編集部厳選!マンション知識最前線!? 不定期
住まいサーフィン編集部

[第22号]住宅ローン返済と子どもの教育費はペアで考えましょう:FPから見たマンション生活特集

2016年07月25日

住宅ローンの返済は長期に渡る基本出費となります。後に子どもの教育費が急増する時期と重なるので、住宅購入・教育資金の税制優遇措置について親や祖父母に相談してみましょう。

住宅ローンの金額だけで返済プランを組んではダメ!

大学入試~卒業までにかかる教育費はまさにバズーカー

ごあいさつ
ファイナンシャル・プランナー(FP)の原 浩也です。

ともに地方出身で同い年の妻、今年(ようやく)社会人デビューの長男、大学2年の長女と4人暮らし。18歳で上京後、結婚を機に26歳で最初の中古マンションを購入して即リフォーム。30歳で長男が生まれ、1年間の賃貸暮らしを経て現在のマンションに住み替えました。

当コラムは、みなさんよりちょっと先に経験した、はじめてのマイホーム選びから今日までのエピソードをご紹介しつつ、「あのとき知っていたらなぁ」と思うことをFP視点を交えてお伝えしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

挙式費用を抑えて マンションGET!

私たちはプロポーズを機に話し合い、買えるなら家を買おうと決めました。 2人が支払っている毎月の家賃を合わせるとそこそこの金額になったからです。 でも計算すると頭金が足りませんでした。

そのころ妻が雑誌でハワイの海外ウェディング広告を見つけ、日本より格安で結婚式が挙げられることを知りました。 そこで新婚旅行を兼ねて2人だけで式を挙げ、もし親が挙式費用を援助してくれるつもりなら、それを家の頭金としてご支援いただけないか両家に相談してみようとなりました。

結婚のご報告をかねダメ元で考えを説明すると、大変ありがたいことに両家とも快く受けてくださり、新居となる小ぶりの中古マンションを東京近郊に買うことができたのです。
そして人生初のマイホームで私たちは婚姻届にサインをし、その後5月に結婚式を挙げることになりました。親には心から感謝です。

最近ではスマ婚など、リーズナブルな挙式もできるようになったので、私たちの頃より住宅購入に資金を回しやすいかもしれませんね。

親からの住宅購入援助は非課税対象?!

さて2016年7月現在(以下今)、ほとんどの方が利用する住宅ローンはこれまでにない長期固定・超低金利の商品が充実しています。
これを見て、もう少し頭金があればなぁと思っている方には、両親や祖父母の資産を早く次の世代に移そうとする国の税制優遇措置(以下優遇措置)をお勧めします。
これは平成31年3月31日までの特例で、平成29年9月までに贈与された資金でマンションを購入し、翌平成30年3月15日までに住んだ場合は、もらう人の合計が700万円(省エネ等住宅は1200万円)まで非課税になります。

中古マンションでも新築マンションでも戸建でも、新居の購入を考えているなら是非一度 両家のご両親にご相談されてみてはいかがでしょう?

国税庁『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例』

住宅ローンの返済プラン、『教育費』を忘れるな!

また住宅購入直後には見えづらく、ある時期から急に気づくのが『教育費』問題です。
子どもが生まれてから中学生までは、児童手当が支給されるほか医療費助成など自治体の各種補助制度(期間と内容は自治体によって異なる)が充実しているので、オール私立でなければ教育費はあまり意識せずに過ごせると思われます。
高校でも授業料支援があるので、こと授業料の負担はさほど感じないかもしれません。

そんな様子が一変するのが大学入試準備の頃から始まる教育費急増期です。
まとまった金額の予備校費、大学受験料やそのための交通費に宿泊費、入学金などが一時出費として急増し、入学後の学費へと続いて行きます。

下図は夫、妻とも30歳。この年に30年の住宅ローンを組み、第1子は32歳、第2子が34歳で誕生、私立保育園、公立小中学校、私立高校・大学にストレートで進学・卒業した例で、赤帯部分が教育費急増期。

画像提供:原 浩也 ※人生における住宅ローン返済期間と教育費急増期のイメージ図
※余命は厚生労働省発表の「平成26年簡易生命表の概況」から。30歳の統計的寿命はそれぞれ81.21歳と87.32歳

独立行政法人日本学生支援機構の「平成26年度学生生活調査」によると、年間の学費は国立で約65万円、私立で約136万円となっています。
授業料は通常半期に一度の現金一括払いなので、国立32.5万円、私立68万円×人数分の金額が年2回発生するので相当きついです。

住宅購入資金だけじゃない!「教育費」も親を頼れば得をする!

一度に多額の現金が必要となるこの期間を乗り切るため、住宅資金に続いて検討したいのが教育資金の優遇措置です。(平成31年3月31日までの特例)
祖父母から子・孫へ、もらう人の合計が1,500万円までは非課税となります。
もらう人名義の専用口座に贈与されたお金を引き出すには少し制約があるものの、4年間分の学費合計は国立260万円、私立544万円になるので、住宅資金優遇措置と一緒に相談されると良いでしょう。

詳しくは文部科学省の『教育資金の一括贈与』をご覧ください。

なお、祖父母からの援助が難しいようなら、自分たちで『こども(学資)保険』などで積立てたり、『国の教育ローン』や子どもの『奨学金』を利用する方法を考えましょう。

あなたにとって「家」とは何ですか?

さてさてお金の話だけでは暗~くなるので考え方を変えましょう。 住宅は人生で最も高い買い物と言われますが、二人(+将来の家族)が長い時間をかけてつくり上げてゆく家族ライフの始まりでもあります。

長男が幼稚園年少組のとき、こんなことがありました。
七夕イベントの合間に担任の先生が「D君この前の防災訓練で、おうちに帰れなくなるーって泣いたんです。可愛かったですよ、あはは」と話してくださいました。

賃貸か所有かなんて長男には関係ないのだけれど、彼にとって「おうちはとっても安心できる心のよりどころ」なんだなぁと、この話を聞いてしみじみ思いました。
一方、そんな実家ぐらしの感覚をすっかり忘れていた私にとっては、モノとしか考えていなかった家が生きものになった瞬間で、頑張って住宅ローンを返していこうとモチベーションがグーンと上がったのでした。

そんな「おうち」探しに、もしかして悩んでいるあなたへのアドバイス。
『家、就職、結婚はご縁』 考え過ぎると進みません(苦笑)。
じっくり検討したら、これもご縁と「エイヤ」で決断することも時には大切です。 よく考えて決めたら目線を上げ、毎日をポジティブに過ごしましょう。

では明るく楽しい「おうちマンション生活」を目指すコラムの初回はこのへんで!
最後までお読みくださりありがとうございました。

(本記事は記事執筆時点の2016年7月の最新情報に基づいて執筆されています。)

Author:原 浩也(はらひろや) 先生

(CFP®(ファイナンシャル・プランナー)、基本情報技術者、宅地建物取引士,くらしとお金とパソコンのヘルプデスク『スラウギ』代表)

28年間の総合出版社勤務で情報システム、広告・販売営業、物流開発と、様々な職務を経験し5年前に早期退職。 FP資格を取得後、某大学にて中島智美さんの「マネープランニング講座」講師を務める。 また技術者として高齢者向けのスマホ、タブレット、PC講座講師をするほか、不調PC修復などの出張サポートも行っている。

同い年で共に地方出身の妻、今年社会人になった長男、大学2年の長女の4人暮らし。 結婚を機に26歳でマンション購入。長男が生まれ住み替えて現在居住中。 当コラムは、読者のみなさんがこれから経験するであろうことを、ちょっと先にやってきた私がお伝えします