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子供の事故は、交通事故を除き、ほとんどが家庭内で起こります。
こども家庭庁によると、2015年~2019年の5年間で建物からの転落事故死が55件発生、浴槽での溺水死亡事故が138件発生しています。
このような事故を防ぐため、国が住宅の新築や改修に補助金を支援しています。これが「子育て支援型共同住宅推進事業」です。
また、子供の安全を守る措置以外にも、子育てをしている親同士や居住者間のつながりの場を設ける取り組みに、子育て支援型共同住宅推進事業から補助金が受け取れます。
今回の記事では、子育て支援型共同住宅推進事業の補助金がどのような条件で受け取れるのか、補助金額の計算方法もご紹介します。
目次
- 1 子育て支援型共同住宅推進事業の補助対象とは?
- - 子育て支援型共同住宅推進事業補助の対象住宅
- - 子育て支援型共同住宅推進事業の目的と補助率
- - 子育て支援型共同住宅推進事業の補助対象者
- - 子育て支援型共同住宅推進事業の事業要件と対象者要件
1.子育て支援型共同住宅推進事業の補助対象とは?
子育て支援型共同住宅推進事業の補助対象は、子育て世帯が住んでいる「賃貸住宅、分譲マンション」です。
賃貸物件の所有者だけでなく、個人の分譲マンションをお持ちの方も申請が可能です。子供の安全面を考え、自宅を改修したい方にはお得な補助金となっています。
どのような要件で補助が受けられるのか、詳しくチェックしていきましょう。
子育て支援型共同住宅推進事業補助の対象住宅
賃貸住宅の新築と改修、分譲マンションの改修
子育て支援型共同住宅推進事業の目的と補助率
賃貸住宅を対象とし、子供と親にとって健やかに子育てできる住まいづくりを目的としています。子供の安心・安全のための住宅の新築・改修や、子育て世代の親同士や居住者間の交流施設をつくる取り組み、防犯安心施設(宅配ボックス)の設置に対して費用の一部を補助します。
※補助対象事業費のうち、新築1/10、改修1/3を補助
※補助対象事業費のうち、新築1/10、改修1/3を補助
子育て支援型共同住宅推進事業の補助対象者
賃貸住宅の新築の場合 |
賃貸住宅所有者(オーナー) |
---|---|
賃貸住宅の改修の場合 |
賃貸住宅所有者(オーナー) |
分譲マンションの改修の場合 | 区分所有者(本人が子育て世帯の居住者であること) マンション管理組合 |
宅配ボックスの設置工事の場合 | 賃貸住宅所有者(オーナー)、サブリース事業者、分譲マンションの管理組合 |
子育て支援型共同住宅推進事業の事業要件と対象者要件
賃貸住宅の新築の場合
- ●建築基準法上の「共同住宅」または「長屋」であること。
- ●入居者が小学生以下の子供がいる子育て世帯であること。
- ●住戸部分の広さが40㎡以上であること。
- ●住戸が省エネ基準に適合していること。
- ●建物が新耐震基準に適合していること。
- ●所在地が土砂災害警戒区域に該当しないこと。
- ●「子供の安全確保のための設備」と「子育て世帯や居住者の交流施設」の2つの申請が必須。
- ●上記の要件をすべて満たし、「子供の安全確保のための設備」を整備する住戸が1棟あたり5戸以上であること。
賃貸住宅の改修の場合
- ●建築基準法上の「共同住宅」または「長屋」であること。
- ●入居者が小学生以下の子供がいる子育て世帯であること。
- ●住戸部分の広さが40㎡以上であること。
- ●建物が新耐震基準に適合していること。
- ●子育て世帯の親や入居者の交流設備を設置する場合、上記の要件をすべて満たし、「子供の安全確保のための設備」の実施必須事項の整備水準を満たす住戸が1棟あたり5戸以上であること。
- ●既存住宅に宅配ボックスを設置する場合、「宅配ボックス設置のみを対象とする場合」の要件も満たすこと。
分譲マンションの改修の場合
- ●建築基準法上の「共同住宅」または「長屋」であること。
- ●入居者が小学生以下の子供がいる子育て世帯であること。
- ●住戸部分の広さが40㎡以上であること。
- ●建物が新耐震基準に適合していること。
- ●子育て世帯の親や入居者の交流設備を設置する場合、上記の要件をすべて満たし、「子供の安全確保のための設備」の実施必須事項の整備水準を満たす住戸が1棟あたり5戸以上であること。
- ●既存住宅に宅配ボックスを設置する場合、「宅配ボックス設置のみを対象とする場合」の要件も満たすこと。
宅配ボックスの設置工事の場合
- ●建築基準法上の「共同住宅」または「長屋」であること。
- ●子育て世帯の入居率が30%以上であること。
- ●住戸部分の広さが40㎡以上であること。
- ●建物が新耐震基準に適合していること。
- ●対象となる宅配ボックスの設置は、共同住宅のエントランスなどの共用部分に設置するものに限る。
- ●補助対象共同住宅の全ての住戸が、子供の転落による事故防止対策がされていること。
このように子育て支援共同住宅として、子育て世帯に限定した賃貸住宅・分譲マンションであることが求められます。
そして子育て支援型共同住宅推進事業は、既に水準を満たしている設備をリフォームする事業ではありません。新築・新設改修が対象です。ただし、宅配ボックスは、追加や入れ替え時にも申請が可能です。
また、他の補助金との併用については、原則として併用は不可となっていますので、ご注意ください。
次に、要件に含まれる「子供の安全確保のための設備」がどのようなものか、詳しく解説していきます。
2.「子供の安全確保のための設備」とは?
子どもの安全確保のための設備の措置には、1戸あたり上限100万円の子育て支援型共同住宅推進事業の補助が受け取れます。
補助対象になる取り組みをチェックしていきましょう。
住宅内の事故防止の取り組み
衝突事故を防ぐ
❶ 造りつけ家具の出隅などの衝突事故防止工事(面取り加工)
❷ ドアストッパーやドアクローザーの取り付け
転倒による事故を防ぐ
❸ 転倒による事故防止工事(洗面所・脱衣所の床をクッション床とする)
❹ 人感センサーが付いた玄関照明の設置
❺ 足元灯などの設置
転落による事故を防ぐ(バルコニー・窓などからの転落防止)
❻ 転落防止のための柵や手すりを設置
ドアや窓での指つめ・指はさみのケガを防ぐ
❼ ドアなどの指詰め防止工事
危険な部屋への進入や閉じ込みを防ぐ
❽ バスルームなどへの進入防止や閉じ込み防止のための鍵の設置
❾ チャイルドフェンスの設置
感電や火傷のを防ぐ
❿ シャッター付コンセントの設置
⓫ サーモスタット式水栓や火傷防止用カバー付き水栓の設置
⓬ 立消え安全装置やチャイルドロックなどが付いた調理器の設置
子供の様子を見守れる間取り
子供の様子を把握しやすい室内設計
⓭ 対面式のキッチンの設置
⓮ 子供を見守れる間取りの工事(キッチンに面したリビング)
不審者の侵入防止
不審者から子供を守る
⓯ 防犯性の高い玄関ドア(二重鍵など)の設置
⓰ 防犯ガラス、防犯フィルム、面格子の設置
⓱ 録画機能付きのカメラインターホンの設置、あるいは防犯カメラの設置
災害への備え
避難経路の安全確保
⓲ 家具の転倒防止措置のための下地処理工事
⓳ 避難動線確保工事
上記❶~⓳のうち、賃貸住宅の新築にはすべての項目の実施が必須です。
また、賃貸住宅・分譲マンションの改修には、❻の「転落防止のための柵や手すりを設置」が必須となります。❻以外も設備水準を満たせば補助対象となります。
新築か改修かによって必須項目が異なるので気を付けましょう。
次に、「子育て世帯や居住者の交流施設」の取り組みを見ていきましょう。
3.「子育て世帯や居住者の交流施設」とは?
子育て世帯や居住者の交流施設の措置には、1棟あたり上限500万円の子育て支援型共同住宅推進事業の補助が受け取れます。
子供の事故防止の設備以外にも、子育て世帯の親同士や居住者同士が交流を持つ施設を設置することで補助金が受け取れます。
補助対象になる取り組みをチェックしていきましょう。
交流を促す施設の設置
- ●キッズルームや集会室などの多目的ルームの設置
- ●遊具、砂場、水遊び場などのプレイロットの設置
- ●交流用のベンチ設置
- ●家庭菜園の設置
賃貸住宅の新築は、1項目以上の設置が必須となります。
4.「宅配ボックス設置」の補助とは?
令和5年度から新たな支援として始まったのが「宅配ボックス設置」の補助です。1棟あたり上限50万円の補助金が受けられます。
ただし、「子どもの安全確保のための設備の措置」と「宅配ボックス設置」を合わせて実施する場合には、子どもの安全確保のための設備の措置の補助金額が上限となります。その金額内で宅配ボックス設置をすることになるので、宅配ボックス設置単体の補助金は支給されません。
また、子育て世帯の入居率が30%以上の既存の共同住宅であること以外にも条件がいくつかあります。
補助対象になる条件を詳しくチェックしていきましょう。宅配ボックスの指定あり
『子育てエコ(旧こどもエコ)支援事業』登録商品であること ※詳しい登録商品はこちら
子供の転落事故の防止対策がされていること
対象となる建物の全ての住戸が、下記のいずれかの対策がされていることが必須
●子どもの転落を防止するため、バルコニーには以下の構造の手すりが設置されていること
よじ登れない構造にすること、乗り越えにくい高さにすること、子供の頭が入らない幅にすること
●小さな子供がひとりで勝手にバルコニーに入れないような対策をすること
ダイヤル付きクレセント錠や鍵付きクレセント錠を設置すること、子供の手の届かない高い位置に補助錠を設置すること
5.子育て支援型共同住宅推進事業の補助金は実際いくらもらえる?
実際にいくら子育て支援型共同住宅推進事業の補助金がもらえるのか、例を挙げていきます。
賃貸住宅の新築のケース(補助率1/10、上限額100万円)
例:1棟30戸、補助対象総工事費4億円
【補助率の計算】 | 4億円×1/10=4,000万円 |
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【補助金上限の計算】 | 30戸×100万円+500万円(補助金②子育て世帯や居住者の交流施設)=3,500万円 |
補助金の額4,000万円が上限額3,500万円を超えるため、上限額の3,500万円が補助金額となります。
賃貸住宅の改修のケース(補助率1/3、上限額100万円)
賃貸住宅の改修の場合、「補助金①子供の安全確保のための設備」と「補助金②子育て世帯や居住者の交流施設」をそれぞれ計算して、補助金額を算出します。
例:1棟10戸、補助金①総工事費用480万円、補助金②総工事費用390万円
【補助率の計算】 | 「補助金①」480万円×10戸×1/3=1,600万円 「補助金②」390万円×1/3=130万円 |
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【補助金上限の計算】 | 「補助金①」100万円×10戸=1,000万円 「補助金②」500万円×1棟=500万円 |
補助金①については、補助金の額1,600万円が上限額1,000万円を超えているので、上限額の1,000万円が補助金額となります。
補助金②については、補助金の額130万円が上限額500万円を下回るので、 少ない方の130万円が補助金額となります。
補助金①、②を合計して、補助金額は1,130万円となります。
分譲マンション改修のケース(補助率1/3、上限100万円)
区分所有者が自宅のマンションを改修し「補助金①子供の安全確保のための設備」の申請をする場合は、下記のように補助金額を算出します。
例:1棟1戸、補助金①総工事費用540万円
【補助率の計算】 | 「補助金①」540万円×1戸×1/3=180万円 |
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【補助金上限の計算】 | 「補助金①」1戸×100万円=100万円 |
補助金の額180万円が上限額100万円を超えるため、上限額の100万円が補助金額となります。
宅配ボックス設置のケース(上限50万円)
子育て世帯の入居率によって補助額が異なります。
例:子育て世帯が共同住宅全体の30%、100万円の宅配ボックスを設置
100万円×0.3(入居率)×1/3(補助率)=10万円
このケースでは、10万円の補助金となります。
6.子育て支援型共同住宅推進事業の申請について
子育て支援型共同住宅推進事業については、国土交通省が特別開設した「子育て支援型共同住宅サポートセンター」で詳細が案内されています。
子育て支援型共同住宅推進事業の申請に必要な書類
●応募書類
※子育て支援型共同住宅サポートセンターのHPからダウンロード
●申請者の本人確認書類
※個人:運転免許証などの本人確認書類の写し、法人:商業登記事項証明書の写し
子育て支援型共同住宅推進事業の公募期間
令和6年度の公募が始まりました。交付申請する前に、事前申請が必要になるので気を付けましょう。事前相談→事前確認→交付申請→交付決定の流れとなります。
事前相談開始から交付申請までの期間は、子育て支援型住宅の場合2か月程度かかるので、余裕を持った事業計画が必要です。また、宅配ボックスのみの場合は2週間程度の期間がかかります。
※画像 出典:子育て支援型共同住宅サポートセンター
【事前相談受付期間】※サポートセンターホームページより受付
令和6年4月1日(月)~令和7年1月31日(金)
【交付申請受付期間】※予算の執行は交付決定順となっており、予算の上限に達した場合、予告なく公募は終了します。
令和6年4月1日(月)~令和7年2月28日(金)
【工事着手期限】
令和7年3月31日(月)
詳しい詳細は、子育て支援型共同住宅サポートセンターにてご確認ください。
7.まとめ
世界的にも省エネやカーボンニュートラルが重視されていますが、日本の住宅市場においても今後重要になるのが省エネ性能の高い住宅です。
国や自治体もさまざまな補助金制度でその推進をバックアップしています。
省エネ住宅の重要度は理解できたし、今なら補助金ももらえる。いざ行動しよう!とした皆さんは、以下のように思われたのではないでしょうか?
- ● 補助金の仕組みが複雑すぎて、何をどうしたら良いか分からない
- ● 補助金はもらいたいが、仕組みを理解するために学ぶ時間が取れない
- ● 業者に騙されたニュースを聞いたことがあり、少し怖い
- ● 実際にどの業者を選べば良いのか分からない
当サイト住まいサーフィンの会員からも同様の声を数多く頂戴しているので、これらを解決するためのノウハウを沖有人に相談できる沖サロンにて特別にお教えすることにいたしました。
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