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新築マンションの中には、「予備認定マンション」となっているものがあります。これはどういうマンションなのかご存じですか。2022年から始まった制度なので、知らないという方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、予備認定マンションの内容やメリットについてご説明します。
目次
1. 予備認定マンションとは何か
まずは、予備認定マンションとは何なのかご説明します。
予備認定マンションとは、管理計画を予備的に認定された新築マンションのことです。「予備的に」「新築マンション」がポイントになります。
予備認定マンションは、「マンション管理計画認定制度」と関連しています。
「マンション管理計画認定制度」はマンションの適正な管理を推進するための制度で、2022年4月に創設されました。分譲マンションの管理組合が管理計画を地方公共団体に提出して、基準を満たしていれば認定を受けられます。
認定を受けたマンションは、管理が適正にされていると市場から評価されます。また、フラット35の金利が一定期間引き下げられたり、大規模修繕工事後の固定資産税が減額されたりするなど、さまざまなメリットがあります。
マンション管理計画認定制度は、マンションの分譲が終了して管理組合を設立した後でなければ申請することができません。しかし、新築マンションを購入するときに住宅ローンをフラット35で借りるという方もいるでしょう。
そこで、新築マンションの分譲中でも認定を受けられるように「予備認定マンション」という仕組みが整備されました。
予備認定マンションは、分譲事業者(売主)と予定管理会社が連名で、マンション管理適正化推進センターに対して申請をします※。
※令和7年度以降を目途に、マンション管理適正化推進計画が作成されている地方公共団体の区域に限り、予備認定を申請できることになる予定です。
お住まいの新築マンションが認定されているかどうかは、マンション管理適正化推進センターのHPで確認できます。
予備認定マンションの基準
予備認定マンションに認定されるためには、基準を満たす必要があります。
画像出典:公益財団法人マンション管理センター
認定基準を大きく3つの項目に分けると、「管理規約」「管理組合の経理」「長期修繕計画の作成及び見直し」になります。
予備認定マンションは、管理計画認定マンションよりも満たすべき基準は少ないです。
2. 予備認定マンションのメリット
つづいて、予備認定マンションのメリットをご紹介します。
フラット35の金利が一時引き下げになる
予備認定マンションの大きなメリットが、フラット35の金利が一定期間引き下げられることです。
マンションを購入するとき、多くの人は住宅ローンを利用します。
住宅ローンの金利タイプは、変動金利と固定金利の2種類に分かれます。変動金利は借入期間中に金利が変わるタイプで、固定金利は借入期間中(商品によっては一定期間の間だけ)金利が一定のタイプです。
フラット35は、借り入れしている全期間で金利が一定になります。途中で金利が上がる心配はありません。ですが、変動金利に比べると金利は高くなります。
フラット35の中には、一定期間だけ特別に金利が引き下げになる商品があります。条件はさまざまですが、その中の一つが「予備認定マンション」です。
フラット35の維持保全型は、以下のいずれかに該当する住宅であれば、当初5年間の金利がマイナス0.25%引き下げられます。
- フラット35維持保全型の利用要件
- ● 長期優良住宅
- ● 予備認定マンション(新築マンションのみ)
- ● 管理計画認定マンション(中古マンションのみ)
- ● 安心R住宅(中古住宅のみ)
- ● インスペクション実施住宅(中古マンションのみ)
- ● 既存住宅売買瑕疵保険付保住宅(中古住宅のみ)
2024年1月現在のフラット35の金利は1.87%です(借入期間21年以上35年以下、団信あり、融資率9割以下)。
しかし予備認定マンションであれば、当初5年間は1.62%になります。返済金額がどれだけ変わってくるのかは、後ほどシミュレーションします。
管理計画が一定の基準を満たしている
予備認定マンションに認定されるためには、先ほどご紹介した基準をすべて満たす必要があります。
マンション新築時に特に重要視されるのは「修繕積立金の積立計画」です。国土交通省が令和5年10月に実施した「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」の資料でも、このように述べられています。
修繕積立金の積立計画などは、新築分譲時の初期設定が非常に重要であり、このように新築時に一定の管理水準を確保していくことは、将来の管理不全化の予防に特に有効と考えられるため、新築のマンションの管理水準を確保していく更なる仕組みの検討が必要ではないか。
実際に、積立金が不足してしまい、修繕積立金が大幅に増額されたり一時金を徴収されたりする事例は多くあります。
その原因は修繕費の高騰や予想外の修繕の発生などさまざまですが、新築時の設定価格が低すぎるというケースもあるようです。
マンションを購入すると、管理費と修繕積立金を毎月支払うことになります。
管理費は建物管理維持のための費用で、管理人の人件費や共有部分の電気代などに使われます。ここ数年は人件費や光熱費が上昇している影響で、新築マンションの管理費は高くなっています。
しかし、ただでさえマンション価格が高騰している中、月々の支払額が多いとマンションの売れ行きは悪くなります。
そこで新築時の修繕積立金を低く設定することで、月々の支払額(住宅ローン返済額・管理費・修繕積立金)を抑えるというわけです。
予備認定マンションでは、修繕積立金に関する下記もチェック項目になっています。
- 修繕積立金の積立てについて、下記の内容を満たすものとなっている
- ● 積立額が著しく低額でないこと
- ● 将来の一時金の徴収を含まないこと
- ● 将来の増額が予定されている場合、その増額についてあらかじめ合意されていること
予備認定マンションは一定の基準は満たしていると言えるでしょう。
ただし、予備認定マンションでは期間全体での修繕積立金額の平均額の基準が定められていますが、計画期間を通じた増額幅は基準とされていません。
そのため、マンションによってはこのようなケースもあるようなので注意が必要です。
購入時の 修繕積立金 |
最終計画年の 修繕積立金 |
---|---|
8,750円 | 30,240円 |
※70㎡あたりの金額の月額
参考:国土交通省 標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ
購入前には、必ず修繕計画を確認しましょう。
3. フラット35がどれくらいお得になるかシミュレーション
最後に、予備認定マンションだとフラット35の返済額がどれだけ安くなるのかシミュレーションしてみます。
予備認定マンションだと、当初5年間は通常金利から年0.25%引き下げとなります。
当初5年間の、月々の支払額はこのようになります。
フラット35の月々の支払額(当初5年間)
借入金額 | 金利引き下げなし※ | 予備認定マンション | 差額 |
---|---|---|---|
3,000万円 | 97,389円 | 93,628円 | 3,761円 |
4,000万円 | 129,852円 | 124,838円 | 5,014円 |
5,000万円 | 162,315円 | 156,048円 | 6,267円 |
6,000万円 | 194,778円 | 187,257円 | 7,521円 |
7,000万円 | 227,241円 | 218,467円 | 8,774円 |
8,000万円 | 259,704円 | 249,677円 | 10,027円 |
9,000万円 | 292,167円 | 280,886円 | 11,281円 |
※2024年1月現在の金利1.87%・借入期間35年・団信あり・融資率9割以下で計算
借入金額によっては、月々の金額が1万円以上安くなることもあります。
次に、総返済額はどれだけ差が出るのか見ていましょう。
フラット35の総返済額
借入金額 | 金利引き下げなし※ | 予備認定マンション | 差額 |
---|---|---|---|
3,000万円 | 40,903,133円 | 40,500,109円 | 403,024円 |
4,000万円 | 54,537,599円 | 54,000,295円 | 537,304円 |
5,000万円 | 68,172,079円 | 67,500,354円 | 671,725円 |
6,000万円 | 81,806,553円 | 81,000,460円 | 806,093円 |
7,000万円 | 95,441,027円 | 94,500,646円 | 940,381円 |
8,000万円 | 109,075,499円 | 108,000,693円 | 1,074,806円 |
9,000万円 | 122,709,959円 | 121,500,808円 | 1,209,151円 |
※2024年1月現在の金利1.87%・借入期間35年・団信あり・融資率9割以下で計算
総返済額は、数十万円~約120万円も違うことが分かりました。
フラット35で住宅ローンを借りて新築マンションを購入することを考えている方は、予備認定マンションかどうかは必ずチェックするようにしましょう。
なお、フラット35は他の金利引き下げメニューと併用できる場合があります。
フラット35についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
4.まとめ
今回の記事では、予備認定マンションの内容やメリットについて解説しました。
国土交通省の資料によると、2022年度に供給された新築マンションの約半数は予備認定マンションに認定されました。
2024年1月現在では、1121のマンションが予備認定マンションになっています。今後、新築マンションは予備認定マンションとなっていることが当たり前になる日も近いかもしれません。
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