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住宅ローンを借りるとき、変動金利と固定金利のどちらを選ぶかは重要なポイントです。しかし、金利タイプは返済途中に変更することもできます。
今回の記事では、変動金利と固定金利の違いと、金利タイプを変更するタイミングや注意点について詳しく解説します。
目次
1. 変動金利と固定金利の違い
住宅ローンの金利タイプは「変動金利」と「固定金利」の2つに分かれています。
まず初めに、変動金利と固定金利の違いを見ていきましょう。
変動金利
変動金利はその名のとおり、住宅ローンの返済期間中に金利が変わることがあるタイプです。
金利は年に2回見直されます。
変動金利は金利が上昇するリスクがある代わりに、固定金利よりも低金利になっています。
現在の相場は、0.3~0.4%台です。
最新の調査によると、最近住宅ローンを借りた人の約75%は変動金利を選択しています。
※参考:住宅金融支援機構 住宅ローン利用者調査
(https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_user.html)
変動金利のリスクを低減させるためのルール
多くの金融機関では、変動金利に2つのルールを設けています。
変動金利は頻繁に金利が変わるイメージを持っている人も多いと思いますが、実際に返済額が変動するのは5年に1度です。
また、125%ルールにより返済額が急激に増加する心配はありません。
ただし、5年間返済額が同じでも、金利が変われば返済額の内訳(元金と利息の割合)は変化します。金利が上昇すれば、利息の割合が大きくなるということです。
また、125%ルールで抑えられた返済額(元金)については、次の5年間に回されています。
元本の減りが遅くなることで、結果として利息総額は大きくなってしまうのでご注意ください。
未払い利息などがあった場合には、最終返済時に清算されます。
なお、一部の金融機関では上記2つのルールが適用されません。また、元金均等返済方式※を選んだ場合も、2つのルールが適用されないことが多いです。
※元金均等返済方式とは、毎月支払う返済額のうち、元金の額が一定の返済方法。返済が進むほど返済額は少なくなっていく。
固定金利
固定金利は、金利が一定のタイプです。固定金利には、「全期間固定金利」と「期間選択型固定金利」があります。
全期間固定金利では、フラット35という住宅ローンが有名です。フラット35は政府系金融機関(住宅金融支援機構)の住宅ローン商品ですが、多くの金融機関が窓口になっています。
金融機関では、フラット35だけでなく自社の全期間固定金利住宅ローン(35年固定金利等)も取り扱っています。
フラット35と金融機関のローンの違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
期間選択型固定金利は、3年・10年・20年など一定期間だけ金利が同じです。期間が終了すると、変動金利または期間選択型固定金利のどちらかを選ぶことになります。
金利が上昇するリスクを抑えつつ、当初の返済額を抑えることが可能です。
固定金利は金利が変わらないという安心感がありますが、その分変動金利よりも金利は高くなっています。
現在の固定金利の相場は、このようになっています。
金利タイプ | 相場 |
---|---|
10年固定金利 (当初期間引き下げ) |
1.3~1.8%台前後 |
10年固定金利 (全期間引き下げ幅一定) |
1.8~2.1%台前後 |
35年固定金利 | 1.8~2.4%台前後 |
フラット35 | 1.85~1.96% |
当初期間引き下げ・全期間引き下げ幅一定とは?
期間選択型固定金利の場合、当初の固定期間だけ引き下げ幅が大きく、期間が終了すると引き下げ幅が小さくなる住宅ローン商品があります。
これが「当初期間引き下げプラン」「当初期間優遇プラン」などと呼ばれるものです。
引き下げ幅とは何なのか?というと、住宅ローンの基準金利から引き下げされる分のことを言います。
店で売っている商品に例えると、基準金利=定価、優遇金利=割引分、適用金利=店で売られる価格です。
当初期間引き下げプランの場合は、選択した固定金利の期間は大幅に引き下げられます。しかし、期間終了後の引き下げ幅はかなり小さくなります。
金利タイプ | 引き下げ幅 |
---|---|
変動金利 | -2.0% |
10年固定金利 | 当初10年:-2.5% 期間終了後:-1.5% |
上記例で期間終了後に変動金利を選択した場合で、そのときの(変動金利の)基準金利を3%としましょう。
最初から変動金利を選んでいる場合は適用金利が1%になりますが、当初固定期間終了後に変動金利を選んだ人の適用金利は、1.5%になります。
このように、適用金利がかなり高くなってしまうのです。
金融機関の中には、全期間引き下げ幅が一定の商品を取り扱っていることもあります。当初期間の金利は高くなってしまいますが、上記のようなケースを避けたい人にはおすすめです。
2. 住宅ローンの金利タイプは変更できるのか?
住宅ローンを返済している途中に、金利タイプを変更することはできるのでしょうか。
答えは、金利タイプによっては同じ金融機関で変更することができません。
金利タイプ別に詳しくご説明します。
変動金利の場合はいつでも変更できる
変動金利の場合は、途中で固定金利に変更できるケースがほとんどです。
例えば三菱UFJ銀行の住宅ローン商品説明書には、以下のように書かれています。
- 三菱UFJ銀行 住宅ローン商品説明書(変動金利)
- 借入期間中でもお申し込みいただければ「固定金利」に変更することができます。
- ※変更は約定返済日に限ります。お申込時点で約定返済日が経過している場合、変更は翌月の約定返済日となります。
- ※元利金の返済が遅延している場合には、「固定金利」に変更することができません。
このように、住宅ローンの返済途中であれば、いつでも変更は可能です。
ただし上記説明にもあるように、返済が遅延していると変更が認められないことがあるのでご注意ください。
期間選択型固定金利はタイミングが限られている
期間選択型固定金利については、当初期間の終了時に金利タイプを選ぶことが可能です。
みずほ銀行のみずほネット住宅ローン商品概要には、以下のように書かれています。
- みずほ銀行 みずほネット住宅ローン商品概要(固定金利選択方式)
- 固定金利適用期間終了時には変動金利方式、固定金利選択方式のいずれかをお選びいただきます。
- 金利方式の切り換えについて特にお申し出がない場合には変動金利方式に切り換えさせていただきます。
このように、申し入れがなければ自動的に変動金利へ変更となる金融機関も多いです。
なお、当初の固定期間中は金利タイプを変更できません。
全期間固定金利の場合は借り換えのみ
全期間固定金利は、途中で金利タイプを変更できません。
どうしても金利タイプを変えたいということなら、他の金融機関に住宅ローンの借り換えをすることになります。
つまり、自由なタイミングで金利タイプを変更できるのは変動金利だけです。
3.変動金利から固定金利に変更するタイミング
つづいて、変動金利から固定金利に変更するタイミングはいつが良いのか、見ていきましょう。
変動金利の金利上昇が見込まれるとき
変更するタイミングの1つ目は、変動金利の金利上昇が見込まれるときです。
「金利が上昇し続けていつか返済ができなくなるのでは」と不安に思った場合に、変更を検討する人は多いでしょう。
多くの金融機関では、変動金利は短期プライムレートが基準となっています。
短期プライムレートは日銀の金融政策に左右されるので、日銀が政策金利を利上げすることを決めれば、変動金利も数ヶ月後には上昇すると考えられます。
2024年7月31日に、日銀は政策金利の追加利上げを決定。これにより、変動金利は0.15%前後上昇する可能性があります。
既に住宅ローンを変動金利で借りている場合には、2025年1月前後から影響を受けるでしょう。
ここで大切なのは、変動金利が上がり切ってない段階で固定金利に変更することです。
というのも、一般的には固定金利の方が早く金利が上がります。変動金利が今よりも大きく上昇した頃には、既に固定金利も大幅に上がっている可能性が高いです。
固定金利が低金利のとき
変更するタイミングの2つ目は、固定金利が低金利なときです。変動金利との差がなるべく少ないタイミングで変更をしましょう。
固定金利は、変動金利以上に金利が変わりやすくなっています。
2022年~2024年の、auじぶん銀行の変動金利と固定金利(35年固定金利)をご紹介します。
auじぶん銀行の住宅ローン金利
変動金利 | 35年固定金利 | |
---|---|---|
2022年1月 | 0.389% | 1.33% |
2022年6月 | 0.389% | 1.66% |
2023年1月 | 0.389% | 2.08% |
2023年6月 | 0.319% | 1.84% |
2024年1月 | 0.319% | 2.1% |
2024年6月 | 0.319% | 2.45% |
変動金利はほとんど変化がありませんが、固定金利は2年半の間に大きく上昇していることが分かります。
固定金利(全期間固定金利)は金利が一定です。高い金利のときに融資実行してしまうと、毎月高い返済額を払い続けることになります。
そのため、少しでも低金利のタイミングを狙う必要があります。
35年固定金利はこの2年半でかなり高くなったので、もう低金利にならないのではないかと思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし上記の表を見ても分かるように、固定金利は一貫して上昇し続けているのではありません。2023年6月のように、一時的に低くなることもあります。
固定金利は長期金利(10年国債の利回り)が基準です。このように、10年国債利回りは変化が激しくなっています。
日銀は長期国債買入れの減額を決定しました。この影響で、今後も長期金利(10年国債の利回り)は上昇する可能性があります。
つまり、固定金利も上昇することが予想されるということです。
しかし、固定金利が低下する可能性もゼロではありません。
日本の長期金利は欧州の経済の影響を受けやすいです。アメリカFRBは2024年9月に利下げを示唆しています。利下げが実行されることで、日本の長期金利は低下していくかもしれません。
経済動向をチェックして、固定金利が比較的低金利になるタイミングを見極めてください。
また、金利だけでなく個人の事情がタイミングに関係することもあるでしょう。
経済指標や金利予測、個々のライフプランを総合的に考慮して、最適なタイミングでの変更を検討することが重要です。
4.変動金利から固定金利に変更するときの注意点
変動金利なら、好きなタイミングで固定金利に変更できます。固定金利に変更することで返済額が一定になるので、安心して返済を続けられるでしょう。
しかし、一度変更してしまえば戻すことはできません。
後悔しないためにも、金利タイプ変更の注意点をしっかりと理解しておくことが重要です。
返済額が大幅に増えてしまうことが多い
変動金利から固定金利に変えることで、適用金利が高くなることが多いです。
5000万円を借り入れて、返済から丸5年が経ったタイミングで固定金利へ変更すると仮定して、シミュレーションしてみました。
- 条件
- 借入金額5000万円
- 最初の金利タイプ 変動金利(0.4%)
- 返済期間35年
- 元利均等返済方式
- 金利タイプを変更し、6年目からは固定金利(2.2%)
- 最初の5年間は金利の変動なし
すると、月々の返済額は約3万6700円も多くなるという結果になりました。
月々の返済額 | |
---|---|
最初の返済額 (0.4%) |
約12万7600円 |
変更後の返済額 (2.2%) |
約16万4300円 |
30年間、多くなった金額で返済を続けていくことになります。
金利の上昇が続くと考えて金利タイプを変更しても、もしかしたらそれほど上昇しないかもしれません。予想が外れて大きく損をする可能性もあります。
金利タイプを切り替えても返済期間が延びるわけではない
変動金利から固定金利に変更する場合、期間選択型固定金利の中から選ぶことになります。このとき、元から決まっている返済期間を超えたものは選べません。
例えば、返済期間を35年として、7年目のタイミング(残り28年)で金利タイプを変更したとします。
このケースでは、20年固定金利に変更することはできますが、30年固定金利には変更できません。
20年固定金利を選んで、20年後に再度変動金利か(期間選択型)固定金利を選ぶことになります。
または、返済期間を20年に短縮することで全期間固定金利にするという方法も考えられます。
金利タイプの変更によって返済期間を延長させることはできないので、ご注意ください。
変更の手数料がかかることもある
金利タイプの変更には、手数料が必要な金融機関もあります。
傾向としては、メガバンクや地方銀行は有料(1万円前後)、ネット銀行は無料のところが多いです。
三井住友銀行のように、手続きの方法によって手数料が異なるケースもあります。
三井住友銀行の固定金利特約手数料
手続方法 | 手数料 |
---|---|
SMBCダイレクト | 無料 |
三井住友銀行の 専用パソコン |
5,500円 |
窓口 (書面) |
16,500円 |
変更よりも借り換えの方がお得なケースもある
金利タイプ変更後の金利は、住宅ローンを借りている金融機関に変更の相談をすることで教えてもらえます。
その金利は想像しているよりずっと高いかもしれません。
金融機関のホームページやパンフレットに載っている「最優遇金利」は、新しく住宅ローンを借りる人や借り換えをする人に向けた特別な金利だからです。
そのため、金利タイプを変更したい場合には別の金融機関への借り換えも同時検討しましょう。
借り換えには手数料がかかりますが、トータルで見ると借り換えした方がお得なケースもあります。
借り換えについては、こちらの記事をご覧ください。
住宅ローン借り換えのタイミングは?金利を見直すときの注意点まで徹底解説!
借り換えのタイミング、メリット・デメリットについて解説します。
5.まとめ
今回の記事では、変動金利から固定金利への金利タイプ変更について解説しました。
今後は各金融機関の変動金利が引き上げられる見込みなので、固定金利への変更を検討する方も増えているでしょう。しかし、変更の場合は不利な金利条件となるケースもあります。
損をしないために、借り換えについても是非調べてみてください。
また、借り換えの事前審査を終えた上で、今借りている金融機関と(変更後の金利を)交渉するという方法も考えられます。
借り換えにかかる手数料は少なくないので、しっかりとシミュレーションすることが重要です。
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