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皆さんは『ペアガラス』についてお聞きになったことはありますか?
ガラスが二重になっている窓ガラス、いわゆる複層ガラスの窓ガラスのことを言います。
窓をペアガラスに交換するとどんな効果があるのでしょうか?
ペアガラスのメリット・デメリットについて解説していきます。
また、節電したいこの夏にできる省エネ対策についてもみていきたいと思います。
目次
1. ペアガラスの複層窓とは?
ペアガラスとはガラスが二重になっている構造で「複層ガラス」と呼ばれるものです。
二枚のガラスの間に隙間(空間)があり、ガラスの間に空気層(中空層)があるものを言います。
サッシの枠は1つで、見た目は一重の窓と変わりません。
また、使い勝手や掃除方法も通常の窓ガラスと変わりません。
ペアガラス普及率
2022年に建てられた一戸建てでは98.4%、マンションなどの共同住宅では81%の住宅でペアガラスが採用されています。
※出典:板硝子協会調査(https://www.itakyo.or.jp/upload/ecoglass_penetration_2023.pdf)
二重サッシとは?
独立した窓が二重になっているものを言います。
窓枠(サッシの枠)が二重になっており、ペアガラスとは異なります。
「内窓」「二重窓」「インナーサッシ」などとも呼ばれます。
ペアガラスに比べ防音、遮熱効果が高いです。
ただ、窓枠に余裕がないと取り付けができない他、窓が2つになるため開け閉めが面倒などのデメリットがあります。
ペアガラスではそういった取り付けの制限がないため、どんなご家庭でも採用することができます。
(ただし、既存のサッシ幅より取り付けるペアガラスの幅が大きくなる場合はサッシ交換が必要となります。)
2. ペアガラスサッシのメリットとは?
ペアガラスの種類によって得られる効果は異なります。
住んでいる地域や建物、日当たりなどにより必要なレベルと予算に応じて、商品を選ぶ必要があります。
ガラス選びは窓の性能向上に大きな影響を与えるため慎重に選びましょう。
ペアガラスサッシのメリット、そして、ペアガラスの種類について詳しくみていきましょう。
①断熱性・遮熱性強化
ペアガラスにすることによって断熱性・遮熱性を向上させることができます。
ガラスとガラスの間に空気の層(中空層)があるため、外気温が伝わりにくく断熱性に優れています。
1枚ガラス(フロートガラス)に比べると約2倍の断熱効果があります。
②結露防止効果
ペアガラスの間には乾燥剤及び乾燥空気を封入されていて、結露が発生しにくい仕組みになっています。
結露とは室内の暖かい空気が、窓越しに伝わる冷たい空気によって冷やされることにより発生します。
空気は温度が高いほどたくさんの水分を含むことができるので、気温が下がると余計な水分が放出され、放出された水分が窓ガラスに水滴(結露)となって付着するのです。
ペアガラスにすると外気温が伝わりにくくなり、屋内側に面するガラス面表面の温度が下がりにくくなるので、温度差ができにくく、結露は発生しにくくなります。
③紫外線カット率が上がる
室内にいても紫外線は窓を通して侵入し、私たちは知らず知らずのうちに紫外線の影響を少なからず受けています。
日焼けやしみ・そばかすと言った「肌トラブル」はよく聞かれるかと思います。また、深刻になると皮膚がんや白内障など健康トラブルへとつながってしまいます。
また、紫外線は人体だけではなく、住まいにもダメージを与えます。床材や壁材、ソファーなどの家具などを変色させるだけではなく、素材自体にもダメージを与え、劣化へとつながります。
そんな紫外線ですが、ペアガラスによって紫外線の侵入を和らげることができます。
ガラスが二重、三重になることで、単純に紫外線が入りにくい環境になります。
さらにガラス自体をUV効果があるものにすれば、さらに紫外線の透過を大幅に防ぐことができます。
ペアガラスの種類
ここからは、複層ガラスの中でも特に性能が高いガラスをいくつかご紹介します。
Low-E複層ガラス(Low-Eペアガラス)
ガラスの内側に「Low-E金属膜」という特殊な金属膜をコーティングされているガラスを使ったペアガラスがあります。
従来のペアガラスよりもより断熱性、遮熱性が高くなります。
ガラスにコーティングされたLow-E金属膜が太陽の熱や部屋で温まった熱を吸収・反射することにより、夏の暑さを和らげ、冬の暖房効率を高めるなど、省エネ効果を発揮します。
画像出典:ルジェンテ小石川播磨坂 公式サイト
ペアガラス(Low-Eペアガラス)が標準装備されたマンション例
真空ガラス
Low-E複層ガラスをさらに進化させた、中空層が真空になった「真空ガラス」というものがあります。
真空層にすることで熱が伝わらず、真空ガラスの断熱効果は従来のペアガラスの2倍にもなります。
真空ガラスの中でも人気が高いのが日本板硝子の「スペーシア」です。断熱性、遮音性がより強化されたもの、遮熱性がプラスされたものなど、色々な商品がありますので、ご家庭のニーズと予算に合わせて商品を選択しましょう。
トリプルガラス
ペアガラスは2枚のガラスで構成されていますが、トリプルガラスはその間にもう一枚挟んだ3枚のガラスで構成されています。
3枚の方が2枚に比べてより断熱性能、遮熱性能が高まります。
ただ、重量が重くなり、リフォームでの取り付けが難しい、値段が高くなるなどのデメリットがあります。
トリプルガラスを採用したい場合は前もって計画的に採用することをおすすめします。
従来のペアガラスとLOW-Eペアガラスで、断熱性・遮熱性・結露防止効果をそれぞれ比較しました。
ガラスの種類 | 断熱性 | 遮熱性 | 結露防止 |
---|---|---|---|
従来のペアガラス | 〇 | △ | 〇 |
LOW-Eペアガラス | ◎ | 〇 | 〇 |
また、紫外線量カット率を比較しました。
紫外線量カット率 | ||
---|---|---|
従来のペアガラス | 40% | |
LOW-Eペアガラス | 80% | |
防犯安全合わせ複層ガラス 安全合わせ複層ガラス※ |
99% |
※防犯安全合わせ複層ガラス/安全合わせ複層ガラス
ガラスとガラスの間に強度と柔軟性に優れた樹脂中間膜が入っており、破壊されにくい防災タイプの複層ガラス。その膜のおかげで紫外線カット率も99%になっている。
3. ペアガラスサッシのデメリットとは?
続いて、ペアガラスのデメリットについてみていきましょう。
①熱割れの危険
「熱割れ」とは1枚のガラスの中で高温になっている箇所と低温になっている箇所といった温度差が生まれてしまうことでガラスが割れてしまう現象を言います。
ガラスは温まると膨張するという性質があります。
一枚のガラスの中で温度差が生まれた時に、ひび割れが起こります。
ガラスが外側と内側の2重構造となっているペアガラスは実は熱割れを起こしやすいガラスの一つです。
直射日光を受けることで外側面だけが熱を吸収して温度が上昇、一方内側はそこまで温度が上がらず温度に差が生まれやすくなり、熱割れの危険性が高まります。
断熱性を上げたい、結露を防止したいとガラスに熱を吸収するフィルムなどを貼ることは避けてください。ガラスにフィルムを張ることで熱が逃げにくくなり、逆に熱割れの危険性が上がってしまいます。
どうしても貼りたい場合は『複層ガラス対応』のフィルムが売られていますので、複層ガラス対応のフィルムを貼るようにしましょう。
②低音域共鳴透過現象の発生
ペアガラスはガラスが2枚になっているため、中高音域では遮音性が高くなります。
しかし、騒音の聞こえやすい低音域では「共鳴透過現象」により遮音効果が下がる傾向にあります。
「共鳴透過現象」とは、同じ厚さの2枚の板ガラスが狭い空気層を挟んでおり、その空気層がバネとなってガラスに振動や音を伝える現象のことです。いわゆる、太鼓のようになり、騒音が大きくなってしまう現象です。
これを避けるためには厚みの異なる2枚のガラスを用いた「異厚複層ガラス」や防音効果の高い「防音ガラス」を使用することで防音効果が高まります。
「異厚複層ガラス」の外側のガラスに防音ガラスを用いた「合わせ複層ガラス」があります。防音効果と防犯効果を併せ持つ複層ガラスです。防犯が気になる1階やベランダなどに使うことで、結露防止、防音効果が得られるのでおすすめです。
③ペアガラスは高い?
一般的なガラスの料金の目安は下記のとおりです。
機能が上がるにつれて価格も上がります。
必要な機能と価格のバランスを見て、採用する窓ガラスのグレードを選びましょう。
ガラスの種類 | 価格 (90㎝×90㎝) |
---|---|
通常のガラス | 10,000円 ~ 25,000円 |
従来のペアガラス | 15,000円 ~ 35,000円 |
Low-Eペアガラス | 25,000円 ~ 80,000円 |
高防犯ペアガラス | 80,000円 ~ 150,000円 |
また、単板ガラス(フロートガラス、1枚ガラス)から従来のペアガラスへ交換する際、ガラスの厚みが異なるためサッシの交換が必要になります。
ただし、アタッチメント付きのペアガラスやスリムタイプのペアガラスはサッシ交換不要のものもあります。
オーダーの際にはサッシの交換が必要になるかどうか確認しておきましょう。
④従来のペアガラスでは防犯性を高める効果はない
デメリットではありませんが従来のペアガラスでは防犯性能は高まりません。
残念ながら従来のペアガラスでは叩く力には効果がないためです。
ただし、防犯安全合わせ複層ガラスであれば、ガラスと中間膜が加熱圧縮されているので、衝撃などでも破壊されにくく、万一割れた場合でも破片が飛散しにくく安全性に優れています。
官民合同会議の定める『防犯性能の高い建物部品』として認定されています。
4. まとめ
ペアガラスを用いることによって断熱性が(Low-Eペアガラス、真空ガラスは遮熱性も)アップすることをお伝えしてきました。
少ない風量でも夏は涼しく、冬は暖かく保つことができるので、大幅な光熱費の削減が期待できます。
ペアガラスは冷房・暖房の効果を高めることができます。効率的に部屋を冷やしたり、温めることができるため光熱費の削減が可能となり省エネへとつながります。
しかし、窓ガラスを交換する費用の負担は家計にとって大きなもの。
そこで、交換費用を抑えるために補助金を積極的に利用しましょう!
断熱材のリフォーム補助金の利用
リフォームと聞くとお金がかかるイメージがあると思いますが、今回のように窓ガラスの交換だけ行うなど部屋の一部分からでも取り組めます。
最近では、国や自治体もさまざまな補助金制度でその推進をバックアップしています。
住宅リフォームの支援制度として「住宅省エネ2024キャンペーン」が行われています。
「先進的窓リノベ2024事業」で省エネ性に優れ、災害にも強く、健康にも資する断熱・太陽光住宅の普及拡大を促進するため、高断熱窓・ドア等への改修に対して補助が行われています。ぜひ活用してみてください。
ところで、2025年4月から、すべての新築住宅に省エネ基準適合が義務化されます。一定以上の省エネ性能は保障される一方で、価格が心配という方も多いのではないでしょうか。住宅価格の高騰は今後も続く見通しです。
また、住宅価格の高騰以外にも、将来の金利上昇、建築費高騰、人口減少といった不安要素は多くあります。住宅購入で後悔しないためには、やはり情報収集が重要です。
とはいえ、どうすれば良いか分からないという方も多いでしょう。
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▼PIVOT 5年後、都心のマンションはどれだけ値上がりするのか?
▼NewsPicks プロだけが知る「令和の不動産売買」【沖有人vs中山登志朗】
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