最終更新日:
断熱等級とは、住宅の断熱性能を示す指標です。
これから家を建てる人や断熱リフォームをする人の中には、断熱等級をどれくらいにするのか悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。そんな方におすすめしたいのは、断熱等級6.5です。
断熱等級6.5を目指すことで、より快適でエネルギー効率の高い住まいを実現できます。
今回の記事では、断熱等級6.5を目指すべき理由と、快適な住まいづくりのポイントについて解説します。
目次
1. 断熱等級(断熱等性能等級)とは何か
まず初めに、断熱等級とはそもそも何なのか?なぜ重視されるようになったのか?を解説します。
断熱等級とは?
断熱等級は、住宅の断熱性能を評価するための基準になります。正式名称は「断熱等性能等級」です。
現在、断熱等級は1から7までの7段階に分かれていて、数字が大きいほど断熱性能が高いことを意味します。断熱等級7は、最も断熱性能が高い等級になります。
断熱性能が重視されるようになった背景
断熱等級は、3年前には等級4が最高等級でした。しかし2024年10月時点では、等級7が最高等級です。
短期間で最高断熱等級が一気に上がっていますが、その理由をご説明します。
2020年に日本政府は「2050年までにカーボンニュートラル※を目指す」ことを宣言。脱炭素化社会を実現するために、政府はさまざまな取り組みを展開することとなりました。
そのうちの一つが、住宅の省エネルギー性能の向上です。
※カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること
ZEH※水準以上の多段階の等級を設置することになり、2022年4月に断熱等級5、そして同年10月に戸建て向けの断熱等級6、7が創設。
マンションなどの共同住宅についても、2023年4月に断熱等級6、7が創設されました。
※ZEH住宅とは、高断熱で熱の出入りが少なく、高性能設備によって省エネを実現し、かつ太陽光発電などでエネルギーを自給自足できる住宅のこと
2. 断熱等級6.5を目指すべき理由
断熱等級は1~7の7段階なので、実際には断熱等級6.5というのは存在しません。
それでは、なぜ断熱等級6.5を目指すべきなのでしょうか?それには、断熱等級の決まり方と基準が関係しています。
断熱等級の決まり方
住宅の断熱等級は、UA値(熱の出入りのしやすさ)とηAC値(冷房期における太陽日射の室内への入りやすさ)によって決まります。
画像出典:国土交通省資料「省エネ基準の概要」https://www.mlit.go.jp/common/001500252.pdf
UA値(外皮平均熱貫流率)は、数値が小さいほど熱が出入りしにくいことを意味します。
熱の出入りは、断熱性能に直結するものです。例えば冬なら、熱が外に逃げることで家の中は寒くなりますよね。逆に夏は外から熱が入ることで、室内が暑くなってしまいます。
つまり、熱を出入りしにくくすることで、冬は暖かく、夏は涼しく過ごせるということです。
UA値については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
UA値で断熱性能を知ろう!基準値や高断熱住宅のメリットについて解説。
UA値の内容や基準値、高断熱住宅のメリットについて解説します。
また、温暖で日射量が多い地域においては、ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)も断熱性能に関係してきます。
ηAC値は、数値が小さいほど日射が入りにくいことを意味します。太陽日射が入りにくいと、冷房の効きが良くなります。
断熱等級の基準
断熱等級1~7は、地域ごとにそれぞれUA値(熱の出入りのしやすさ)とηAC値(冷房期における太陽日射の室内への入りやすさ)の基準値が決まっています。
なぜ地域ごとに違うのかというと、日本は地域によって気温に差があるからです。
例えば大雪が降る地域と、雪はほとんど降らない温暖な地域、どちらも同じ基準値だと住宅の中の温度に差が出てしまいます。そのため、冬場に特に寒くなる地域ではUA値の基準は厳しい(数値が小さい)です。
断熱等級1~7の、それぞれの基準値を見てみましょう。
地域区分は、1に近いほど寒い地域(例:北海道夕張)で、8に近いほど温暖な地域(例:沖縄)になります。東京など首都圏は地域区分6であることが多いです。
画像出典:国土交通省「住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設」https://www.mlit.go.jp/common/001585664.pdf
断熱等級4というのが、「省エネ基準適合住宅」に求められる断熱性能です。2025年4月からは、すべての新築住宅は省エネ基準適合を満たす必要があります。
また、断熱等級5が「ZEH住宅」や「長期優良住宅」に求められる断熱性能です。
ところで、地域区分は同じ県内であってもお住まいの市町村によって異なることがあります。
検索エンジンで「省エネ地域区分」と入力して探すか、国土交通省の資料などからご確認ください。
参考:国土交通省 法令・制度、省エネ基準等https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/08.html
断熱等級6.5を目指す理由
画像出典:国土交通省「住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設」
断熱等級基準値の図を見ると、UA値(熱の出入りのしやすさ)について下記のことが分かります。
- ● 寒冷地域では、断熱等級4と5は、数値の差は少ない
- ● 寒冷地域では、断熱等級6から数値が一気に小さくなる
- ● 断熱等級5では、地域区分4(準寒冷地域)と地域区分5以上の基準値が同じ
ZEH住宅や長期優良住宅などの省エネ性能が高い住宅は、断熱等級5以上の必要があります。そう聞くと、「断熱等級5であれば断熱性能は十分なのでは?」と思う方も多いでしょう。
しかし、上記のことを踏まえると、断熱等級5と断熱等級6の差は大きいと考えられます。
そして、東京大学大学院で住宅の省エネルギー研究をしている前 真之准教授は、「断熱等級は6.5を目指すべき」と提言されています。
なぜ6でも7でもなく6.5なのかというと、断熱等級6から+αで断熱性能を上げることで温度と電気代のバランスが良くなるからです。
参考:住まいと学校の断熱事情の最前線、夏は教室が危ない! 住宅は断熱等級6以上が必要、2025年4月からの等級4以上義務化も「不十分」 東京大学・前真之准教授(SUUMO ジャーナル)https://suumo.jp/journal/2024/06/21/203116/
また、断熱等級6と断熱等級7のUA値(熱の出入りのしやすさ)の差は大きいです。地域区分6(東京など)のUA値は、断熱等級6が0.46、そして断熱等級7が0.26になります。断熱等級7にするためには、かなりコストがかかってしまいます。
断熱等級6以上は欲しい、しかし断熱等級7は大変・・ということで、断熱等級6.5という言葉が生まれたということです。
3.HEAT20と断熱等級、何が違う?
断熱性能について調べていると、HEAT20という基準も出てきます。HEAT20とはどういうものなのでしょうか?
また、HEAT20にはG1~G3までの3つの水準がありますが、「断熱性能はG2.5を目指すべき」と提言されている専門家もいます。断熱等級6.5と似ていますよね。
そこで、この章ではHEAT20について解説します。
HEAT20とは
HEAT20とは一般社団法人「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」のことです。住宅の専門家で構成された委員会で、外皮性能(つまり断熱性能)にG1・G2・G3という3つの水準を定めました。
G1~G3はUA値(熱の出入りのしやすさ)・求められる室温・省エネルギー率が異なっています。UA値の基準は、このようになっています。
地域別の代表都市とUA値
地域の区分 | 1・2地域 | 3地域 | 4地域 | 5地域 | 6地域 | 7地域 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
代表都市 | 札幌 | 盛岡 | 松本 | 宇都宮 | 東京 | 鹿児島 | |
外皮性能水準別 UA値 |
平成28年基準 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 |
G1水準 | 0.34 | 0.38 | 0.46 | 0.48 | 0.56 | 0.56 | |
G2水準 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | |
G3水準 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.23 | 0.26 | 0.26 |
地域区分6のUA値を見ると、G1で0.56、G2で0.46ですが、G3だと一気に小さくなって0.26になっています。
断熱性能はG2水準が望ましいこと、そしてG2とG3の差が大きいことから、「G2.5を目指すべき」と提言している専門家や工務店も多いです。
HEAT20と断熱等級の違い
UA値(熱の出入りのしやすさ)だけで見ると、HEAT20のG1~G3と断熱等級の関係はおおむねこのようになります。
HEAT20 | 同じUA値の断熱等級 |
---|---|
G1 | なし (G1は断熱等級5よりも厳しい基準) |
G2 | 断熱等級6 |
G3 | 断熱等級7 |
※地域区分5(宇都宮・水戸など)のUA値は、HEAT20の方が小さい。G2:0.34、断熱等級6:0.46。G3:0.23、断熱等級7:0.26
しかし、UA値が同じであっても、HEAT20と断熱等級は違う基準です。
HEAT20の公式サイトにも、このように記載されています。
HEAT20が提案する住宅外皮水準G1~G3が目指すべきものは、住宅省エネ基準のような外皮平均熱貫流率UA値を満たすことではなく、地域区分毎に規定した下記の「住宅シナリオ」を満たすことにあります。
外皮平均熱貫流率UA値を満たすことは、あくまでその目安にすぎません。
「住宅シナリオ」は、室温(NEB)、エネルギー(EB)、それぞれに二つの指標で説明しています。
参考:HEAT20「住宅シナリオと外皮性能水準」http://www.heat20.jp/grade/
断熱等級は、国が定めた、一般的な断熱性能の評価基準です。一方でHEAT20のG1~G3は、住宅における快適性やエネルギー消費効率を重視していて、断熱等級よりも詳細に定められた評価基準になります。
4.高断熱で快適な住宅にするためのポイント
最後に、高断熱で快適な住宅にするためのポイントを解説します。
大切なのは、断熱・換気・空調
断熱等級を上げるためには、窓やドア、壁などの断熱性能を向上させることが必要です。窓をトリプルガラスにする、ドアの枠を樹脂にする、高性能な断熱材を使用するなどの方法が考えられます。
しかし、大切なのはそれだけではありません。換気システムや空調設備についてもしっかりと検討しましょう。
住宅の換気システムは、第一種換気と第三種換気の二種類があります。第三種換気の方が安価で一般的ですが、断熱性能を上げるためには第一種換気かつ熱交換システム(第一種熱交換換気)がおすすめです。
第一種換気とは給気と排気を機械で行う換気のことです。第一種熱交換換気なら、換気による室内の温度変化を防いでくれるので、断熱性能がより高くなります。
第一種熱交換換気についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
換気の重要性や基礎知識、第一種熱交換換気のメリット・デメリットについて解説します。
また、空調設備は「全館連続空調」(以下、全館空調システムとします)がおすすめです。
全館空調システムとは、1台のエアコンで家全体の室温を管理してくれる仕組みのことです。室温が均一になりやすく、家中どこでも快適な温度を保つことができます。
断熱性能が高い家ほど、全館空調システムの効果が発揮しやすいです。また、多くの全館空調システムは、換気システム(第一種換気)も兼ね備えています。
全館空調には初期コスト・メンテナンスコストがかかるなどのデメリットもあるので、予算や家族の生活スタイルなどを踏まえて検討してください。
ハウスメーカー・工務店選びも重要
断熱等級6以上の住宅に住みたいという方は、注文住宅をおすすめします。断熱等級6の建売住宅はかなり限られているからです。注文住宅を建てる際は、ハウスメーカー・工務店選びがかなり重要です。
断熱等級6.5のような高断熱住宅を建てるためには、高い技術力やノウハウが必要となります。
設計や施工が不十分だと、「空気がこもってハウスダストが全然出ていかない」「結露が大量発生する」といった問題が起こることも。家を建ててから後悔したくないですよね。
高断熱住宅を建て慣れている会社に頼むことで、計画精度や施工精度は高くなります。
セキスイハイムや一部の工務店では、断熱等級6が標準となっているところもあります。そのようなところなら、断熱等級6.5も目指しやすいでしょう。しっかりと情報収集をして、希望に合うハウスメーカーを探しましょう。
自治体の補助金を活用する
「断熱性能が重視されるようになった背景」で国が高断熱・省エネ住宅を推進している理由をご説明しましたが、推進しているのは国だけでなく、自治体も同様です。
例えば鳥取県は、「とっとり健康省エネ住宅性能基準」というものを定めて、補助金を助成しています。
画像出典:鳥取県「とっとり健康省エネ住宅 NE-STとは」https://www.pref.tottori.lg.jp/308449.htm
「とっとり健康省エネ住宅性能基準」にはT-G1、T-G2、T-G3がありますが、T-G2はまさに断熱等級6.5の水準と言えるでしょう。
T-G2は「経済的で快適に生活できる推奨レベル」で、省エネ基準適合(断熱等級4)と比べて冷暖房費は50%も削減されます。
鳥取県以外の自治体でも補助金を出していることがあるので、お住まいの自治体に同様の補助金がないか調べてみてください。
5.まとめ
今回の記事では、断熱等級6.5が必要な理由や、快適な住まいをつくるためのポイントについて解説しました。
戸建て住宅における断熱等級6と7は、2022年に創設されました。創設された当初は断熱等級6以上の住宅を建てられるところも限られていましたが、最近は断熱等級7の家を建てられるハウスメーカー・工務店も増えています。
ただ、断熱等級が高くなるほど一般的には建設コストは高くなります。断熱等級7にするべきか悩んでいる、という方は、断熱等級6+αの断熱等級6.5を目指すことも考えてみてください。
また、国や自治体の省エネ住宅向け補助金についても調べるようにしましょう。
ところで、2025年4月から、すべての新築住宅に省エネ基準適合が義務化されます。一定以上の省エネ性能は保障される一方で、価格が心配という方も多いのではないでしょうか。住宅価格の高騰は今後も続く見通しです。
また、住宅価格の高騰以外にも、将来の金利上昇、建築費高騰、人口減少といった不安要素は多くあります。住宅購入で後悔しないためには、やはり情報収集が重要です。
とはいえ、どうすれば良いか分からないという方も多いでしょう。
そんな方におすすめしたいのが、当サイト住まいサーフィン代表の沖有人が過去に出演した動画メディアです。住まい選びの参考になるので、是非ご覧ください。
▼PIVOT 5年後、都心のマンションはどれだけ値上がりするのか?
▼NewsPicks プロだけが知る「令和の不動産売買」【沖有人vs中山登志朗】
このような動画などで情報収集をしつつ、最終的には資産価値の高い住宅購入を行い、リスクヘッジする事が重要ではないかと考えます。
例えば、新築マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?
- ● 「将来値下がりしないか心配。10年後に価格がいくらになるのか簡単に分かったら良いな」
- ● 「万が一売ることになっても、売却額より住宅ローン残債の方が多かったらどうしよう。売却時点の予想利益が分かったら良いな」
住まいサーフィンの各物件詳細ページでは、将来の資産性が一目で判断できる「沖式マンション10年後予測」を無料公開しています。
「値上がりシミュレーション」機能を使えば、5年後・10年後の将来価格をベストケース・標準ケース・ワーストケースの3つのシナリオで具体的にシミュレーションできます。
物件価格や金利を入力すればその場で自由にシミュレーションできるので、購入するべきか悩んでいる方にぴったりです。
さらに、「含み益シミュレーション」機能では、値上がりしたマンションを売却した場合に、実際に得られる利益を試算した結果を確認できます。
また、中古マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?
- ● 「スーモ等で見つけた物件が6,000万円で売出されている。この駅でこの価格少し高い気がするけど、本当に適正な価格なのだろうか?」
- ● 「適正な価格(沖式査定額:5,400万円)が分かれば、指値(値下げ交渉)を入れて、自分の予算内である5,500万円で強気に交渉出来るのになあ。。」
- ● 「どのサイトも適正な価格が分からないし、表示されていても、マンション単位で大雑把、お部屋毎に間取り、向き、階数を考慮されていない気がする」
住まいサーフィンの各物件詳細ページでは、お部屋毎に価格査定を行っています。
これにより、購入検討しているお部屋の「適正価格」を正確に把握することができます。
物件詳細ページの便利な活用方法は、下記の動画でさらに詳しくご説明しております。
「沖式マンション10年後予測」や「割安判定」は、会員であれば、無料で利用できます。
でもなぜ、住まいサーフィンに出来て、他のサイトには出来ないの?と疑問を持つかもしれません。
そこには、住まいサーフィンにしかない3つの理由があります。
住まいサーフィン独自の特徴
- 1.広告サイトではないため、売主への忖度が不要
- 2.サイト開設25年と老舗であるが故に、過去から蓄積されたビッグデータを保持・分析している
- 3.不動産業者、金融機関、REITといったプロにコンサル及び情報提供している精緻なデータを活用している
しかしなぜ、こんなに有用なデータを無料で公開するの?と怪しく感じる方もいるのではないでしょうか。確かに怪しいですよね。
その理由として、住まいサーフィンを開設した代表の沖有人が掲げる理念があります。
それは不動産売買における情報の非対称性を無くすことです。
昔から、不動産業者は売り手に不利益となる情報を隠すため、騙されて損をする消費者が後を絶ちません。
そんな消費者を減らすために、住まいサーフィンで購入に役立つ情報を無料公開し、理論武装してほしいとの思いがあります。
住まいサーフィンは、購入検討する全ての消費者に情報を活用してもらうため、有料ではなく無料で情報提供を行っています。
ただし、運営にはお金がかかります。
そのため、不動産業者や金融機関等の企業にコンサル提供を行い利益を得ることで、住まいサーフィンの無償利用を実現しています。
無料会員登録するだけで、全ての情報が確認できリスクなく始められます。
退会も簡単に出来ますので、まずは気軽に登録して、マンション購入を成功させましょう!
簡単無料登録はこちらから!
マンション購入に役立つコラム記事
- SUUMOとの違い
- 資産性とは?
- 購入メリット
- 購入の流れ
- 最適な購入時期
- 必要な初期費用
- 女性のマンション購入
- 独身のマンション購入
- 中古マンション失敗談
- 築20年マンション
- マンションと戸建て比較