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住まいサーフィン編集部

年収1000万円でのマンション購入、住宅ローンはいくら借りられる?ペアローンについても解説!

2024年07月17日

更新日最終更新日:

年収1000万円の人のマンション購入について、この記事で分かること

マンションを購入するとき、多くの人が住宅ローンを借り入れます。
年収1000万円と聞くと「比較的自由にお金が使えて、貯金もすぐに貯まりそう」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、家計に余裕があるかどうかは人それぞれです。
年収1000万円でも借入額が多ければ、マンション購入後には返済だけで精一杯になることもあります。

今回の記事では、年収1000万円でマンション購入する場合の住宅ローン借入額や注意点について解説します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

1998年開設、マンションの適正価格や資産価値を判断するための価格情報サイト「住まいサーフィン」が運営。
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1. 年収1000万円の手取りはどれくらい?

年収1000万円もあると、平均年収よりもかなり高いと感じる方も多いと思います。

国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、平均給与(年間)は458万円です。

給与階級別で見ると、令和4年に1000万円を超えている人はたったの5.4%でした。
年収1000万円あれば自由に使えるお金も多いように見えますが、実際は税金や保険料などの支払いも多くなっています。

税金・保険料

年収1000万円でも、もちろん1000万円がそのまま手元に来るのではなく、その中から税金や保険料などが差し引かれます。

会社員の場合は、以下が給与等の収入から差し引かれます。

  • ● 所得税
  • ● 住民税
  • ● 社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料※)

※介護保険料は40歳以上のみ

この中でも、特に多く支払う必要があるのは所得税です。
所得税は累進課税制となっているので、所得が多い人ほど税率が上がります。

所得税の計算方法

年収1000万円だと所得税はどれくらいになるのか、計算してみましょう。
今回は独身で、扶養控除は無いケースを考えます。

  • 所得税算出までの簡単な流れ
  • ①収入から各種控除と社会保険料を差し引いて、課税される所得金額を算出
  • ②課税される所得金額に所定の税率を掛けて、最後に所定の控除額を差し引く

収入から控除するものは主に以下の2つです。
その他にも扶養控除や生命保険料控除、住宅ローン控除などがあります。
今回は以下2つの控除のみで計算をします。

  • 〇 基礎控除(48万円)
  • 〇 給与所得控除額(収入1000万円以上なら195万円)

参考:所得控除のあらまし
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm)

収入からは社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料)も差し引きますが、今回は社会保険料は合計120万円と仮定します。

収入から各種控除と社会保険料を差し引いて課税される所得金額が分かれば、以下の表から求めることができます。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から194万9,000円まで 5% 0円
195万円から329万9,000円まで 10% 9万7,500円
330万円から694万9,000円まで 20% 42万7,500円
695万円から899万9,000円まで 23% 63万6,000円
900万円から1,799万9,000円まで 33% 153万6,000円
1.800万円から3,999万9,000円まで 40% 279万6,000円
4,000万円 以上 45% 479万6,000円

計算すると以下のとおりになります。

  • 課税される所得金額
  • =給与収入-(基礎控除+給与所得控除+社会保険料控除)
  • =1,000万-(48万+195万+120万)
  • 637万
  • 所得税は、637万×20%-427,500=846,500円

今回のケースであれば、年間所得税は84万6,500円と算出されました。
扶養している人がいればもう少し安くなりますが、それでも少なくない金額です。

また、住民税や健康保険料についても所得が多い人ほど金額も高くなります。

最終的には、年収1000万円の人の手取りは約700~800万円と想定されます。

2. 年収1000万円だと住宅ローンはどれくらい借りられる?

次に、年収1000万円の場合は住宅ローンをどれくらい借りられるのかを見ていきましょう。

住宅ローン審査時には、「返済負担率」がチェックされます。
返済負担率とは、年収に対して年間どれくらいの割合で住宅ローン返済するかを示すものです。

住宅ローン審査で基準とされる返済負担率は、金融機関によって異なります。
例えばフラット35では、年収400万円未満の人は返済負担率30%、年収400万円以上の人は返済負担率35%とされています。

また、住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2024年4月調査)」によると、住宅購入者(住宅ローン利用者)の返済負担率は、15%超20%以内の利用割合が最も多いようです。

返済負担率の厳密な計算方法は金融機関によって異なりますが、大まかに以下の式で実際に計算してみましょう。

  • 返済負担率=年間の返済額合計÷年収(1000万)

返済率15%~35%について以下の表にまとめました。

返済負担率 年間の返済額合計 毎月の返済額 合計借入金額※
15% 150万円 12.5万円 約4,700万円
20% 200万円 16.7万円 約6,300万円
25% 250万円 20.8万円 約7,900万円
30% 300万円 25万円 約9,500万円
35% 350万円 29.2万円 約1億1,000万円

※返済期間35年・元利均等返済・金利0.6%とする

返済負担率35%まで借りられる金融機関であれば、最大借入金額は約1億1,000万円です。

また、利用割合が多い返済負担率15~20%の場合、借入金額は約4,700万円~約6,300万円となります。
6000万円台の物件なら返済負担率は20%前後なので、家計の負担はそれほど大きすぎないと言えるでしょう。

今回は変動金利と仮定しましたが、別の金利タイプであれば金利は上がるので合計借入金額は少なくなります。
金融機関のサイトでも年収や頭金の金額などを入力してシミュレーションできるので、試してみてください。

3. 世帯年収1000万、2人で住宅ローンを借りることはできる?

日本では、共働き世帯が増えています。
また、住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2024年4月)」によると、22.8%の人がペアローンを利用したと回答がありました。

マンションや一戸建てなど住宅価格の高騰は続いています。昔の価格なら買えたのに、今は高すぎて買えないと嘆いている方も多いのではないでしょうか。
単独の住宅ローンでは希望額が借り入れられない場合でも、2人なら借入可能額を増やすことができます。
ペアローンの利用者は、今後さらに増えていくかもしれません。

夫婦2人で住宅ローンを借り入れる方法には、ペアローン収入合算(連帯債務型または連帯保証型)があります。

ペアローン

ペアローンとは、1つの物件に対して夫婦や親子2人がそれぞれ住宅ローンを申し込みます。
借入期間や借入額などは個別に決めます。
それぞれが債務者となり、さらにそれぞれがパートナーの連帯保証人になります。

メリットは、住宅ローン控除を2人とも受けられることと、団体信用生命保険(団信)に2人とも加入できることです。

住宅ローン控除には、「借入限度額」があります。
例えば新築マンション(省エネ基準適合住宅)に2022年入居した場合は、借入限度額は4000万円になります。
住宅ローン控除額は年末残高に0.7%を掛けて算出しますが、残高が4000万円以上残っている場合は4000万円で計算されます。
借入額によっては、単独よりもペアローンの方が節税できることがあります。

ただし、ペアローンの場合は住宅ローンを2本契約することになるので、事務手数料などの諸費用も2本分かかってしまうことに注意しましょう。

また、どちらか一方が死亡したり高度障害状態になったりしても、団信により残債がなくなるのは一方のみになります。

収入合算

収入合算とは、夫婦や親子の収入を合わせて住宅ローンを組むことです。
借り入れを申し込んだ人が主債務者となり、収入を合算したパートナーが連帯保証人または連帯債務者となります。
連帯保証型と連帯債務型の違いは、住宅ローン控除適用の有無と、返済義務です。

項目 住宅ローン控除 返済義務
連帯保証型 適用されない 債務者が返済できなければ、返済義務が発生
連帯債務型 適用される 最初から2人に返済義務

連帯債務型は、要件を満たしていれば2人がそれぞれ住宅ローン控除を受けることができます。
ペアローンと違って、事務手数料等の諸費用は住宅ローン1本分だけになります。

しかし多くの金融機関では、収入合算の場合は「連帯保証型」です。
また、金融機関によっては収入合算の取り扱いがないこともあります。

ペアローンと収入合算の違い

ペアローンと収入合算について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

ペアローンのメリット・デメリットは何?収入合算との違いも解説!

ペアローンのメリット・デメリット、収入合算との違いについて解説します。

パートや契約社員の場合でもペアローンや収入合算できる?

共働き世帯でも、正社員ではなくパートや契約社員として働いている場合、住宅ローンを2人で借りることはできるのでしょうか。

ペアローンについては、パート・契約社員の場合は審査に通らない可能性が高いです。
住宅ローンは高額で返済期間も長いので、長期間にわたる安定な収入の見込みがないと、金融機関としてもお金を貸すことができません。

しかし、収入合算であればパートや契約社員であっても審査が通ることがあります。
例えばイオン銀行では、正式申込日時点において6ヶ月以上勤続している場合は、パートであっても原則収入合算できるとしています。

勤続年数などの要件は金融機関によって様々です。
収入合算の審査が通らなかった場合でも、諦めずに他の金融機関に審査申請してみましょう。

4. マンション購入後、無理なく返済するための注意点

最後に、年収1000万円でマンションを購入する場合の注意点について見ていきましょう。

マンションは毎月維持費の支払いをしなければならない

マンションは毎月の住宅ローン返済だけでなく、別途管理費や修繕積立金を支払う必要があります。
金額はマンションや専有面積によって違いますが、平均としてはこのようになっています。

マンション管理費の月々の平均相場(70㎡換算)

都道府県 管理費
東京都 22,120円
神奈川県 15,698円
埼玉県 13,616円
千葉県 13,492円

(2018年以降に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)

マンションの修繕積立金の平均月額相場(70㎡)

都道府県 築1年 築5年 築10年
東京都 7,065円 8,326円 12,459円
神奈川県 6,617円 8,486円 11,750円
埼玉県 7,061円 7,576円 10,937円
千葉県 6,106円 7,329円 10,701円

(2010年以降に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)

修繕積立金については、築年を経過するごとに値上げされる傾向があるということを心づもりしておきましょう。
また、大規模修繕時に積立金が足りない場合、一時金を納めなければならないこともあります。

毎月の住宅ローン返済額と維持費の支払いで家計が圧迫されないよう、多少余裕を持った方が安心です。

将来的には各種手当の削減や増税の可能性も?

年収1000万円または世帯年収1000万円の場合でも、生活にどれだけ余裕があるかは家族構成によっても異なります。
特に子どもがいる家庭の場合は、教育費や養育費も必要になってきます。

子育て家庭への支援として国や自治体は様々な政策に取り組んでいますが、一部の手当や補助金については所得制限があります。

例えば高等学校等就学支援金制度(高校無償化制度)については、「世帯年収約910万円以内」という所得要件が設けられています。年収1000万円だと、この制度の対象外になるでしょう(所得制限が撤廃された東京都は除く)。

また、各種税金についても将来的には増税があるかもしれません
2020年の税制改正で、年収850万円を超える人は所得税が増税されました。このように、年収が平均よりもずっと多いからこそ、増税や手当の削減がされる際に影響を受けやすくなることがあります。

そのため、マンションなどの住宅を購入する場合は、ある程度余裕をもったマネープランを立てることが大切です。

また、マンションを購入しても、家族構成の変化や予期せぬ事情によって売却することが考えられます。

売却をする場合、住宅ローン残高は一括返済することが一般的です。
注意する点として、マンション売却代金が住宅ローン残高および売却にかかる費用を下回る場合は、自己資金を用意する必要があります。
住み替えローンを借り入れるなどの方法もありますが、できれば売却代金は住宅ローン残高や費用よりも高くなって欲しいですよね。

資産価値が高いマンションだと値下がりしづらいので、万が一のときの備えにもなります。資産価値が高いマンションの探し方は、最後のまとめでご紹介しています。

5.まとめ

今回の記事では、年収1000万円でマンション購入する場合の住宅ローン借入額やペアローンについて解説しました。

年収1000万円は平均年収よりもずっと高いですが、マンション価格も高騰しているので、物件価格によっては住宅ローン返済で家計が圧迫されることがあります。
無理のない返済にならないよう、資金計画をしっかり立てましょう。

また、マンション購入において重要なのは情報収集です。とはいえ、どうすれば良いか分からないという方も多いですよね。
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