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住まいサーフィン編集部

断熱等級5の家で暮らすとどうなる!?暑い部屋、寒い部屋対策をしよう

2024年08月19日

更新日最終更新日:

断熱等級5の住宅について、この記事で分かること

断熱等級5は、2022年4月に創設された比較的新しい等級です。
ZEH住宅や長期優良住宅といった省エネ住宅の断熱性能は、等級5以上であることが求められています。

今回の記事では、断熱性能が高い家のメリットや、断熱等級5の基準や住み心地について解説します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1. 断熱等級(断熱等性能等級)とは

そもそも、断熱等級とはどういうものなのでしょうか。

断熱等級は、住宅の断熱性能を評価するための基準になります。正式名称は「断熱等性能等級」で、「住宅性能表示制度」に規定される評価基準です。
現在、断熱等級は1から7までの7段階に分かれていて、数字が大きいほど断熱性能は高いことを意味します。

「住宅性能表示制度」についても簡単にご説明します。
住宅性能表示制度とは、国が定めた基準に基づいて住宅の性能を専門家が評価し、その結果を表示する制度です。各項目の性能が等級や数値で表示されるので、住宅性能がわかりやすく見える化されます。
この制度は、消費者が良質な住宅を安心して取得できるようにするための法律である「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいています。

断熱等級と住宅性能表示制度の関係

断熱等級5が新しく創設された理由

断熱等級は、3年前には等級4が最高等級でした。しかし2024年8月現在は、等級7が最高等級です。
短期間で最高断熱等級が一気に上がっていますが、その理由を見ていきましょう。

2020年に日本政府は「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」ことを宣言。脱炭素化社会を実現するために、政府はさまざまな取り組みを展開することとなりました。
そのうちの一つが、住宅の省エネルギー性能の向上です。
※カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること

ZEH水準以上の多段階の等級を設置することになり、2022年4月に断熱等級5が創設されました。
断熱等級5は、断熱等級4よりもUA値(外皮平均熱貫流率)・ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)の基準が厳しくなっています。

断熱等級5が創設されたことで、「長期優良住宅」と「低炭素住宅」に求められる断熱性能も「等級4以上」から「等級5以上」に引き上げられました。
最近よく聞くようになった「ZEH住宅」も、断熱等級5以上であることが求められています。ZEH住宅とは省エネ性能が高く、太陽光発電などでエネルギーを自給自足できる、エネルギー消費が実質ゼロの住宅のことです。

ZEH住宅の説明画像
ZEH住宅とは何か
画像出典:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/

さらに断熱等級6~7が2022年10月に創設されたので、現在の最高断熱等級は7です。
断熱等級4と上記等級のエネルギー消費量を比べると、断熱等級6は30%減、断熱等級7は40%減になると言われています。

断熱等級5が、将来の最低基準になる

2025年4月からすべての新築住宅に省エネ基準適合が義務化されます。
省エネ基準適合と認められるためには、以下2つが両方とも基準を満たさなければなりません。

省エネ基準適合住宅の基準

  • ● 一次エネルギー消費量→等級4以上
  • ● 外皮性能(断熱性能)→等級4以上

一次エネルギー消費量とは住宅で使用するエネルギーの総量のことです。具体的には冷暖房・換気・照明・給湯で使われるエネルギーを指しています。
エネルギー消費量を多く削減できるほど(つまり設備などが省エネであるほど)、一次エネルギー消費量の等級は高くなります。

外皮性能とは断熱性能のことで、断熱等級4以上の必要があります。

義務化の予定はこれだけではありません。2030年には、すべての新築住宅にZEH水準が義務化される予定です。
ZEH水準とは、以下の基準を満たすものを言います。

ZEH住宅の基準

  • ① 強化外皮基準0.4~0.6以下=断熱等級5以上
  • ② 一次エネルギー消費量削減率が規定以上(規定値は種類ごとに異なる)
  • ③ 再生可能エネルギーを導入(一部の種類は除く)

ZEH住宅にはさまざまな種類があるので、②と③については住宅種類によって基準が異なります。
ただし、①強化外皮基準(つまり断熱性能)については、すべてのZEH住宅で断熱等級5以上でなければなりません。

つまり、2030年にはすべての新築住宅が断熱等級5以上になる予定ということです。

これからの、新築住宅の省エネ基準
画像出典:国土交通省「家選びの基準変わります」https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/

ZEH住宅(ZEHマンション)について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

今注目のZEHマンションとは!?メリットや普及状況など話題のキーワードを解説!

ZEHマンションの基礎知識や普及状況、メリットについて解説します。

2. 断熱性能が高いと、どんなメリットがあるのか?

つづいて、「断熱性能が高い家」とは具体的にどういうことなのか、そしてどんなメリットがあるのかご説明します。

断熱性能が高いことの意味

断熱等級は1~7までありますが、何を基準にして等級は決まるのでしょうか。
それは、UA値(外皮平均熱貫流率)ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)です。

外皮性能説明画像
画像出典:国土交通省資料「省エネ基準の概要」https://www.mlit.go.jp/common/001500252.pdf

UA値は熱の出入りのしやすさを表すもので、数値が低いほど熱が出入りしにくくなります。

ηAC値は冷房期の太陽日射の室内への入りやすさのことで、数値が低いほど日射は入りにくいです。太陽日射が入りにくいと、冷房の効きが良くなります。

それぞれの等級で求められるUA値とηAC値は、地域によって異なります。なぜかというと、日本は地域によって気温に差があるからです。
ηAC値は温暖な地域では基準が設定されていますが、北海道や東北など一部の地域では設定されていません。逆にそういった寒冷地は、UA値の基準が厳しめになっています。

UA値については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

UA値で断熱性能を知ろう!基準値や高断熱住宅のメリットについて解説。

UA値の内容や基準値、高断熱住宅のメリットについて解説します。

断熱性能が高い家のメリット

断熱性能が高い家とは、外部の気温変化の影響を受けにくく、建物内部の温度を安定して保つ能力が高いということです。
断熱性能が高い家=冬に暖かいというイメージが強いと思いますが、快適なのは冬だけではありません。夏は外の暑さを遮断し、室内の涼しさを保ちます。これにより、エアコンの使用頻度が減少し、エネルギーコストの削減や節約にもつながります。

住宅内の温度差も少なくなるため、健康面でもメリットがあります。冬場はヒートショック、夏場は熱中症になるリスクが低くなるからです。花粉症・喘息・アトピーなどの症状が軽減されるという研究結果も出ています。

また、断熱性能が高い家は、「光熱費の節約」以外にも金銭面のメリットを享受できます。
例えば住宅ローン控除は、住宅の省エネ性能が高いほど最大の控除金額も大きいです。ZEH住宅・長期優良住宅・低炭素住宅は、断熱等級5以上の必要があります。

新築住宅の借入限度額(上限額)

住宅の種類(性能) 2022年・2023年入居の
場合の限度額
2024年・2025年入居の
場合の限度額
減税期間
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 4,500万円※1 13年間
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円※1 13年間
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円※1 13年間
その他の住宅 3,000万円 0円
(2023年中の建築確認で
2,000万円)
13年間
または
10年間※2

※1 子育て世帯と若者夫婦世帯は、2024年入居の限度額は2022~2023年入居と同様になる
※2 その他の住宅は、2024年と2025年の入居だと10年間になる

他にも、「住宅取得資金援助制度」の非課税金額が大きくなる・「子育てエコホーム支援事業」という補助金がもらえるなど、断熱性能5以上(ZEH住宅以上)から対象になる減税・補助金制度も多いです。

メリットをまとめると、このようになります。

高断熱住宅の主なメリット

  • ● 冬は暖かく、夏は涼しくて家の中が年中快適
  • ● 光熱費が削減される
  • ● ヒートショックや熱中症のリスクが低くなる
  • ● 補助金や税金の控除を受けられることがある

3.断熱等級5の基準値

つづいて、断熱等級5の具体的な基準値をご説明します。

先ほどご説明したUA値(外皮平均熱貫流率)ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)は、地域ごとに求められる値が異なります。
断熱等級5の場合は、数値はこのようになっています。

断熱等級5に求められるUA値とηAC値

地域区分 UA値 ηAC値
1
(夕張等)
0.4
2
(札幌等)
0.4
3
(盛岡等)
0.5
4
(会津若松等)
0.6
5
(水戸等)
0.6 3
6
(東京等)
0.6 2.8
7
(熊本等)
0.6 2.7
8
(沖縄等)
6.7

上記表で「ー」となっている場合には、基準は設けられていません。
沖縄等の地域区分8はUA値は求められていませんが、温暖ということもありηAC値の基準は厳しくなっています。

地域区分は、同じ県内であってもお住まいの市町村によって異なることがあります。
検索エンジンで「省エネ地域区分」と入力して探すか、国土交通省の資料などからご確認ください。

参考:国土交通省 法令・制度、省エネ基準等https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/08.html

4.断熱等級5の住宅の住み心地は?

最後に、断熱等級5の住宅の住み心地について見ていきましょう。

国土交通省の資料によると、断熱等級5の住宅は「室内の上下温度差の低減」に明確な効果が表れています。

断熱等級5の室内の上下温度差の低減
画像出典:国土交通省「省エネ技術解説テキスト」https://www.mlit.go.jp/common/001627105.pdf

今回引用した資料画像では、※1は昭和55年省エネルギー基準相当以下(断熱等級2以下)、※3は令和4年省エネルギー基準相当(断熱等級5)を示しています。
画像を見ると、断熱等級5の住宅は室内の上下温度に差がほとんどないことが分かります。

温度差と聞くと、「外気温と住宅内温度の差」「部屋ごとの温度差」に注目する人が多いでしょう。これらは断熱等級4の住宅でも改善されています。
断熱等級5はそこからさらに先へ進んでいて、室内の温度ムラも改善しています。

暖かい空気は上へ昇り、冷たい空気は下へ降ります。
室内の上下に温度差があると、夏場にクーラーをつけると足元が冷えすぎてしまい、冬場に暖房器具を付けてもなかなか暖まりません。クーラー・暖房の効きも悪くなります。

室内の上下の温度差についての説明画像

温度ムラが改善されると、快適性の向上、光熱費の削減に繋がるでしょう。
また、宮崎県の実施したアンケートでは、ZEH住宅を購入した人からこんな回答もありました。

Q. ZEHにしてみて実際にどうでしたか。

A. 積極的に節電や節水もするようになり、光熱費が以前よりかからなくなりました。
太陽光発電システムは、改正の時はほぼ公称値の発電量が得られます。
また、ZEHのため多めに断熱材が入っているので年間通して室内の温度変化が少なく快適です。

参考:宮崎県 スマートエネルギー住宅って実際どうなの?https://www.pref.miyagi.jp/site/miyagi-smartenergyhouse/sumaene-kutikomi.html

さらに、健康に関するこのような研究結果も出ています。

床付近の室温が15℃未満の住宅に住む人は、
床付近の室温が15℃以上の住宅に住む人に比べると

高血圧で通院している人:1.51倍
糖尿病:1.64倍

つまり、床付近の室温が15℃以上の家に住んでいる人の方が、高血圧・糖尿病になりにくいということです。
参考:国土交通省 健康省エネチラシhttps://www.mlit.go.jp/common/001500201.pdf

健康で快適な暮らしをしたいという方に、断熱等級5の住宅はおすすめです。

ただ、最近は断熱等級6~7の家を建てられるハウスメーカーも出てきています。
断熱性能の高い家のメリットを最大限享受したいという方は、断熱等級6~7も検討してみましょう。

5.まとめ

今回の記事では、断熱等級5の住宅について解説しました。

断熱等級5の住宅なら、ZEH水準以上の住宅性能であることがほとんどだと考えられます。
日本は住宅の省エネ化を推進しているので、補助金や税金控除の条件を「ZEH水準以上」としていることが多いです。
断熱等級6~7の住宅は建設費(価格)が高くて予算オーバーだけど、断熱等級5なら何とかなるかも・・という方も多いのではないでしょうか。
断熱等級5の住宅に住んで、経済的で快適な暮らしを実現させましょう。

ところで、2025年4月から、すべての新築住宅に省エネ基準適合が義務化されます。一定以上の省エネ性能は保障される一方で、価格が心配という方も多いのではないでしょうか。住宅価格の高騰は今後も続く見通しです。
また、住宅価格の高騰以外にも、将来の金利上昇、建築費高騰、人口減少といった不安要素は多くあります。住宅購入で後悔しないためには、やはり情報収集が重要です。

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