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近年、新築マンションの価格高騰により、中古マンションの購入を検討する方が増えています。
新築マンションより安く購入できる中古マンションですが、購入時にどのくらいの現金が必要なのかはイメージできていない方も多いのではないでしょうか。
また、中古マンション購入においては、新築マンションとは異なる注意点も多く、事前に選び方を知っておくことが重要になります。
そこで、今回の記事では、中古マンション購入にかかる初期費用、中古マンション購入で失敗しないための注意点を詳しく解説していきます。
目次
1. 中古マンション購入に必要な費用とは?
まずは、中古マンション購入にかかる初期費用をご紹介します。
新築マンションよりも割安な価格で手に入れられる中古マンションですが、中古マンションは購入時に数百万円の現金が必要です。
中古マンション購入時にかかる初期費用
- ● 手付金
- ● 売買契約書 印紙税
- ● 頭金
- ● 仲介手数料
- ● 住宅ローン契約書 印紙税
- ● 住宅ローン事務手数料
- ● 住宅ローン保証料
- ● 火災・地震保険料
- ● 登録免許税
- ● 司法書士依頼料
- ● 管理費等の清算金
- ● 固定資産税・都市計画税の清算金
中古マンション入居後にかかる初期費用
- ● 不動産取得税
- ● 固定資産税、都市計画税
中古マンション購入時の初期費用とは
はじめに、中古マンションの購入時に必要な初期費用をご紹介します。
手付金
中古マンション売買契約時に、「手付金」の支払いが必要となります。
手付金は物件価格の20%が上限となっていますが、一般的には物件価格の5~10%を支払うケースが多いです。
例えば、物件価格が4,000万円で手付金5%の場合、支払額は200万円となります。
手付金の支払いは中古マンション売買契約時、住宅ローンの融資前のタイミングとなります。
手付金を住宅ローンに組み入れることも可能ですが、その場合も一時的には全額現金で用意する必要があります。
支払いが厳しい場合には減額交渉も可能ですが、人気物件の場合は難しいと考えておいてください。
その後、支払った手付金は引き渡しのタイミングで売買代金の一部として充当されます。
また万が一、契約後にキャンセルしたいとなった場合には、手付金の全額放棄が必要となりますのでご注意ください。(反対に、売主からの契約解除の場合には手付金の倍額が返金されます。)
そこで心配になるのが、住宅ローンの本審査が通らなかった場合は手付金を放棄する必要があるのか?という点。
多くの場合、住宅ローン審査に落ちた場合は違約金が発生しない旨の特約がきちんと設定されていますのでご安心ください。
ただし、中古マンション購入時は、事前に住宅ローン仮審査を通した状態で申込むことをおすすめします。
早く売却したいと考えている売主へ確実に購入できる意思を伝えられ、複数の購入希望者がいる場合に有利に働く可能性があります。
売買契約書 印紙税
不動産の売買契約時、印紙税が課されます。
具体的には、売買契約書に貼り付ける収入印紙代を指します。
収入印紙代は、物件の成約価格によって異なります。
平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成された売買契約書は、軽減税率が適用されます。
以下の表は、軽減税率が適用されたものになります。
成約価格 | 収入印紙代 |
---|---|
1,000万円超え~5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超え~1億円以下 | 3万円 |
1億円超え~5億円以下 | 6万円 |
頭金
契約から引き渡しまでの間に、「手付金」とは別に「頭金」を追加で支払うことも可能です。
しかし、現在は住宅ローンが歴史的な低金利であること、住宅ローン減税が10年間利用できることなどを理由に頭金を最小限に抑えておく方が増えています。
実際に、三井住友信託銀行の2024年のアンケート調査でも、30歳代の約6割が「頭金ゼロ」か「1割程度」で自宅を購入したと回答しています。
万が一の場合に備え、手持ちの現金は多めに残しておくことをおすすめします。
参考:令和の“住まい”と住宅ローン事情(三井住友信託銀行)
仲介手数料
中古マンションの購入時、不動産会社に対し仲介手数料の支払いが発生します。
費用の上限は物件価格の「3%+6万円+消費税」です。
例として4,000万円の中古マンションを購入した場合、仲介手数料は「4000万円×3%×6万円×消費税10%=138万6千円」となります。
なかには手数料無料の業者も存在しますが、選べる物件が少ない、フォローが不十分といったデメリットが生じる可能性もあります。
3%の手数料を節約し手数料無料の業者に頼むよりも、信頼できる不動産会社に仲介してもらった方が結果として良い物件に巡り合える可能性が高く安心です。
住宅ローン契約書 印紙税
住宅ローン契約の際も印紙税が発生します。
ただし、電子契約の場合、印紙代は必要ありません。
印紙代は借入額によって異なります。
借入額 | 収入印紙代 |
---|---|
1,000万円超え~5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超え~1億円以下 | 6万円 |
1億円超え~5億円以下 | 10万円 |
電子契約の場合 | 0円 |
住宅ローン事務手数料
住宅ローン契約時に金融機関に支払う手数料で、金額は利用する金融機関によって異なります。
事務手数料には二種類があり、一つは住宅ローンの借入額にかかわらず、金融機関で定められた数万円~数十万円の一律の金額を支払う「定額型」です。
もう一つは借入金額に応じた額を支払う「定率型」です。
「定率型」の場合、借入金額×2.2%程度の費用がかかるのが一般的です。
また、「定額型」と比較し、支払い額が大きくなるため、後述の「住宅ローン保証料」が不要となっているケースが多いです。
また、購入検討者のなかには、住宅ローン減税制度を有効に使えるペアローンを利用される方も多いと思います。
ペアローンを利用する場合は事務手数料も2倍となりますのでご留意ください。
住宅ローン保証料
住宅ローン保証料とは、保証会社に保証人になってもらうための費用です。
契約時に一括で支払うプランと住宅ローンの金利に組み込むプランの2種類が選択できます。
一括で支払う場合の費用目安は1,000万円あたり20万円前後が目安です。
また、ネット銀行やフラット35など、保証会社を使っていない金融機関の場合は、保証料が掛からないケースもあります。
住宅ローンの金融機関については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
火災・地震保険料
住宅ローン契約の必須条件として求められるのが、「火災保険」です。
費用は一括払いのほか、月払いや年払いも選択できます。
金額はプラン、建物構造、所在地などで異なりますが、数万円~数十万円となっています。
登録免許税
不動産売買を行った際、「登録免許税」がかかります。
土地建物の権利を証明するための登記を行う際に課せられる税金となっています。
中古マンション購入時に必ずしなければならないのが、「所有権移転」の登記です。
住宅ローンを借り入れる場合は、さらに「抵当権設定」の登記も必要となります。
それぞれの登記に必要な登録免許税は、以下の計算式で求められます。
登記内容 | 登録免許税の計算式 |
---|---|
所有権移転(売買) | 「固定資産税評価額」×「※1,2税率」 |
抵当権設定 | 「借入額」×※2 0.4% |
※1 土地の税率は1.5%(2026年3月31日までの軽減税率)、建物の税率は2%
※2 要件を満たした上に住宅用家屋証明書を添付した場合、建物の所有権移転の税率は0.3%、抵当権設定の税率は0.1%になる。
参考:登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ
このように、登録免許税は固定資産税評価額に応じて、数十万円を納付する必要があります。
また、登録免許税は現金で納付する必要があります。
司法書士依頼料
前述した不動産登記に関する手続きは司法書士に依頼するのが一般的です。
依頼料は固定資産税の評価額や借入額などによって異なります。
所有権移転と抵当権設定を依頼すると、相場は10万円台となります。
管理費等の清算金
中古マンションへの入居後は毎月の住宅ローンに加え、管理費・修繕積立金を支払っていくこととなります。
引渡し日以降の管理費や修繕積立金は日割り計算で支払います。
また、日割り計算対象月に加えて、翌月や翌々月を事前に清算することが多いです。
固定資産税・都市計画税の清算金
不動産を所有すると、毎年、固定資産税と都市計画税(固都税)が課せられます。
引渡し日から12月31日分までの固都税は、買主が日割りで支払う必要があります。
なお、関東では1月1日が清算起点ですが、関西では4月1日となっています。
固都税の計算方法については、後ほど解説します。
以上が引き渡し時に発生する初期費用となります。
つづいては、購入後にかかる費用をご紹介します。
中古マンション入居後の初期費用とは
マンション購入後は毎月の住宅ローン返済に加えて、管理費・修繕積立金を支払っていくこととなります。
それに加えて初年度に税金の支払いが発生しますので覚えておきましょう。
不動産取得税
不動産を取得した際、初年度に不動産所得税を支払う必要があります。
不動産取得税には軽減措置が設けられており、中古マンションは年数により控除額が変動します。
軽減措置を受けるためには、自治体への自己申告が必要となりますので、中古マンション取得後は忘れずに申告するようにしましょう。
申告後、半年~1年後に納税通知書が送付されます。
軽減措置後の不動産取得税は、以下の計算で求められます。
計算式 | |
---|---|
土地 | 「固定資産税評価額」×「1/2」×3% |
建物 | 「固定資産税評価額」×3% |
軽減措置は2027年3月31日までとなっているので注意しましょう。
軽減措置の条件など、詳細はこちらをご覧ください。
固定資産税・都市計画税
不動産を所有すると毎年支払う必要がある固都税。
最初の支払いタイミングは所有した翌年の4~6月頃で、納税通知書が自宅に届きます。
固都税は土地家屋の評価額に基づき決定され、数万円から十数万円が一般的です。
固都税は、それぞれ以下の計算からも求められます。
計算式 | |
---|---|
土地の固定資産税 | 課税標準額× 1.4% |
建物の固定資産税 | 課税台帳に登録されている価格× 1.4% |
土地の都市計画税 | 課税標準額× 最高0.3%(制限税率) |
建物の都市計画税 | 課税台帳に登録されている価格× 最高0.3%(制限税率) |
省エネやバリアフリー改修工事などに対する減額もあります。詳細はこちらをご覧ください。
以上が、中古マンション購入時にかかる初期費用となります。
続いては、中古マンションの購入検討時に必ず確認していただきたい、後々失敗しないための注意点を具体的にご紹介していきます。
2. 中古マンション購入で失敗しないための注意点
ここからは、中古マンション購入で失敗しないために、必ず確認すべきポイントを解説していきます。
築年数
中古マンション購入において必ず確認したいのが、マンションの築年数です。
災害リスクが大きい日本において、耐震性は必ず確認しておきたいポイントです。
具体的な基準として、1981年6月に新耐震基準が施行された後に建築されたマンションは現行の耐震基準を満たしている安全なマンションといえます。
旧耐震基準のマンションのなかにも現行の基準を満たすマンションも勿論存在しますが、耐震性の診断には専門性が必要となります。
築年数が古いマンションを購入する際は、築古マンションに詳しい仲介業者を選んだうえで、慎重に判断することをおすすめします。
また、新耐震基準の中古マンションを購入する大きなメリットとして、住宅ローン控除をはじめとする税制上の優遇を受けることが可能です。
旧耐震基準の中古マンションの物件価格はお得に感じられますが、住宅ローン控除により数百万円が手元に戻るため、実はそれほど変わらなかったというケースもありますので注意が必要です。
割安な価格
中古マンションの最大の魅力として、新築マンションと比較した際の割安な価格があります。
中古マンション購入の一番の決め手は価格という方も多いです。
新築マンションの価格が広告費や人件費、その他販売にかかったコストを考慮した上で決められているのに対し、中古マンションは周辺エリアの相場を基準に決められているためです。
中古マンションでも築浅の場合は、新築マンションと比較した際のお得感は少ないですが、築10年以上の中古マンションの場合は新築と比較し2割程度安い価格で購入出来る場合が多いです。
郊外エリアの場合は、新築マンションと中古マンションの価格差はさらに大きくなり、4割以上安い場合もあります。
経年劣化
中古マンションを検討する上で避けられない問題が経年劣化です。
中古マンション購入者が後悔しているポイントとして、入居後に壁の汚れや水回りの劣化が気になってしまったという声が多く寄せられています。
購入時はなにかとお金がかかるため、後で直そうと思っていたものの、その後もなかなかリフォームのタイミングが無いというケースも。
中古マンションを検討する方は、リフォーム費用も考慮に入れたうえで物件探しを行うことをおすすめします。
また、一見すると綺麗な築年数の古いリノベーションマンションも注意が必要です。
部屋の内装は新しくリノベーションされているものの、配管などの見えない部分が老朽化しており、入居後に水漏れ、その他トラブルが発生するケースも聞かれます。
中古マンションの見学の際には、リノベーションの範囲やマンションの管理記録を確認するようにしましょう。
住民の雰囲気・管理組合の体制
中古マンションのメリットとして、実物のお部屋を確認できる点があげられますが、「管理状況」や「マンション内トラブル」についても購入前の確認が可能です。
不動産仲介業者を通じて、管理規約や議事録、長期修繕計画を取り寄せてもらえるため、資料から管理状況を読み取れます。
議事録にはマンション内のトラブルについて等も記載されていますので、マンション内に大きなトラブルがないかどうかについても判断できます。
また、中古マンション見学の際にはお部屋だけでなく、共用部が清潔に保たれているかの確認もしておきましょう。
ゴミステーションが綺麗か、ポストの下にチラシは落ちていないか、掲示板の注意の張り紙は無いか等を確認することで、マンション全体の雰囲気を感じ取れます。
そして、多くのマンションは12~15年程度で一度目の大規模修繕を行います。
築年数が経過している中古マンションであっても、外観や植栽が綺麗に保たれていれば、維持管理がしっかりしているマンションといえるでしょう。
マンション内駐車場
首都圏マンションの場合、駐車場の設置率は40%程度。
中古マンションの場合、マンション内駐車場にすでに空きが無く、駐車場の利用ができない可能性があります。
購入するお部屋の前住民が駐車場を利用していたとしても、駐車場の利用権は引き継がれないケースもありますので注意が必要です。
駐車場を利用したい方は、マンション購入前に空き状況や利用方法を必ず確認しておくようにしましょう。
現在、すでに自動車を所有している方の場合は、ご自身の車が停められるサイズかの確認も必要です。
機械式駐車場や立体駐車場の場合、車高や車幅が合わず停められない可能性があります。
さらに注意点として、マンション内の駐車場に空きがないだけではなく、近隣の駐車場もほぼ埋まっていたという失敗談も聞かれます。
近隣駐車場の利用を考えている方も事前に行動しておきましょう。
3.まとめ
中古マンションは、新築マンションと比較し、物件の選択肢が格段に増え、注意点も多岐にわたります。
さらに、好条件の人気物件ほど即断即決が必要なため、新築マンションと比較し購入する際の難易度が高いともいえます。
気になる物件が見つかった際に適切な行動に移せるよう、事前準備をしっかりとしておきましょう。
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