートを使うことで、空間に奥行きを出しメリハリをつけることができます。
通常の天井より10cm下げて、アクセントウォールを配置したり、15cm~20cm下げることでその隙間に間接照明やダウンライトを設置することができます。
照明の効果
- リビングなどの高い天井 ⇒ シーリングライト
- 下がり天井の少し低い天井 ⇒ ダウンライト
- 下がり天井の隙間 ⇒ 間接照明
光に強弱をつけることができ、バランスの良い灯りを得ることができます。
(キッチンとリビングの間に下がり天井を取り付けた間取り実例)
アイランドキッチン+下がり天井など、下がり天井を使ったおしゃれなキッチンが最近では人気を集めています。
梁や配管を隠す
梁や配管などのダクトスペースなどが本来のリビングやキッチンの一部を占めてしまうことがあります。
そんな時に、下がり天井にして構造体や設備をおしゃれに隠すことができます。
デザインの一部として、美しくカバーすることで空間をおしゃれに演出することができます。
また、下がり天井にした部分に梁やダクトだけではなく、埋め込み式のエアコンを備え付けて、空間をスッキリとすることもできます。
2. 下がり天井のメリット・デメリットとは?
次に下がり天井の「メリット」「デメリット」を見ていきましょう。
メリット
圧迫感や閉塞感が出ない
うまく下がり天井を間取りの一部に取り入れることで、空間全体の圧迫感や閉塞感を減らすことができます。
天井を下げるのに閉塞感が出ないの?と思われるかもしれませんが、下がり天井では異素材の材質のものを使ったり、全体のアクセントになるカラーを用いたりすることが多いです。
下がり天井であえて天井の一部を低くし、全体との段差をつけてることで空間全体を広く見せる効果があります。
構造体や設備をおしゃれに隠す
どうしてもダクトスペースや梁が出てしまう構造の場合は、天井の一部を出っ張らせて梁やダクトを通します。この場合も下がり天井と言います。
うまく隠して、下がり天井をおしゃれな天井のアクセントにすることができます。
視覚的に空間を分ける
空間の一部に高さの差を設けることで空間にアクセントが生まれます。
例えば・・
【キッチン】下がり天井 + 【リビング】 少し天井が高くなる(キッチンに比べて)
⇒ 奥行きを感じて全体的に広いと感じる空間に!
キッチンとリビングに緩やかな区切りができる効果も!
落ち着いた雰囲気に
寝室や和室などに用いると、天井がほかの部屋よりも低くなり落ち着いた雰囲気に。
寝室上部に下がり天井を設けると、隙間に間接照明を設置することができ、柔らかい光を取り入れることができ、寝るのに最適な空間により近づくでしょう。
デメリット
圧迫感を感じる
下がり天井は圧迫感を感じずに空間を広く見せるように取り入れることができる一方で、取り入れる場所によっては天井の高さを低く感じてしまい圧迫感を感じてしまうことがあるかもしれません。
下がり天井を取り入れる場合には元々の天井高が大切になってきます。
取り入れる場所、何色にするか、どんな素材にするかなどでマイナスをプラスに変換することができるので、色々な施工例を参考に、ご自身の家に合う下がり天井をイメージすることが大切です。
施工費用がかかる
通常の天井仕上げに比べ、オプショナル費用として多くの場合施工費用が発生します。
施工費用は施工面積や施工業者により異なりますが、一般的には2万円から10万円ほどかかります。
そして、クロスを変更する場合はクロス代、追加の間接照明などの費用も発生します。
前もって打ち合わせで確認しておきましょう。
掃除の手間が増える
下がり天井部分に間接照明を埋め込む場合など、隙間が生まれることがあります。
隙間に埃が溜まりやすくなりますのでお掃除が必要となります。
手が届かない高さになりますので、ハンディモップなどを使って安全に掃除できるよう前もって準備するといいでしょう。
家具が置けない可能性も
場所によっては天井高が低くなることにより、予定していた家具が置けなくなる可能性もあります。
キッチンで採用した場合、食器棚や冷蔵庫などの置き場所には要注意です。
後悔のないよう、下がり天井にしたい場所の把握はしっかりとしておきましょう。
3. 「下がり天井」どんなところにどんな風に使えばおしゃれになる?
次にどんな風に下がり天井を取り入れていけばいいのかを見ていきましょう。
キッチン
下がり天井を最も取り入れやすい場所がキッチンです。
もともとそんなに高さを必要としない場所なので、リビングなど他の場所とのゾーン分けにも最適です。
壁を必要とせずにLDKの解放感を保ちながらゾーンを分けることができるので、広い空間のままメリハリをつけることができるでしょう。
キッチンを下がり天井にする場合、リビング側に向かって照らす間接照明を付ければリビングへ向けた柔らかい光がホテルのような高級感を出してくれるでしょう。
キッチンの天井高
現在日本の住宅では2400㎜が一般的な天井高になっています。
(建築基準法上では2100㎜以上と定められています。)
キッチンの天板の高さは80㎝~90㎝と使う人の身長によって選ぶことができます。
また、コンロからレンジフード迄の高さは80㎝以上と決まっています。
レンジフード迄の高さが必ず必要となりますので、使う人の身長、設置予定のキッチンの設備、天井高によって、下がり天井を採用できるかどうかの判断をする必要があります。
リビング
リビングの中央部分などを思い切って下がり天井にすると他の空間との差ができて、おしゃれな空間を作ることができます。
「折り上げ天井」と言って「下がり天井」とは反対に天井の一部を上げる手法もあります。
(折り上げ天井、天井の高低差をうまく利用した実例)
こちらも天井高を他の部屋より一段と高くすることで開放感が生まれます。
どちらも天井高が必要となります。
どちらが自分の希望とするイメージに合うのか、採用する際には施工会社とよく相談するといいでしょう。
寝室
下がり天井と間接照明をうまく使って、落ち着いた雰囲気の空間にすることができます。
枕元の上部のみを下がり天井にしたり、広い主寝室であれば、ベッドを置く上部の天井を下がり天井にし、そこらからの間接的な照明で柔らかな明かりを取り込めます。
寝室をゆったりと安らげる空間へすることができるでしょう。
和室
畳の和室では座ってくつろぐことが多いですよね。
そんな日本独特の空間ではやはり少し低い天井高が落ち着きを感じられることが多いものです。
和室での下がり天井は床材と同じ木材を用いたり、少し違う雰囲気にしたければ木目のアクセントクロスを使うのもいいかもしれません。
下がり天井を使っておしゃれに落ち着く空間を作ることができるのも和室がある家ならではなのかもしれません。
玄関
玄関の一部に下がり天井を作ることもできます。
間接照明と併用して「家の顔」となる玄関をおしゃれな空間に仕上げましょう!
マンションのエントランスでもよく見かけます。
下がり天井+照明でおしゃれな空間に仕上げられています。
4. 下がり天井を取り入れるときの注意点
では、下がり天井を取り入れる時にはどんな点に注意すればいいでしょうか?
圧迫感がないか
下がり天井を用いると空間にメリハリが生まれ、開放感が生まれる・・と言いましたが、天井高が低すぎるとその効果は半減。逆に圧迫感が生まれかねません。
もうすでに竣工済みの建物や中古であれば実際に見て確認をしましょう。間取り図には点線で書かれることもありますが、簡単な間取り図であれば表記のない場合もあります。
また、注文住宅を建てる際、採用するか迷ったときには設計士やハウスメーカーの方に相談してみるといいでしょう。
竣工済もしくは中古の場合は実際に現場で確認
下がり天井になっている場合、なぜ下がり天井になっているかを確認しましょう。
デザインなのか、それとも、構造を隠すためのものか。
デザインの場合は構いませんが、構造を隠すためのものだとリフォームの場合でも同じ位置を下がり天井にする必要があるので注意が必要になります。
オプション費用
注文住宅を建てる際、下がり天井は多くのハウスメーカーでは標準仕様ではないため、追加の施工費用が必要となります。
下がり天井を採用したいとなった場合、施工費用、クロス代、間接照明代など、どのくらい必要になるかをしっかりと確認しておきましょう。
リフォーム時に採用
リフォームでも下がり天井を取り入れて、部屋の印象を大きく変えることができます。
大幅なリフォームが難しい場合でも、割と手軽にできる下がり天井のリフォーム。
キッチンの一部を下がり天井としてリフォームするだけでも部屋の印象は大きく印象が変わります。
間接照明を使うなどして、空間をスタイリッシュに仕上げることが可能です。
リフォームしたい箇所が下がり天井に適した高さがあるか、空間に圧迫感が出ないかなど確認の上、リフォームに取り掛かりましょう。
5. まとめ
下がり天井は比較的簡単に取り入れることができ、おしゃれな空間を手軽に作ることができる手法の一つだということがお分かりいただけたでしょうか?
また「下がり天井」の他、少しご紹介した「折り上げ天井」、天井自体を屋根などの傾斜に合わせた「勾配天井」など天井だけでも様々な手法があります。
天井のデザインや素材の選び方で家の印象は大きく変わります。
取り入れる際にはメリット・デメリットをしっかりと把握して、最も効果的なところへ取り入れることができるようにするといいですね。
さて、この記事をお読みの方は、注文住宅を検討している方も多いかと思います。
注文住宅を建てる方の多くは、まず先にデザインを重視する傾向にあります。
しかし、戸建て住宅に住む上でこのような心配事はありませんか?
- ● 地震発生時の倒壊リスクが、マンションよりも戸建ての方が高い
- ● マンションに比べて、部屋が寒い印象がある
- ● 友人のマンションに比べ、エアコンの効きが悪い
- ● ヒートショックはマンションよりも戸建てで起きやすい
戸建て住宅には上記のようなリスクがあるため、デザインだけでなく住宅性能を考慮した家造りが重要です。
住宅性能は目に見えませんが、部屋の暖かさや通気性の良さは住んだ後に実感できます。
さらに、高性能住宅は省エネ効果が高いため毎月の光熱費削減にもつながります。
安全・安心で快適な暮らしを送るために、耐震性や断熱性にも配慮したマイホーム計画を立てましょう。
また近年、住宅関連の様々な補助金制度が運用されており、高性能住宅を建てれば補助金が受け取れます。
さらに、省エネ住宅は税制優遇までも受けられるので活用して損はありません。
リフォームでも補助金はもらえるので、リフォームを考えている方も断熱化を検討すべきでしょう。
補助金の詳細はこちらをご覧ください。
理想の注文住宅を手に入れたい方はこちらの動画をぜひご覧ください。
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