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住まいサーフィン編集部

借入期間50年の住宅ローンってどうなの?メリットとデメリットを解説!

2023年08月09日

更新日最終更新日:

住信SBIネット銀行の住宅ローンは、2023年8月4日から借入期間が最長50年となりました。
多くの人は、住宅ローンを借入期間30~35年で組みます。35年でも十分長いのに、さらに長い50年で住宅ローンを組むのはどうなのか、気になる方も多いでしょう。

そこで今回の記事では、借入期間50年の住宅ローンのメリット・デメリットについて解説します。
35年と50年どちらが良いのかケース別にシミュレーションもするので、是非最後までご覧ください。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1. 住宅ローンを最長50年借りられる銀行はどこ?

一般的な金融機関では、住宅ローンの最長借入期間は35年になっています。
しかし、金融機関によってはさらに長い期間借りられるところもあります。

そこで、住宅ローンを最長50年借りられる金融機関の一部をご紹介します。

金融機関等 融資金額の
上限
2024年1月の金利
(借入期間が35年を
超えるとき)
備考
住信SBIネット銀行 2億円 0.448%~
(変動金利)
・35年超えの場合、通常金利より年0.15%上乗せ
・左の金利は物件価格80%以下で借入する場合
・80%超~100%以下で借り入れの場合は0.47%
・変動金利または固定金利特約タイプ(最大35年固定)
フラット50 8000万円 2.23%~
(全期間固定金利)
長期優良住宅を取得する場合のみ
・借入期間21~35年のフラット35より金利は高い
・融資金額は物件価格の9割まで。
ただし、フラット35などと併用して満額借りることも可能。
常陽銀行 1億円 0.625%~
(変動金利)
・対象地域の在住者だけが借りられる
・借入期間が40年超の場合、所定条件を満たす必要がある
筑波銀行 1億円 0.6%~
(変動金利)
・対象地域の在住者だけが借りられる
・借入期間が35年超の場合、年収や築後年数などの審査がある
西日本シティ銀行 2億円 0.775%~
(変動金利)
・対象地域の在住者または勤務者だけが借りられる
・年収700万円以上などの条件があるプレミア住宅ローンの場合、
金利は0.475%~

住信SBIネット銀行とフラット50以外は、すべて地方銀行です。一般的に地方銀行は誰でも借りられるわけではなく、営業地域の在住者などの条件があります。
また、すべての地方銀行で取り扱っているわけではなく、最大借入期間が35年以内の地方銀行も多いです。

フラット50であれば取り扱っている金融機関も多いので全国で借りられますが、変動金利ではなく期間中はずっと一定の全期間固定金利になります。
また、フラット50は長期優良住宅を取得する場合しか利用できません。

今までは、「変動金利で35年より長く住宅ローンを組みたい」という方はお住まいの場所などによってはほぼ選択肢がなかったです。
しかし、今回住信SBIネット銀行が最長50年の取り扱いを始めたことで、特に20代の方は住宅ローンの借入方法にバリエーションが増えたことになります。

2. 住宅ローンを50年借りることのメリット

次に、住宅ローンを50年借りる場合のメリットについてご説明します。

月々の支払額が減るので、マイホームの選択肢が広くなる

住宅ローンを50年借りる最大のメリットは、月々の返済額が減ることです。
住宅価格の高騰がずっと続いているので、こういう人は多いのではないでしょうか。

しかし、住宅ローンの借入期間が35年から50年になることで、例えば7000万円を借り入れると返済額はこれだけ変わります。

  月々の返済額
借入期間35年 176,196円
借入期間50年 130,934円

※借入期間35年の場合は金利0.32%、50年の場合は金利0.47%で計算

毎月45,262円も違います。マイホームの選択肢がぐっと広くなりますね。

また、借り入れできる金額も多くなるかもしれません。
住宅ローンの審査時には返済負担率が重視されます。
返済負担率とは、年収に対して年間どれくらいの割合で住宅ローン返済するかを示すものです。
一般的には住宅ローン審査に通る返済負担率目安は30~35%と言われています。

同じ年収・同じ返済負担率でも月々(年間)の返済額が少ない方が、借入金額は多くなります。
年収600万円の人が変動金利で借りる場合、このようになります。

  返済負担率30%の場合の借入額 返済負担率35%の場合の借入額
借入期間35年 約5,959万円 約6,952万円
借入期間50年 約8,019万円 約9,355万円

※借入期間35年の場合は金利0.32%、50年の場合は金利0.47%で計算

同じ返済負担率でも借入額がかなり変わってきます。

ただし、借入期間が50年ということは、25歳で借り入れたとしても完済時年齢は75歳です。
定年退職しても返済を続けることになりますが、定年後には収入が大幅に減るという方がほとんどでしょう。
そのため、借入期間が長くなるほど金融機関の審査も厳しくなることが考えられます。

実際にどれくらい借りられるのかは、金融機関が個人の状況や担保となる物件等を総合的に判断した上で決定されます。

団信にも長く加入できる

住宅ローンを50年借りるメリットの2つめは、団体信用生命保険(団信)に長く加入できることです。
団信は、返済中に債務者(ローンを借りた人)に万が一のことがあった場合、残りの住宅ローンが保険金により弁済される制度になります。
民間住宅ローンの契約では団信への加入は必須ですが、フラット50は加入しないという選択をすることも可能です。

一般団信は死亡時と高度障害時が保障対象ですが、最近は団信が充実している金融機関が増えています。
例えばがんと診断されると残債がゼロになるものや、入院して所定条件を満たすと入院中の返済額相当の給付金を受けられるものなどがあります。

住信SBIネット銀行の団信(40歳未満対象)をご紹介します。

団信 金利上乗せ 保障内容
3大疾病50 金利上乗せなし がん診断または脳卒中・急性心筋梗塞で条件を満たせば
残高相当額の50%を保障。
3大疾病100 金利に年0.2%上乗せ がん診断または脳卒中・急性心筋梗塞で条件を満たせば
残高相当額を保障。
全疾病保障 基本プラン・3大疾病50・
3大疾病100に付属
けがや病気となり条件を満たせば残高相当額を保障。
返済保障や一時金もあり。
重度ガン保険金
前払特約
基本プラン・3大疾病50・
ワイド団信に付属
がんになり標準的な治療をすべて受けても効果がなかったなどと
判断された場合は残高相当額を保障。
先進医療特約 基本プラン・3大疾病50・
3大疾病100に付属
先進医療による療養を受けた場合、
技術料と同額(通算1,000万円まで)を保障。
ワイド団信 金利に年0.3%上乗せ 一般的な団信に加入できない方のために
引受範囲を拡大した団信。

金融機関によって保障内容や上乗せする金利は違いますが、住宅ローンの返済中は心強い保険に加入しているのでいざというときも安心です。

年齢が上がるほど病気になるリスクは高くなります。
一般的な生命保険も、年齢が上がるほど保険料が高くなる商品ばかりです。
一方、団信は金利上乗せタイプがほとんどなので、返済期間が長いほどお得な生命保険に入れるということになります。

3. 住宅ローンを50年借りることのデメリットと注意点

住宅ローンは、言い換えると「借金」です。
借入期間が長くなることで、当然デメリットも出てきます。

支払う利息が増える・通常より金利が高いこともある

借入期間が長くなることで、支払う利息が増えます。
住宅ローンは他のローンに比べると金利はかなり優遇されていますが、それでも高額を借りるので利息の額も大きいです。

また、金融機関などによっては返済期間が35年を超えると適用金利が高くなることもあります。
住信SBIネット銀行も、借入期間が35年を超える場合、通常金利より年0.15%上乗せとなります。

7000万円を借り入れる場合、借入期間が35年と50年でどれくらい総支払額変わるのか、見てみましょう。
なお、変動金利は定期的に金利が見直されますが、今回は計算の都合上ずっと一定とします。

  変動金利の総支払額 全期間固定金利の総支払額
借入期間35年 約7,400万円 約9,322万円
借入期間50年 約7,856万円 約1億1,619万円

※35年の場合、変動金利0.32%・全期間固定金利1.72%で計算。50年の場合、変動金利0.47%・全期間固定金利2.23%で計算。

同じ金額を借りても、総支払額がかなり変わってきます。

変動金利は今かなり低金利ですが、この先何十年もこの状態が続くことは考えづらいです。
借入金額や金利によっては、総支払額に1000万円以上差が出るかもしれません。

残債割れのリスクが高まる

借入期間50年を検討している方に絶対知っていただきたいデメリットが、残債割れのリスクです。

住宅ローンの借入期間は長いです。
一生住むつもりで購入したけれど、下記のような理由から返済途中で売却することも考えられます。
借入期間が50年の場合、35年よりもその可能性は高くなるでしょう。

  • ● 転勤や転職によって勤務地が変わった
  • ● 子どもが生まれて、今住んでいる家だと手狭になった
  • ● 子どもが独立して、今住んでいる家だと部屋を持て余すようになった
  • ● 実家に帰ることになった
  • ● 離婚することになった
  • ● 諸事情により引っ越しせざるを得なくなった

家を手放すときには、住宅ローンを完済しなければなりません。
フラット50の場合は「金利引継特約」があるので家を新しく購入する人にローンを引き継ぐこともできますが、通常の住宅ローンにはこの特約は付いていません。

家の売却代金を住宅ローンの完済に充てる人が多いですが、問題になるのは売却代金よりも住宅ローンの残債額の方が多くなった場合です。
この状態を一般的には「残債割れ」といいます。

残債割れになるリスクは、返済期間が長いほど高くなります。
1年間に返済する金額が少ないので、元本の減り方以上に家の価格が下がってしまうことが多いからです。

残債割れをしたら、不足分は自己資金から補填する必要があります。自己資金が足りない場合には、家を売りたくても売れない状態になるかもしれません。

そのため、借入期間50年の住宅ローンを組む場合には、物件選びが重要になってきます。
どんな物件を選べば良いのかは、記事後半のシミュレーションで解説します。

定年後も住宅ローンを返済することになるかもしれない

返済期間が長いため、収入が減る定年後も返済を続けることになるかもしれません。

定年年齢は企業によって異なりますが、現在も7割以上の企業は60歳が定年となっているようです。
※参考:令和4年就労条件総合調査の概況

勤務延長制度や再雇用制度を利用したり、新しい仕事に就いたりすることで、定年後であっても継続してお金を稼ぐことはできます。
しかし、定年前に比べると収入は大幅に少なくなってしまうでしょう。

借入期間が50年の場合、20歳で借りるとしても完済時には70歳です。
返済途中での売却(住み替え)や繰り上げ返済をしないと、定年後にも返済は続きます。

定年後に返済ができなくなって老後破産してしまうと大変です。それを防ぐためにもしっかりとマネープランを立てると共に、いざというときのために物件選びも慎重に行いましょう。

4. 借入期間35年と50年どっちが良いかシミュレーション

最後に、借入期間35年と50年どちらが良いのかをシミュレーションしてみます。

資産価値が高い場合とそうでない場合

先ほどデメリットの解説時に物件選びが重要だとお伝えしましたが、具体的には資産価値が高い物件を選ぶことが重要です。

「マイホームは自分が住むためのものだから、自分や家族が満足できれば資産価値なんて関係ない」、そう思う方も多いでしょう。
しかし、借入期間35年よりも50年の方が残債割れしてしまって家を売るに売れない状況になる可能性が高いです。

例えば7000万円の家を購入したとき、5年後と10年後の住宅ローン残債額はこんなに違います。

  月々の支払額 5年後の残債額 10年後の残債額
借入期間35年 176,196円 約6,047万円 約5,079万円
借入期間50年 130,934円 約6,371万円 約5,728万円

※借入期間35年の場合は金利0.32%、50年の場合は金利0.47%で計算

借入期間50年の方が月々の支払いはずっと安くなりますが、元本の減りが遅いです。

この7000万円の家について、次の3つのケースで5年後と10年後の物件価格を試算してみます。また、上記表の借入期間35年と50年それぞれの住宅ローン残債額との差も一緒にご紹介します。

  • 資産価値が高い→価格下落率を年間0.5%と仮定
  • 資産価値は普通→価格下落率を年間2%と仮定
  • 資産価値が低い→価格下落率を年間3.5%と仮定
  5年後の物件価格&残債額との差 10年後の物件価格&残債額との差
①資産価値が高い 約6,826万円 35年:+779万円
50年:+455万円
約6,657万円 35年:+1578万円
50年:+929万円
②資産価値は普通 約6,327万円 35年:+280万円
50年:-44万円
約5,719万円 35年:+640万円
50年:-9万円
③資産価値が低い 約5,857万円 35年:-190万円
50年:-514万円
約4,901万円 35年:-178万円
50年:-827万円

+(プラス)であれば物件価格より住宅ローン残債額の方が少なくて利益が出ている状態で、-(マイナス)だと残債割れをしてる状態です。

資産価値が高い物件は、築年数が経過しても値下がりしづらいです。そのため、借入期間が50年であっても残債割れしないので5年後や10年後にスムーズに売ることができます。
上記試算では売却の利益も出ています。

資産価値が普通の場合、借入期間35年であれば5年後や10年後に売却しても利益が出ます。しかし借入期間50年では残債割れしてしまいました。
さらに、資産価値が低い場合は借入期間35年でも残債割れしています。

資産価値が高い物件であれば借入期間を50年にするのも良いでしょう。
それほど資産価値が高くない場合には、借入期間は35年以内にする方が安心です。

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5.まとめ

今回の記事では、借入期間50年の住宅ローンについて解説しました。

35年より長い期間借りることで月々の返済額を一気に減らすことができるので、住宅価格が高騰していて希望物件の購入ができない20代~30代の人にとっては魅力的でしょう。
今後は他の金融機関でも最大借入期間が長くなるかもしれませんね。

しかし、総利息額は高くなりますし、何より残債割れのリスクがあります。
さまざまな可能性をシミュレーションしてデメリットを理解した上で借りるようにしましょう。

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