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分譲マンションを購入すると、毎月「管理費」というものを支払わなければなりません。これは、何のために支払う費用なのでしょうか。
また、このような疑問を持っている方もいらっしゃるでしょう。
- ● 平均金額はいくら?うちのマンションは相場と比べてどうなのか?
- ● 修繕積立金との違いは?
今回の記事では、マンションの管理費の使い道や平均金額、管理費が高い理由について解説します。
目次
1. 分譲マンションの管理費とは何か
管理費とは、建物管理維持のために支払う費用のことです。分譲マンションを購入すると管理費の支払いが必要になります。主に共用部分のために使われるもので、人件費や点検費、光熱費などその使い道は多岐にわたります。
管理費を支払うことで、私たちはマンションで快適な生活を送ることができます。
マンションの管理費の使い道
具体的には、管理費は何の費用に使われているのでしょうか。管理費の主な使い道を見てみましょう。
マンション管理費の使途(例)
- 管理会社への委託業務費
- ● 管理人・清掃員・コンシェルジュの人件費
- ● 共用部分の清掃費用
- ● 各種設備の保守・点検費用
- ● 植栽などの工事・伐採・剪定費用
- その他
- ● 共用部分の水道光熱費
- ● 共用部分の備品・消耗品代
- ● 共用部分の保険料
- ● 管理組合の運営費用
このように、管理費の使い道はかなり幅広いです。一部使途について少し詳しくご説明します。
管理会社への業務委託費
マンションの管理はマンションの組合員(住民)がやることになりますが、自分たちで管理業務をやるのは難しいです。そこで多くのマンションでは、マンションのプロである管理会社に管理業務を委託しています。
管理会社は、マンションの事務管理や管理人業務、清掃、点検などマンションの維持管理に関する業務を行います。そのため、管理費の多くは委託業務費として管理会社に支払われています。
共用部分の水道光熱費・備品消耗品代・保険料
マンションの居室内の水道光熱費はそこに住んでいる人が支払いますが、共用部分についてはマンション住民全員で負担する必要があります。
マンションの共用部分とは、例えばこのような場所を言います。
- ● エントランス
- ● 共用廊下
- ● エレベーター
- ● 階段
- ● 共用施設(ラウンジ、ゲストルームなど)
- ● ゴミ捨て場
- ● 駐車場・駐輪場
これらの場所の水道光熱費、備品・消耗品代は管理費から捻出されます。
また、一般的にはマンションの共用部分は火災保険・地震保険・施設賠償責任保険に加入しています。
施設賠償責任保険とは、施設の不備で他人(または他人の所有物)に損害を与えてしまったときに備えるための保険です。例えばマンション外壁のタイルが剥がれ落ちて通行人がケガをしてしまった場合には、この保険によって補償されることがあります。これらの保険料も、管理費の使い道の一つです。
修繕積立金との違い
マンション購入後に毎月支払う諸費用は、管理費だけではありません。「修繕積立金」というものも支払います。
修繕積立金は共用部の修繕を行うための費用です。大規模修繕等に備えて管理組合で積み立てられます。
修繕積立金は、このような修繕に使われます。
修繕積立金の使途(例)
- ● 屋根防水の補修・修繕
- ● 外壁の塗り替え・貼り替え
- ● 屋上フェンスや手すりの塗り替え
- ● 共用施設の塗り替え・修繕
- ● 受水槽や高置水槽の補修・取り替え
- ● エレベーターの補修・取り替え
- ● 機械式駐車場の補修・取り替え
大規模修繕は12~15年周期が一般的ですが、10数年ごとに上記の工事すべてを行うわけではありません。長期的な修繕計画を立てて、都度見直しながら必要な工事を実施していきます。
大規模修繕について詳しく知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください。
マンションの大規模修繕の時期はいつ?築年別の平均修繕積立金についても解説!
大規模修繕の必要性や時期、修繕積立金について解説します。
管理準備金と修繕積立基金
新築の分譲マンションを購入すると、「管理準備金」と「修繕積立基金」を支払います。管理準備金は1~2万円前後であることが多く、修繕積立基金は20~90万円前後とマンションによって大きく異なります。
管理費と修繕積立金に似ている名前ですが、どのようなものなのでしょうか。
管理準備金とは、マンションの管理をスムーズに始めるための準備資金です。
新築マンションは管理組合に資金がない状態でスタートします。そのため、清掃用具等の備品や火災保険料などすぐに必要なものには管理準備基金が充てられます。
修繕積立基金は、修繕積立金と同じように大規模修繕に使われるお金になります。毎月修繕積立金で積み立てをしますが、それだけでは足りない場合がほとんどです。足りなくなることを見越して、修繕積立基金として事前にまとめて徴収します。
2. マンションの管理費の平均金額・相場
つづいて、マンションの管理費の平均金額について見ていきましょう。
今回は、国土交通省「平成30年度マンション総合調査」を基にした相場と、住まいサーフィンが独自に調査した相場の2つをご紹介します。
国土交通省の調査結果による平均金額
国土交通省は、5年に1回、マンション総合調査というものをしています。本記事執筆時点では令和5年度の調査結果が未公表のため、一番新しい平成30年度の結果をご紹介します。
平成30年度の調査によると、マンション管理費の平均は217円/㎡でした※。マンションの管理費や修繕積立金は㎡ごとの単価が決まっていて、広い住戸を持っている人ほど高いケースが一般的です。
今回の調査結果だと、70㎡の住戸に住んでいる人の平均月額は15,190円になります。
※管理費総収入/月/㎡当たり(使用料・専用使用料からの充当額を含む)
都市圏別だと東京圏が最も高いという結果になりました。
平均金額 (70㎡換算) |
|
---|---|
東京圏 | 18,410円 |
名古屋圏 | 15,680円 |
京阪神圏 | 15,260円 |
また、築浅のマンションほど管理費の平均金額は高い傾向があります。
マンションの竣工年 | 平均金額 (70㎡換算) |
---|---|
2015年~2018年 | 17,850円 |
2010年~2014年 | 16,240円 |
2005年~2009年 | 15,540円 |
2000年~2004年 | 15,890円 |
参考:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html
(国土交通省・平成30年度マンション総合調査結果)
住まいサーフィンの調査結果による平均金額
次に、住まいサーフィンが独自で調査した管理費の平均金額を見ていきましょう。
今回ご紹介するのは、築年数が浅いマンションの管理費平均金額です。
都道府県 | 平均金額(70㎡換算) |
---|---|
東京都 | 22,120円 |
神奈川県 | 15,698円 |
埼玉県 | 13,616円 |
千葉県 | 13,492円 |
大阪府 | 12,223円 |
兵庫県 | 11,088円 |
京都府 | 13,119円 |
滋賀県 | 10,093円 |
(2018年~2021年に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)
県によってもかなり差があることが分かります。特に東京都は高いです。国土交通省の調査でも、東京圏の平均金額が最も高いという結果でした。
なぜこれだけ差が出るかというと、普通のマンションよりタワーマンションの方が管理費は高くなるからです。東京都は他の地域に比べてタワーマンションが多いので、平均金額も高くなっていると推測されます。
タワーマンションの管理費が高い理由
タワーマンションの管理費が高いのには、主に2つの理由があります。
タワーマンションの管理費が高い理由
- ● サービスや共用施設が充実しているから
- ● 高層建築物なので設備が必要だから
タワーマンションは、サービス面や共用施設が充実しています。コンシェルジュがいたり、24時間有人管理だったりなど、安心して生活はできますが、人件費はかかります。
共用施設が充実しているタワーマンションは多いです。共用施設とは、例えばスカイラウンジ・ワークラウンジ・キッズルーム・フィットネスジム・スパなどが挙げられます。
豪華な共用施設は魅力的ですが、施設の光熱費や維持費は高額になりがちです。特に噴水・プール・スパなど、水を使う共用施設は維持費がかなりかかります。
また、タワーマンションは内廊下であることが多いです。外廊下のマンションと違って照明代・空調代も必要になります。
タワーマンションの管理費が高い2つ目の理由は、タワーマンションは高層建築物なので、非常用エレベーターやヘリポート※を設置する必要があるからです。これらの維持・点検費用は管理費から捻出されます。
※消防庁の設置基準は、高さ100m(だいたい30階以上)を超える建物
タワーマンションによっては、70㎡あたりの管理費だけで月5万円ほどかかることもあります。購入検討時には、諸費用も含めて支払いシミュレーションをするようにしましょう。
3. 管理費が高いマンションは?
タワーマンションの管理費は高いですが、それ以外にも管理費が高いマンションはあります。
最後に、管理費が高いのはどんなマンションなのか解説していきます。
小規模マンション
総戸数が小さいマンションほど、管理費は高い傾向になっています。築年数が古いマンションも含めた平均金額を見てみると、このような結果になっていました。
規模 | 管理費の平均金額(70㎡換算) |
---|---|
大規模 | 12,110円 |
中規模 | 12,250円 |
小規模 | 14,840円 |
※大規模=総戸数200戸以上、中規模=50~199戸、小規模=49戸以下のマンション
(1969年~2021年に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)
特に小規模マンションは管理費の平均金額が高いです。マンションの戸数が少なくても、管理人の人件費やエレベーター等の設備維持費用などは変わりません。戸数が少ないと一戸あたりの負担が大きくなってしまいます。
逆に考えると、最も管理費が安くなりやすいのは「タワーマンションではない大規模マンション」ということになります。戸数が多いことで、管理費だけでなく修繕積立金についても比較的安いことが多いです。
新築・築浅のマンション
「国土交通省の調査結果による平均金額」で、築浅のマンションほど管理費が高くなっているとご紹介しました。この傾向は今も続いています。その主な理由は、人件費や光熱費の高騰です。
働き手が不足していて、さらにこの数年で最低賃金も上がっているので、ある程度の賃金でないと管理人や清掃員は見つかりません。また、光熱費も上がっているので、共用部分の維持管理に必要な目安金額も従来より多くなっています。
そのため、新築マンションの管理費は高く設定せざるを得ない状況になっています。
中古マンションの中には、築浅のマンションに比べて管理費が安いところもあります。そういったマンションを選んだ方が月々の支払い金額は少なくなるので、お得に見えるでしょう。
しかし、ずっと同じ管理費・管理内容であるとは限りません。人件費や光熱費が上がっているというのは中古マンションにも言えることなので、今までと同じ管理費だといずれ足りなくなってしまいます。
管理費を上げるには、管理組合の総会での決議が必要です。なかなか住民の合意が得られず、自主管理を増やすマンションや管理サービスのレベルを下げるマンションもあります。
中古マンションを購入する場合には、管理費や管理内容を変更する予定がないか、事前に確認するようにしましょう。
また、住まいサーフィンで更新中の「実録!マンション・一戸建て購入のしくじり体験談」にも、このような体験談がありました。
全体的には満足していますが、中庭があったり、噴水があったり、エレベーターも8台あるので、修繕管理費が段々上がってきて、これからもっと高額になっていくと思うと心配です。また、世帯数が多いマンションなので、総会など意見がまとまるまで時間がかかります。>>この体験談をもっと詳しく見る
頭金なしで、ローンの支払い額も賃貸の家賃と大差ない新築マンションをみつけて舞い上がり、他の物件と比較検討することなく即決。ですが、購入後に管理費や修繕積立金など月々の支払額が上がっていき、一方収入は上がらずという状況に陥り、生活がままならなくなってしまいました。>>この体験談をもっと詳しく見る
管理費や修繕積立金などの諸費用は、値上がりするケースが多いです。住宅ローンだけでなく、諸費用についても無理なく支払いができるようにしましょう。
修繕積立金の相場・平均金額も知っておくべし
新築マンションの管理費が高くなっていますが、ただでさえマンション価格が高騰しているのに諸費用も高いとなると、購入できる人は限られてしまいます。そこで、マンションによってはあえて修繕積立金を安く設定しているところがあります。修繕積立金を安くすることで、トータルの諸費用が高くならないように調整しているということです。
例)
(5年前)管理費2万円+修繕積立金1万円=諸費用3万円
(現在)管理費2.5万円+修繕積立金0.5万円=諸費用3万円
なぜ管理費ではなく修繕積立金を安くしているかというと、管理会社はマンション売主の子会社や関連会社であることが多いからです。管理費を下げることで関連会社の収益が減ってしまうので、管理費は適正金額にする必要があります。
一方で修繕積立金は大規模修繕に備えるためのものなので、売主の利益には関係ないです。そのため、当初の修繕積立金を安く設定して段階的に値上げする計画となっているマンションも多くなっています。
この現象については、住まいサーフィンの会員向け動画「沖レク:管理費と修繕費の異変に注意」で詳しく解説しています。
新築マンションを購入する場合には、修繕積立金が相場と比べてどうなっているのか気にするようにしましょう。数年後に大幅な値上げを予定しているかもしれないので、修繕計画をしっかり確認することが重要です。
修繕積立金については、こちらの記事をご覧ください。
修繕積立金の相場価格や値上げの理由、マンション購入者の後悔体験談をご紹介します。
4.まとめ
今回の記事では、マンションの管理費について解説しました。
マンションの購入検討時には、物件の価格に目が行きがちです。しかし、管理費や修繕積立金も毎月支払うものであり、住宅ローンの完済後も支払いは続きます。
また、もし将来マンションを売却することになったとき、管理費等の諸費用が高いことがマイナスに働くこともあります。諸費用が平均金額に比べてどうなのか、しっかり確認することが大切です。
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