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昨今さまざまなものに対して「省エネ」であることが求められていますが、マンションだって例外ではありません。
マンション購入を検討している人の中には、「省エネ基準適合住宅」「ZEH住宅」「長期優良住宅」といった言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。
省エネ基準を満たした住宅だからこそ税金が優遇されたり、補助金をもらえたりすることがあります。
また、2025年4月にはすべての新築住宅が省エネ基準適合義務化の対象になる予定です。
今回の記事では、省エネマンションの住宅性能について詳しく解説します。
目次
1. 省エネ住宅(マンション)にはどんな種類がある?
「省エネ住宅」には、様々な種類があります。
省エネ住宅が優遇される税金控除では、住宅の種類によって控除額が異なることもあるのです。
例えば住宅ローン控除(新築住宅)では、下記のようになっています。
借入限度額が大きいほど、最大控除額が大きくなる仕組みです。
住宅ローン控除については、記事の後半で解説しています。
住宅の種類(性能) | 2022年~2023年入居の 借入限度額 |
2024年~2025年入居の 借入限度額 |
---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円※ |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円※ |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円※ |
その他の住宅 | 3,000万円 | 0円 (2023年中の建築確認で2,000万円) |
※子育て世帯と若者夫婦世帯は、2024年入居の限度額は2022~2023年入居と同様になる。
それぞれの住宅がどのようなものなのか、見ていきましょう。
長期優良住宅・低炭素住宅
長期優良住宅とは、「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」です。
大きく分けて以下5点を満たしている住宅になります。
- 1 長期に使用するための構造及び設備を有していること
- 2 居住環境等への配慮を行っていること
- 3 一定面積以上の住戸面積を有していること
- 4 維持保全の期間、方法を定めていること
- 5 自然災害への配慮を行っていること
そして低炭素住宅とは、「日常生活において発生する二酸化炭素を抑制するための措置が講じられている住宅」です。
こちらは、大きく分けて以下3点を満たしている住宅になります。
- 1 省エネ基準を超える省エネ性能を持ち、低炭素化に資する措置を講じていること
- 2 都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針に照らし合わせて適切であること
- 3 資金計画が適切なものであること
どちらも所定の書類を作成して所管行政庁に申請することで、認定を受けることができます。
どちらか一方だけでなく、長期優良住宅と低炭素住宅の両方の認定を受けることも可能です。
なお、一戸建てであれば自身で認定の申請をすることもありますが、新築マンションの場合は建築主や分譲事業者が申請をします。
これは、ZEHマンションや省エネ基準適合住宅についても同様です。
長期優良住宅や低炭素住宅と認定されるためには、基準を満たす必要があります。
認定基準は最近見直されて、令和4年10月から新しい基準になりました。
それぞれの認定基準をご紹介します。
長期優良住宅の認定基準
長期優良住宅のマンションについて、認定基準は下記のようになっています。
劣化対策 | 劣化対策等級(構造躯体等)等級3かつ構造の種類に応じた基準 |
耐震性 | 次のいずれかに該当 ●耐震等級(倒壊等防止) 等級2 ●耐震等級(倒壊等防止) 等級1かつ 安全限界時の層間変形を1/100以下 ●耐震等級(倒壊等防止) 等級1かつ各階の張り間方向及びけた行方向について 所定の基準に適合するもの(鉄筋コンクリート造等の場合に限る) ●品確法に定める免震建築物 |
省エネルギー性 | 断熱等性能 等級5 かつ 一次エネルギー消費量 等級6 |
維持管理・更新の容易性 | 維持管理対策等級(専用配管)等級3 維持管理対策等級(共用配管)等級3 更新対策(共用排水管)等級3 |
可変性 | 躯体天井高さ 2,650mm 以上 |
バリアフリー性 | 高齢者等配慮対策等級(共用部分)等級3 |
居住環境 | 地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、 建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、 これらの内容と調和を図る |
住戸面積 | 40 ㎡以上 ※地域の実情を勘案して所管行政庁が 別に定める場合は、その面積要件を満たす必要がある |
維持保全計画 | 以下の部分・設備について定期的な点検・補修等に関する計画を策定 ●住宅の構造耐力上主要な部分 ●住宅の雨水の浸入を防止する部分 ●住宅に設ける給水又は排水のための設備 |
災害配慮 | 災害発生のリスクのある地域においては、 そのリスクの高さに応じて、所管行政庁が定めた措置を講じる |
詳細や最新情報は、長期優良住宅のページ(国土交通省)をご確認ください。
低炭素住宅の認定基準
低炭素住宅のマンションについて、認定基準は下記のようになっています。
外皮性能 | 強化外皮基準を満たす |
一次エネルギー消費性能 | 省エネ基準から20%以上削減 |
再生可能エネルギー利用設備の導入 かつ低炭素化に資する措置 |
低炭素化に資する措置は、以下のうちいずれかを選択 ①節水対策 ②エネルギーマネジメント ③ヒートアイランド対策 ④建築物の低炭素化 ⑤V2H充放電設備の設置 |
なお、再生可能エネルギーとは、太陽光発電設備などのことを言います。
詳細や最新情報は、低炭素建築物認定制度関連情報ページ(国土交通省)をご確認ください。
ZEH水準省エネ住宅(ZEHマンション)
ZEH(ゼッチ)は、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語となります。
マンション(集合住宅)のZEH住宅は、ZEH-M(Mansion)と言います。
ZEHとは、「消費エネルギーから省エネ・創エネしたエネルギーを差し引くと、使用したエネルギーがゼロ以下になるような住宅」のことです。
どういうことなのかというと、まず、高断熱化により家の中の熱が逃げないようにします(高断熱)。
そして省エネ性能の高い機器を使用することで、消費エネルギーを削減します(省エネ)。
さらに、太陽光発電などによって再生可能エネルギーを作り出します(創エネ)。
ZEH住宅には、普通のZEH(ZEH-M)以外にもNearly-ZEH(Nearly-ZEH-M)とZEH-Ready(ZEH-M-Ready)、ZEH-Oriented(ZEH-M-Oriented)があり、基準が異なっています。
住宅ローン控除で「ZEH水準省エネ住宅」と認定されるためには、下記2点の基準を満たす必要があります。
- 1 入居する住宅が断熱等性能等級(断熱等級)5
- 2 一次エネルギー消費量等級(一次エネ等級)6
ZEH住宅については、省エネポータルサイト(経済産業省)で最新の詳しい資料が確認できます。
省エネ基準適合住宅
省エネ基準適合住宅とは、「建築物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造及び設備に関する基準を満たした住宅」のことです。
住宅ローン控除で「省エネ基準適合住宅」と認定されるためには、下記2点の基準を満たす必要があります。
- 1 入居する住宅が断熱等性能等級(断熱等級)4以上
- 2 一次エネルギー消費量等級(一次エネ等級)4以上
ZEH水準省エネ住宅よりも、求められる等級が低いです。
フラット35は2023年4月設計検査申請分から、上記の省エネ基準を満たしていることが要件となります。
さらに、2025年4月にはすべての新築住宅の省エネ基準適合化が義務付けられる予定です。省エネ基準適合義務化については、こちらの記事をご覧ください。
購入するマンションが省エネ基準等を満たしているのか確認する方法は、記事の後半で解説します。
2. 省エネマンションのメリット
省エネ住宅は地球環境のためになるだけでなく、私たちにも様々なメリットをもたらします。
省エネ性能マンションを選ぶメリットについて見ていきましょう。
室内が快適になり、光熱費の負担も減る
省エネマンションは断熱性が高いので、熱が逃げにくく、外の気温の影響を受けにくいです。
そのため、通常の住宅よりも冬は暖かくて夏は涼しくなります。
室温の変化が少ないと快適に過ごせるだけでなく、ヒートショックのリスクも軽減されます。
また、断熱性に加えて省エネ性能が高い設備を利用しているので、冷暖房などの使用量が減ります。
光熱費が削減されて、お財布にも優しいです。
普通の住宅よりも税金の控除が多くなる
省エネ住宅であれば、税金の控除が優遇される場合があります。
住宅ローン控除
記事の前半でも少しご紹介しましたが、省エネ性能が高い新築住宅だと住宅ローン控除額が大きくなります。
住宅ローン控除とは、住宅取得者がローン金利を支払う代わりに、国が所得税や住民税の一部を控除してくれる制度のことです。
新築住宅は、条件を満たせば、以下の金額が13年間控除されます。
- 住宅ローン控除の計算式
- 年末残高×0.7%=年間の控除額
ただし、年末残高には上限があります。
限度額は、下記のようになっています。
住宅の種類(性能) | 2022年~2023年入居の 借入限度額 |
2024年~2025年入居の 借入限度額 |
---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円※1 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円※1 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円※1 |
その他の住宅※2 | 3,000万円 | 0円 (2023年中の建築確認で2,000万円) |
※1:子育て世帯と若者夫婦世帯は、2024年入居の限度額は2022~2023年入居と同様になる。
※2:その他の住宅に2024年以降に入居する場合、控除期間は10年間
長期優良住宅や低炭素住宅に2023年入居すれば、最大年間35万円も控除されます。
最近はマンション価格が高騰しているので、住宅ローンを5000万円以上借りている方も多いでしょう。
最大13年間控除されるため、省エネ性能が高い住宅の方がずっとお得です。
なお、中古マンションも省エネ基準適合住宅以上の省エネ性能であれば、限度額が1000万円高くなります(借入限度3000万円)。
住宅ローン控除の詳細は下記の記事で解説しています。
所得税の特別控除
新築の省エネ住宅を購入すると、「認定住宅等新築等特別税額控除」を利用できることがあります。
令和7年12月31日までに下記の住宅に入居すると対象になります。
- ① 認定長期優良住宅
- ② 認定低炭素住宅
- ③ ZEH水準省エネ住宅
(断熱等性能等級5以上及び一次エネルギー消費量等級6以上の住宅)
この制度は、先ほどご紹介した住宅ローン控除とは併用ができません。
通常であれば住宅ローン控除の方がお得ですが、住宅ローンを借り入れなかった場合や借り入れた金額が少ない場合には、こちらの控除の方が良い場合もあります。
「認定住宅等新築等特別税額控除」制度を利用すると、所得税から最大65万円が1度だけ控除されます。
控除額は下記のように計算します。
認定住宅等新築等特別税額控除の計算式
認定住宅等の構造及び設備に係る標準的な費用の額(45,300円×床面積㎡)※ × 10% =控除額
※費用の限度額は650万円
不動産取得税
不動産取得税とは、マンションや土地など不動産の取得時に納める税金です。
税額は、土地や建物の固定資産税評価額により決定します。
種類 | 課税対象 | 税率 | 軽減税率 | 軽減措置 |
---|---|---|---|---|
土地 | 評価額 | 4% | 3% | 評価額の1/2で計算 |
建物 | 評価額 | 4% | 3% |
建物について、床面積が50㎡~240㎡の新築・中古マンションの場合、築年数に応じ、固定資産税評価額より一定額が控除されます。
具体的には、1997年4月1日以降に新築された建物は1200万円が控除されます。
しかし、認定長期優良住宅の場合は控除額が増えて、1300万円控除となります。
登録免許税
マンションを購入したら、所有権の登記をすることになります。
また、住宅ローンを借り入れた場合は抵当権設定登記も必要です。
登記申請時には、登録免許税を支払わなければなりません。
このとき、長期優良住宅・認定低炭素住宅であれば、建物の保存登記と移転登記には軽減税率が適用されます。
登記種別 | 課税対象 | 税率 | 軽減税率 | 長期優良住宅・ 認定低炭素住宅の 軽減税率 |
---|---|---|---|---|
土地の移転登記 | 不動産の価額 | 2% | 1.5% | |
建物の保存登記 | 不動産の価額 | 0.4% | 0.15% | 0.1% |
建物の移転登記 | 不動産の価額 | 2% | 0.3% | 0.1% |
ローン抵当権登記 | ローン借入額 | 0.4% | 0.1% |
※軽減税率は、2027年3月31日までに登記を受ける場合が対象
固定資産税
マンションを購入した後には、毎年固定資産税を支払う必要があります。
2026年3月31日までに新築マンションを購入した場合、固定資産税の減額措置が設けられています。
通常の新築マンションの場合、固定資産税は5年間にわたり1/2に減額となります。
しかし、長期優良住宅に認定されているマンションであれば、さらに長い7年間にわたって1/2となるのです。
住宅取得資金援助制度
住宅を購入するときに、両親や祖父母から資金援助をしてもらうという方もいるでしょう。
このとき、要件を満たせば一定の金額まで非課税となります。
非課税限度額
質の高い住宅 | 1,000万円 |
---|---|
その他の住宅 | 500万円 |
このように、質の高い住宅であれば、限度額が普通の住宅の2倍です。
この制度における省エネ住宅とは、下記①~③のいずれかを満たす住宅になります。
ただし、住宅取得資金援助は現時点では2026年12月31日までの制度となっています。
補助金をもらえることがある
省エネ住宅を対象とした補助金制度があるので、現在利用できるものをご紹介します。
子育てエコホーム支援事業
「子育てエコホーム支援事業」は、省エネ住宅(新築)の取得や省エネなリフォームを支援するための事業です。
子育て世帯と若年夫婦世帯が主な対象ですが、リフォームは全世帯が申請できます。
この支援事業における省エネ住宅とは、「長期優良住宅」または「ZEH住宅」です。
Nearly ZEH・ZEH Ready・認定低炭素住宅なども該当します。
補助額は、新築住宅購入だと1住戸につき80~100万円、リフォームは上限20~60万円です。
対象(マンション購入の場合) | 1.子育て世帯または若者夫婦世帯※が購入する新築住宅 ※(令和5年4月1日時点で夫婦のいずれかが39歳以下) 2.住宅取得者等が工事施工業者に対象工事を発注するリフォーム |
---|---|
補助額 | 新築住宅購入:長期優良住宅は100万円※、ZEH住宅は80万円※ ※市街化調整区域や特定の災害リスクがある区域の場合、補助額は半額となる リフォーム:工事内容や発注者の年齢等に応じて上限20~60万円 |
対象着工期間 | 2023年11月2日以降、対象工事に着手したもの |
交付申請期間 | 2024年3月中下旬~遅くとも2024年12月31日まで |
詳細は、子育てエコホーム支援事業の公式ホームページをご確認ください。
3. 省エネマンションなのか確認する方法
最後に、購入するマンションが省エネ性能なのか確認する方法をご説明します。
例えば住宅ローン控除で「省エネ基準適合住宅」と認定されるためには、断熱等級と一次エネ等級が基準を満たしている必要があります。
しかしこの2つの数値については、物件の公式ホームページや資料請求したら届くパンフレットには記載されていないことの方が多いです。
モデルルームなどを見学すると住宅性能に関する詳細な資料をもらえることがあって、その資料には記載されていることがあります。
不動産会社に直接聞いてみることが、一番確実な方法になります。
ただし、物件によってはホームページやパンフレットなどに「長期優良住宅」「低炭素住宅」「ZEH-Mマンション」「省エネ基準適合」と書かれています。
ホームページであれば、トップページや設備仕様・構造に記載されています。
最近の物件は、上記いずれかの省エネ性能であれば、記載されていることも多いです。
というのも、省エネ性能が高いマンションというのは大きなアピールになるからです。
また、中古マンションの仲介会社によっては住宅性能が明記されていることがあります。
ホームページやアプリの物件検索条件で「長期優良住宅」や「低炭素住宅」を選択できるところもあるようです。
住宅性能について明記されていない築古のマンションであっても、改修などによって省エネ基準を満たしていることもあります。
気になる物件があれば、仲介している不動産会社に確認してみましょう。
4.まとめ
今回の記事では、省エネ住宅の種類とメリットについて解説しました。
聞き慣れない用語も多かったと思いますが、普通の住宅と省エネ住宅の主な違いは「断熱性」と「一次エネルギー消費量」です。
ご自身の購入検討しているマンションが省エネ住宅かどうかは、不動産会社に確認してみましょう。
各種税金控除をはじめ、省エネ住宅が優遇されているものは多いです。
マンションが非常に高い今の時代だからこそ、このような制度を大いに活用してください。
また、最近は電気代やガス代の高騰も続いています。
省エネ住宅の最大の魅力は、「省エネ」で生活ができるところです。
光熱費の軽減はもちろん、毎日の生活を快適に過ごすことができます。
ぜひ、省エネ性能に注目したマンション選びをしてみてください。
省エネ住宅の重要度は理解できたし、今なら補助金ももらえる。いざ行動しよう!とした皆さんは、以下のように思われたのではないでしょうか?
- ● 補助金の仕組みが複雑すぎて、何をどうしたら良いか分からない
- ● 補助金はもらいたいが、仕組みを理解するために学ぶ時間が取れない
- ● 業者に騙されたニュースを聞いたことがあり、少し怖い
- ● 実際にどの業者を選べば良いのか分からない
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