最終更新日:
マイホームを購入するときに、多くの人が住宅ローンを借ります。住宅ローンで特に重視すべきことは、金利です。住宅ローン金利が高いと支払う利子が多くなってしまいます。
また、金利が上昇するのはどんなときなのかご存じでしょうか。後悔しないためにも、住宅ローン金利はどのように決まるのかしっかり理解する必要があります。
今回の記事では、住宅ローン金利の基本的な決まり方や、固定金利と変動金利の決まり方の違いについて解説します。
目次
1. 住宅ローン金利の仕組み
まずは、住宅ローン金利がどのような仕組みで決まるのかをご説明します。
人によって適用金利は違う
住宅ローン金利について、あなたはどんなイメージをお持ちでしょうか。
メガバンクの〇〇銀行は少し高いけど、ネット銀行の〇〇銀行は金利が低い。このように考えている方も多いでしょう。
メガバンク(三井住友銀行・三菱UFJ銀行・みずほ銀行)と一部ネット銀行(auじぶん銀行・住信SBIネット銀行・PayPay銀行)のホームページに記載されている「最安金利※」は、このようになっています。
※2024年6月時点、変動金利
金融機関の最安金利
- 三井住友銀行:0.475%
- 三菱UFJ銀行:0.345%
- みずほ銀行:0.375%
- auじぶん銀行:0.298%
- 住信SBIネット銀行:0.32%
- PayPay銀行:0.349%
金融機関によって、最安金利に差があることが分かります。
この中で一番金利が低いauじぶん銀行を選べば、住宅ローンを金利0.298%で借りられるのでしょうか。実は、そうではありません。
人によって、住宅ローンの適用金利は違うからです。
ここで本題である、住宅ローン金利の決まり方の話に戻ります。住宅ローン金利の基本構造はこのようになっています。
基準金利というものがあり、その中から優遇金利が引かれた上で、適用金利(実際の金利)が決まります。低金利で借りるには優遇金利が重要ということです。
優遇金利は、「優遇幅」や「引き下げ幅」と表現されることもあります。
そして、優遇金利は住宅ローン審査によって個別に決まります。
例えばauじぶん銀行の変動金利は、基準金利が2.341%で、最大の優遇金利は-2.022%です。審査の結果、優遇金利が-2.022%の人もいれば、-2%(適用金利は0.341%)の人もいます。
住宅ローン金利の決まり方は何となく分かったものの、このような疑問を持った人もいらっしゃるのではないでしょうか。
- ● そもそも基準金利って何?どうやって決まるの?
- ● 優遇金利は返済期間中ずっと同じってこと?
- ● 変動金利と固定金利は基準金利の決まり方が同じなの?
住宅ローン金利の決まり方は少し複雑なので、分かりにくい部分が多いです。それぞれ詳しく解説していきます。
基準金利(店頭金利)とは
まずは、基準金利についてご説明します。
基準金利は、各金融機関が設定する基本の住宅ローン金利です。店頭金利と言われることもありますが、どちらも同じ意味になります。
基準金利=定価と考えると分かりやすいでしょう。
例えば、みずほ銀行の住宅ローン基準金利はこのようになっています。
みずほ銀行の基準金利(2024年6月時点)
- 変動金利:2.475%
- 固定金利(固定5年):3.25%
- 固定金利(固定10年):3.65%
ほとんどの金融機関の基準金利は、変動金利と固定金利で異なっています。また、固定金利の中でも固定される期間によって基準金利は変わってきます。
なぜ金利の種類によって基準金利が違うのかというと、基準金利を決めるベース(基準)が違うからです。詳しくはこの後の「変動金利と固定金利の基準の違い」で解説します。
優遇金利が一定の場合は、基準金利が変化しなければ適用金利はずっと同じです。しかし基準金利が上がると、変動金利の場合は適用金利は上がってしまいます。
つまり、住宅ローンを返済することになった場合には基準金利に注目する必要があるということです。
優遇金利の決まり方
次に、優遇金利について見ていきましょう。
優遇金利とは、基準金利から引き下げになる金利幅のことです。優遇金利の大きさによって、適用金利が決まります。
例えば基準金利が2%で優遇金利が1.5%だと、適用金利は0.5%になります。
優遇金利は、住宅ローン審査の結果で決まる部分が多いです。しかし、金融機関によっては特定の条件を満たすことで、引き下げ幅を拡大することもできます。
優遇金利の拡大例
- auじぶん銀行:
auモバイルなどのサービス利用 - 地方銀行など:
①その銀行を給与振込口座に指定
②指定されたクレジットカード保有
③カードローン契約
優遇金利の大きさは、住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)のときに決定します。
また、優遇金利には、「通期優遇型」と「当初優遇型」の2種類があります。
「通期優遇型」は優遇金利が一定のタイプで、「当初優遇型」は途中から優遇金利が小さくなるタイプです。
「当初優遇型」の場合は、たとえ基準金利が変わらなくても、途中から適用金利は上がってしまいます。
変動金利や全期間固定金利の場合は、通期優遇型のケースが多いです。
一方で「5年固定金利」「10年固定金利」などの期間選択型固定金利※の場合は、当初優遇型が多くなっています。
※期間選択型固定金利とは、あらかじめ決めた固定期間終了後に、変動金利か固定金利どちらかを選ぶタイプの住宅ローン
2. 変動金利と固定金利の基準の違い
つづいて、変動金利と固定金利の金利の決まり方の違いについてご説明します。
住宅ローンは、大きく分けると「変動金利」と「固定金利」の2タイプになります。
変動金利が返済期間中に金利が変わる可能性があるタイプで、固定金利は金利が一定のタイプです。
さらに、固定金利にはずっと金利が一定の「全期間固定金利」と、設定した期間だけ金利が一定の「期間選択型固定金利」があります。
変動金利と固定金利は、基準金利が違います。それぞれ以下を基準金利を決めるベースとしているからです。
- 変動金利:短期金利(短期プライムレート)
- 固定金利:長期金利(10年国債利回り)
※金融機関によっては、資金調達コスト・営業コスト・収益等も含めて総合的に勘案する場合や、別の指標を基準としている場合があります
変動金利は短期プライムレートで決まる
変動金利の基準となっている短期プライムレートとは、金融機関が最優良(業績が良い、信用できる)企業にお金を貸し出す際の「最優遇貸出金利」のうち、1年以内の短期貸出金利のことです。
現在の短期プライムレートの最頻値は「1.475%」となっています。
記事前半でみずほ銀行の変動金利の基準金利が「2.475%」であると紹介しましたが、数字が似ていますよね。
メガバンクや地方銀行では、短期プライムレートに+1%したものを変動金利の基準金利としていることが多いです。
短期プライムレートが上がれば変動金利の基準金利が上がることになりますが、実は短期プライムレートは2009年1月から変わっていません。短期プライムレートは日銀の政策金利に左右され、日銀は金融緩和政策を続けているからです。
ここで、2024年3月にマイナス金利政策は解除されたのに、なぜ今も短期プライムレートは変わってないの?と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。確かに2024年3月に政策金利は利上げとなりましたが、利上げ幅が小さいため短期プライムレートには影響がありませんでした。
ただ、今後も政策金利が利上げされるとなると、短期プライムレートも上がると考えられます。
政策金利が上がる→短期プライムレートが上がる→変動金利の基準金利が上がる=適用金利が上がる、という仕組みです。
固定金利は10年国債利回りで決まる
固定金利の基準となっているのは、10年国債利回りです。国債とは国が発行する債券で、国は投資家からお金を借り入れて、一定の利子を支払います。利回りとは投資金額に対する利益の割合のことで、償還期間が10年のものが10年国債です。
10年国債利回りは、投資家の動きによって決まります。投資家が「今後金利が上がりそう(儲かりそう)」と思えば10年国債の利回りは上がりますし、その逆パターンもあります。
先ほど変動金利の基準である短期プライムレートは長年変わっていないとご説明しましたが、固定金利の基準である10年国債利回りは変化が激しいです。
2024年6月11日時点の10年国債利回りは約1.025%前後ですが、同年4月1日時点では0.725%でした。上昇傾向が続いているので、固定金利の基準金利も上がっています。
住宅ローンは、融資を受けるタイミングの基準金利によって適用金利が決まります。変動金利の場合はその後の基準金利の動きによって適用金利も変わっていきますが、固定金利は基本的には一定です。
つまり、融資を受けるタイミングの基準金利が高ければ高いほど、住宅ローンで支払う利子は多くなってしまいます。
もし売買契約から融資(引き渡し)までの期間が長い場合には、想定している住宅ローン金利より大幅に高くなる可能性もあるので、ご注意ください。
3. 住宅ローン金利が上昇するとき
最後に、住宅ローン金利が上昇するケースをご紹介します。
基準金利が上がるとき(変動金利)
変動金利の場合は、一般的には優遇金利の大きさはずっと一定になります。そのため、適用金利が上がるのは基準金利が上がるときです。
多くの金融機関で、変動金利の住宅ローン金利は年2回(4月1日・10月1日)見直されます。そのタイミングで基準金利が上がっていれば、2~3ヶ月後※に実際の金利に反映されるでしょう。
※4月見直し→6月または7月から反映。10月見直し→12月または1月から反映。
ただし、変動金利には以下の2つのルールを設けている金融機関が多いです。
- ● 5年ルール:5年間は返済額が変わらない
- ● 125%ルール:前回の125%以上を超える返済額にはならない
半年に1回金利が見直されていても、実際に返済額が変動するのは5年に1度です。また、125%ルールにより返済額が急激に増加することがないため、返済できなくなるリスクが下がります。
ただし、5年の間に増加したり125%を超えたりした分の金利は、最終返済時に清算されます。
そのため、金利の変動具合によっては最終返済時に大きなリスクを背負う可能性があることは理解しておきましょう。
当初優遇期間の終了後(期間選択型固定金利)
全期間固定金利の場合は、返済の途中で金利が変わることはありません。
しかし、期間選択型の固定金利の場合は、当初優遇期間が終了すると優遇金利の幅が小さくなるケースが多いです。
金利タイプ | 優遇金利(引き下げ幅) |
---|---|
10年固定金利 | 当初10年:-2.5% 期間終了後:-1.5% |
上記表の例で、借入当初の固定金利の基準金利を3.65%、11年後の基準金利を4.0%としましょう。そして、当初期間終了後、もう一度10年固定金利を選択するとします。
すると、適用金利はこのようになります。
適用金利 | |
---|---|
1年目~10年目 | 1.15% |
11年目~20年目 | 2.5% |
11年目~20年目の適用金利がかなり高くなってしまいました。
期間選択型固定金利を選ぶ場合には、繰り上げ返済や借り換えを検討する方が良いでしょう。それが難しく、かつ変動金利を選ぶのも不安であれば、初めから全期間固定金利を選ぶことをおすすめします。
最新の金利情報を詳しく知りたいという方は、毎月更新している下記の記事をご覧ください。
住宅ローン金利の最新情報と今後どう推移するのかについて解説します。
4.まとめ
今回の記事では、住宅ローン金利の決まり方について解説しました。
現在、変動金利は超低金利となっています。それなら変動金利で住宅ローンを返済中の人は全員低金利なのかというと、そうではありません。
今回解説したように「変動金利の基準金利は長年変わっていない」、そして「優遇金利は返済期間中ずっと一定」になります。
超低金利になっている理由は、金融機関が新しく住宅ローンを借りる人の優遇金利の幅を大きくしているからです。
つまり、優遇金利が大きくない人は、変動金利であっても比較的高い金利で返済を続けていることになります。なんだか損をしている気持ちになりますよね。
金利が高いかもしれないと思った方は、借り換えを検討してみてください。手数料などを考慮しても、トータルでは数十万円得するケースもあります。
また、住宅ローンは低金利が続いていますが、マンション価格の高騰は続いています。
物件価格の高騰以外にも、将来の金利上昇、2024年問題による建築費高騰、人口減少といった不安要素は多くあります。マンション購入で後悔しないためには、より一層の情報収集が重要です。
とはいえ、どうすれば良いか分からないという方も多いでしょう。
そんな方におすすめしたいのが、当サイト住まいサーフィン代表の沖有人が過去に出演した動画メディアです。住まい選びの参考になるので、是非ご覧ください。
▼PIVOT 5年後、都心のマンションはどれだけ値上がりするのか?
▼NewsPicks プロだけが知る「令和の不動産売買」【沖有人vs中山登志朗】
このような動画などで情報収集をしつつ、最終的には資産価値の高いマンション購入を行い、リスクヘッジする事が重要ではないかと考えます。
例えば、新築マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?
- ● 「将来値下がりしないか心配。10年後に価格がいくらになるのか簡単に分かったら良いな」
- ● 「万が一売ることになっても、売却額より住宅ローン残債の方が多かったらどうしよう。売却時点の予想利益が分かったら良いな」
住まいサーフィンの各物件詳細ページでは、将来の資産性が一目で判断できる「沖式マンション10年後予測」を無料公開しています。
「値上がりシミュレーション」機能を使えば、5年後・10年後の将来価格をベストケース・標準ケース・ワーストケースの3つのシナリオで具体的にシミュレーションできます。
物件価格や金利を入力すればその場で自由にシミュレーションできるので、購入するべきか悩んでいる方にぴったりです。
さらに、「含み益シミュレーション」機能では、値上がりしたマンションを売却した場合に、実際に得られる利益を試算した結果を確認できます。
また、中古マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?
- ● 「スーモ等で見つけた物件が6,000万円で売出されている。この駅でこの価格少し高い気がするけど、本当に適正な価格なのだろうか?」
- ● 「適正な価格(沖式査定額:5,400万円)が分かれば、指値(値下げ交渉)を入れて、自分の予算内である5,500万円で強気に交渉出来るのになあ。。」
- ● 「どのサイトも適正な価格が分からないし、表示されていても、マンション単位で大雑把、お部屋毎に間取り、向き、階数を考慮されていない気がする」
住まいサーフィンの各物件詳細ページでは、お部屋毎に価格査定を行っています。
これにより、購入検討しているお部屋の「適正価格」を正確に把握することができます。
物件詳細ページの便利な活用方法は、下記の動画でさらに詳しくご説明しております。
「沖式マンション10年後予測」や「割安判定」は、会員であれば、無料で利用できます。
でもなぜ、住まいサーフィンに出来て、他のサイトには出来ないの?と疑問を持つかもしれません。
そこには、住まいサーフィンにしかない3つの理由があります。
住まいサーフィン独自の特徴
- 1.広告サイトではないため、売主への忖度が不要
- 2.サイト開設25年と老舗であるが故に、過去から蓄積されたビッグデータを保持・分析している
- 3.不動産業者、金融機関、REITといったプロにコンサル及び情報提供している精緻なデータを活用している
しかしなぜ、こんなに有用なデータを無料で公開するの?と怪しく感じる方もいるのではないでしょうか。確かに怪しいですよね。
その理由として、住まいサーフィンを開設した代表の沖有人が掲げる理念があります。
それは不動産売買における情報の非対称性を無くすことです。
昔から、不動産業者は売り手に不利益となる情報を隠すため、騙されて損をする消費者が後を絶ちません。
そんな消費者を減らすために、住まいサーフィンで購入に役立つ情報を無料公開し、理論武装してほしいとの思いがあります。
住まいサーフィンは、購入検討する全ての消費者に情報を活用してもらうため、有料ではなく無料で情報提供を行っています。
ただし、運営にはお金がかかります。
そのため、不動産業者や金融機関等の企業にコンサル提供を行い利益を得ることで、住まいサーフィンの無償利用を実現しています。
無料会員登録するだけで、全ての情報が確認できリスクなく始められます。
退会も簡単に出来ますので、まずは気軽に登録して、マンション購入を成功させましょう!
簡単無料登録はこちらから!
マンション購入に役立つコラム記事
- SUUMOとの違い
- 資産性とは?
- 購入メリット
- 購入の流れ
- 最適な購入時期
- 必要な初期費用
- 女性のマンション購入
- 独身のマンション購入
- 中古マンション失敗談
- 築20年マンション
- マンションと戸建て比較