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「高層階症候群」という言葉をお聞きになったことはありますか?
最近、タワーマンションに限らず高層マンションはどんどんと増えてきて、いろいろな街でよく見かけるようになってきています。
そんな高層マンションに住むことで体調不良を引き起こすことがあると言われています。一体どういうことでしょうか?
「高層階症候群」について詳しく見ていきましょう。
1. 高層階症候群とは?その原因と症状
高層階症候群の定義と一般的な症状
高層階で生活し続けることで、身体に不調をきたすことがあります。こう言った症状は「高層階症候群」と呼ばれています。年齢・性別に関わらず、身体に下記のような様々な症状を引き起こすことがあるとされています。
- ● めまいや耳鳴り、片頭痛
- ● 不眠症
- ● うつ症状
- ● さまざまな神経症状
- ● 流産、死産の確率が高くなる
これらは科学的な根拠は不明瞭で確立された医学的な症候群として認識はされていません。
では、どうしてそのような「高層階症候群」といったワードが出回っているのでしょうか?
具体的に見ていきましょう。
発症する階数は何階から?
高層マンションと言われているのは10階建て以上のものだと言われています。
実は「高層マンション」の明確な定義はありません。ただし、建築基準法の前身となる1919年に制定された「市街地建築物法」に定められる建築物の高さ制限「100フィート(約31m)」が目安になると言われています。1970年に建築基準法の改正により、建築物の高さ制限が撤廃されて、それまでの31mを超えるビルが次々と建てられています。
そこで、「市街地建築物法」で定められていた31mを超える高さの階を高層階と呼んでいます。
消防法でも「高さ31mを超える建築物」を「高層建築物」とされています。ちょうど10階建て相当が高さ約31mほどです。
では、その原因について考えていきましょう。
気圧の影響?
1番の原因として考えられるのが地上との「気圧の差」です。
マンションの高さの目安として、1階当たり2.5~3mを標準として(1.2階がロビーなどで高くなることがある)30階建てだと約100m。気圧は10m上がるごとに1hpa(ヘクトパスカル)変化するので、最上階の30階では地上よりおおよそ10hpa気圧が下がることになります。
10hpa程度の変化は、気象状況(天気の変化)による気圧変動の範囲内です。
ただし、気圧の変化によって、めまいや耳鳴り、片頭痛などを体調に不調を感じることはあります。もともと、気圧の変化によって影響を受けやすい方は注意が必要かもしれません。
構造の問題?
次に考えられるのが構造の問題です。
高層マンションは地震の力を分散させ、あえて揺れやすくする柔構造になっています。そのため、高層階になればなるほど揺れを感じやすくなります。
タワーマンションでは制震構造や免震構造になっていることも多く、耐震構造に比べて揺れが少ないと言われています。
耐震構造 | 剛構造 | 躯体全体が硬い構造 ⇒上の階ほど揺れる |
---|---|---|
柔構造 | 躯体全体の柔軟性で揺れを吸収する構造 ⇒揺れが下から上に順次伝わる |
|
制震構造 | 建物内に設置したダンパーで地震エネルギーを吸収し、躯体に伝わるエネルギーを抑える構造 ⇒耐震構造よりは揺れは少ない |
|
免震構造 | 躯体に伝わる加速度を低減する構造 ⇒地面の揺れは直接躯体には伝わらない |
また、強風でも揺れを感じる場合がありますが、通常は人体に影響を及ぼすほどの揺れではないとされています。
ただし、三半規管が弱い人は少しの揺れでも気分が悪くなったり、不眠やストレスにつながることもあります。片頭痛持ち、神経が過敏になっている方は注意が必要です。
2. 高層階に住むことのメリットとデメリット
高層階に住むことのメリット
高層マンションの高層階に住むメリットはどんなことが挙げられるでしょうか?
1.眺望が良い
高層階から望む景色は開放感があり、周りに高い建物がなければ遠くまで見渡すことができます。
特にマンション周辺に海や大きな公園、ランドマークとなる建物が見えると資産価値にも大きく影響を与えます。
また、高層階はかなり日当たりが良いです。
前方に遮るものがない可能性が高く、明るく開放的な空間で過ごすことができるのは大きなメリットといえます。
ただし、日当たりや良すぎて、夏の日差しがきつく、部屋の温度が上昇してしまうリスクもあります。
2.防犯性が高い
高層マンションはセキュリティ機能(オートロックや管理人が24時間駐在しているなど)が高いことが多く、またさらに高層階では容易に入り込むことができないことから空き巣に狙われるリスクも低くなります。
ただし、オートロックだからと言って部屋のカギをかけていなかったり、窓を開けっぱなしにしていると空き巣に狙われかねませんので注意は必要です。
3.虫が出にくい
虫や鳥など、高層階には来にくいといわれています。虫の中でも蚊やハエなど、飛行する虫が自力で到達できるのは10m程度と言われています。10mはおよそ3階の高さに相当します。4階より上の階に行けば行くほど虫は出にくくなるでしょう。
ただし、荷物やエレベーター、給排水管を介して入ってきてしまうことはありますので注意しましょう。
4.資産価値が高い
高層マンション、特にタワマンの高層階は人気が高く、数年間住んだ後、売却することになったとしても資産価値は落ちにくいと言われています。
高層階の人気は購入時の価格にも表れていますが、上階になればなるほどその価格は高くなっています。
高層階に住むことのデメリット
それでは反対に高層階に住むことのデメリットはどんなことが考えられるでしょうか?
1.賃貸料・物件価格が高い
同じマンションの低層階に比べると高層階のほうが賃料や物件価格が高くなります。
高層階のメリットをよしとしない人は積極的に低層階を狙っていくとよいでしょう。
ただし、マンションの高層階が高いということは一般的に人気が高いということで、資産価値も落ちにくいといえます。
値下がり率も低く、売却時も高めに売却できる可能性があります。
2.エレベーター必須
高層マンションの場合、エレベーターが必須となります。
マンションの造りにもよりますがより高層階に住んだ場合、なかなかエレベーターが来ない、混んでいるなどのデメリットがあります。
高層階を選ぶ場合、マンションの規模に対してエレベーターが何基あるかなど、利便性を確認しておく必要があります。
3.地震の揺れが大きい
マンションの構造によっては高層階の方が、揺れを逃がすため地震の揺れを大きく感じやすくなります。
最近では「免震」「制振」「耐震」の3つの耐震構造を取り入れたマンションも増えています。マンションを選ぶ段階でどのような耐震性能を備えているか必ず確認しておきましょう。
4.洗濯物を外に干せない
高層マンションの高層階では窓が開かないことやベランダの設置がないマンションもあります。
そのため、部屋にいながら窓を開けて外気を感じることができないというデメリットはあります。
また、マンションの景観を重視したり、ベランダからの転落物のリスクを避けるため、ベランダに洗濯物を干すことを禁止しているマンションがあります。太陽の光で洗濯物を乾かしたいと考えている人にはマイナスに感じるかもしれません。
3.子どもへの影響は?高層階での生活と健康リスク
子どもの体への影響と注意点
出不精になる?!
タワーマンションでよく聞くのが「出不精」になってしまうというものです。
タワマンの高層階に住んでいると、エレベーターがなかなか来なかったり、エレベーターに乗ってもなかなかマンションの出口にたどり着かないことがあり、一度家に入ってしまうと外に出ることが億劫になってしまうのです。
それは大人だけでなく、子どもも同様のようで、一度帰ってきてしまうと外に出たがらない傾向にあるようです。
もちろん、タワマンに住んだからと言って、必ず出不精になるとも限りませんが、外に連れ出すことを少し意識しておくといいでしょう。
小さいうちに自然の中で五感をフルに使って感性を養うこと、あちこちを走り回って基礎体力の向上を図ったりすることは非常に大切です。
ベランダからの転落の危険
もう一つの懸念はベランダや窓からの転落事故です。子どもは大人が思っているよりも意外と高いところによじ登れたり、思いがけない行動を取ることがあります。また、生まれた時から高層階に住んでいる子どもは高さに対する恐怖心を感じにくいとも言われています。
転落の危険を避けるためにも、ベランダには台となるようなものを置かない、カギを必ずかけておく、小さい子供が一人でベランダに出ることがないようにするなどの注意が必要です。
4. 高層階症候群の予防法と対策
高層階での生活を快適にするために
現時点では高層階に住むことと健康被害に関して明確な因果関係は証明されていません。
しかし、前述のとおり、気圧の影響や建物の揺れなどにより体調に少なからず影響を与えることがあるものと思われます。
元々健康な方は高層マンションに移り住んですぐ、特に大きな影響はないかと思われます。ただし、このような症状を引き起こす可能性があることをしっかりと知った上で選択することはとても重要です。
予防法と対策
高層階症候群の予防法と対策を効果的に行うためには、以下のポイントに注意すると良いでしょう。
①生活環境に自然を取り入れること。
室内植物を配置したり、バルコニーにガーデニングスペースを設けることで、緑を身近に感じられ、ストレスの軽減に役立ちます。
②定期的な運動も不可欠。
高層階に住むことで身体活動が制限されがちですが、日常的な散歩やヨガ、室内フィットネスを取り入れることで心身の健康を維持できます。
③コミュニティ活動への参加も有効。
地域のイベントやボランティア活動に積極的に参加することで、社会的つながりを深め、孤独感を和らげることができます。
④適切なストレス管理が重要。
リラクゼーション法や趣味に時間を割くことで、心のバランスを保つことができます。これらの対策を組み合わせることで、高層階症候群を予防し、健康的な生活を送ることができるでしょう。
5.まとめ
今回の記事では、高層階症候群について解説しました。
この記事を読んだ方の中にはタワーマンションなどのマンション購入を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
タワーマンションなど高層マンションは立地の良いところに建設されることも多く、眺望もよく、おしゃれでかっこいいなどのイメージがありますが、実はこんなデメリットもあることを知っておきましょう。メリット・デメリットどちらもしっかりと把握しておくことが大切です。
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