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不動産取引では、契約時に『手付金』を支払うことが慣行となっています。
手付金等の保全措置は、購入者が安心して取引できるようにするための重要な手段です。
手付金の基本的な役割を理解し、保全措置について知ることで、より安心して取引を進めることできるでしょう。
この記事では手付金等の保全措置について詳しく解説します。
目次
1. 手付金とは?基本用語の解説
不動産売買における手付金とは
土地、一戸建て、分譲マンションなど不動産の売買契約締結の際、買主が売主に支払うお金が手付金です。
契約が成立したことを保証するための重要な役割を果たします。
不動産の売買契約時に買主から売主へ支払われるお金で、契約の成立と信頼性を示すものです。
手付金と頭金の違い
手付金と頭金と混同されることがありますが、意味合いが異なります。
- 手付金 = 売買契約の際、買主が支払うお金
- 頭 金 = 有無、金額の大小は人それぞれ
手付金は不動産の売買契約時に代金の一部として先に支払う代金のことです。
例として『3,000万円の物件を購入した時』を想定し、2つのケースをご紹介します。
ケース①手付金:300万円、頭金は手付金の300万円
契約時 手付金として300万円を支払
↓
決済時 頭金として300万円が処理
⇒ 残りの2,700万円を住宅ローンで支払う
ケース②手付金:300万円、頭金は手付金の300万円のほかに200万円用意
契約時 手付金として300万円を支払
↓
決済時 頭金として300万円+200万円が処理
⇒ 残りの2,500万円を住宅ローンで支払う
頭金は物件費用の内、前もって現金で用意できる金額であり、住宅ローンに含まれない金額となります。
頭金の大小は人それぞれであり、住宅ローン審査に通れば頭金0円でも不動産購入は可能です。
2. 手付金の役割と重要性
手付金が持つ3つの役割
不動産取引以外でも手付金は発生します。一般的に3種類の手付金があります。
手付金の種類 | 役割・意味合い | ||
---|---|---|---|
証約手付 | 契約が成立した証拠としての、契約成立を意味する手付金のこと | ||
解約手付 | 手付流し (買主) |
契約を解約する際、手付金を放棄することで契約を白紙にします ※買主都合の解約の場合、手付金は返金されないことが一般的 |
|
手付倍返し (売主) |
契約を解除する際、手付金の2倍の金額を買主に支払うことで契約を解除できる | ||
違約手付 | 契約内容に違反があった時に手付金が違約金として相手方に没収される |
不動産売買における手付金の位置づけ
- 不動産売買では契約してすぐに引き渡しを行うことができません。
そこで、その証明として、また売主、買主が簡単に契約を解除することができないようにするための意味合いが強いです。
不動産売買において、売買契約を締結した後、何らかの事情により契約を解除することがあります。
契約解除となった場合、手付金は損害賠償金、違約金として相手方に支払われます。
不動産取引においては「解約手付」としての役割を持つことが多く、買主側から契約を解除するためには手付金を放棄しなければなりません。また、売主側から解除するには、買主に手付金の倍額を支払う必要があります。
手付金の相場
不動産売買における手付金の相場は売買代金の5%~20%が一般的です。
上限額は物件価格の20%と定められています。
手付金の下限額は法律では決められていません。しかし、金額が小さすぎると売主・買主ともに解約しやすくなり、逆に金額が大きすぎると解約が難しくなり、解約手付としての意味をなさなくなります。
手付金についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
手付金の役割と相場、マンション購入のどのタイミングで支払うのかをご説明します。
3. 手付金等の保全措置とは?
それでは手付金等の保全措置について解説していきましょう。
不動産売買において物件の引き渡し前に買主から売主に支払われる「手付金」「内金」「中間金」等を第三者に保管させるなどの方法で保全することを言います。
注文住宅などでは手付金、内金、中間金等を物件引き渡し前に買主が売主に段階的に支払うのが一般的です。これらの売買契約締結後から物件引き渡しまでに買主から売主へ支払う金銭を「手付金等」と言います。これらの「手付金等」は最終的に代金に充当されます。
物件が完成して引き渡しが済む前に売主が倒産するなど不測の事態に陥った場合に、これらの支払った手付金等が返還されるための措置が「手付金等の保全措置」です。
保全措置を講じた後でないと手付金等を受領してはいけないケース
- ■ 未完成物件の場合 「代金の5%もしくは1,000万円」を超える手付金等を受領する場合
- ■ 完成物件の場合 「代金の10%もしくは1,000万円」を超える手付金等を受領する場合
例えば・・
〇3000万円の物件を購入した場合の手付金の保全措置
以下の金額以上の手付金であれば保全措置を講じる必要があります。
- ①未完成物件 3,000万円×5%=150万円
- ②完成物件 3,000万円×10%=300万円
これ以下の金額であれば保全措置を講じる必要がありません。
また、次のようなケースも手付金等の保全措置は不要です。
保全措置を講じる必要がないケース
- ■ 買主が所有権移転の登記を終えた場合
- ■ 取引が業者間の場合
手付金等保全措置の方法
保全措置の方法は下記の3種類があります。
保全措置の方法 | |
---|---|
1⃣保証委託契約 | 銀行等との連帯保証契約 |
2⃣保証保険契約 | 保険会社との保証契約 |
3⃣手付金等寄託契約及び質権設定契約 ※完成物件には使えるが、未完成物件には使えない |
指定保管機関等による保管 |
1⃣銀行、信託会社等との保証委託契約
銀行等に連帯保証人になってもらう方法です。
銀行などが買主に、連帯保証人になる旨を記した書面(連帯保証書)を交付した時点で保全措置が講じられたことになります。
売主が手付金等の返還債務を負った場合、連帯保証人である銀行などが代わりに支払うという制度です。
2⃣保険会社との保証保険契約
保険契約により手付金等の返還債務を売主が負った場合、買主は売主の代わりに保険会社へ保険金の支払い請求をすることができます。保険金という形で、手付金等に相当する金額を受け取ることができる制度です。
3⃣指定保管機関等による保管
売主は手付金等を指定保管機関である信用保証株式会社や宅地建物取引業保証協会等に預かってもらい、返還債務を負った場合に指定保管機関等が手付金等を買主に返還するという制度です。
手付金等の保全措置の必要性と目的
保全措置の必要性と目的は、契約解消の際に買主が支払った手付金等の安全な返還を確保すること、買主の権利を守ることです。
この保全措置は売主が宅建業者で、買主が宅建業者ではない一般消費者である場合にのみ義務付けられています。
【保全措置の目的】
- 〇 不当な契約、悪質な業者による搾取から買主を守る
- 〇 不測の事態において一方的に買主が損をしないようにする
不動産物件売買における手付金等の保全措置の重要性
手付金等の保全措置とは、買主が支払った手付金やその他の前払い金を安全に保全するための法律的な仕組みです。不動産取引において、売買契約が成立した後、何らかの理由で契約が解除された場合に備え、購入者の支払った金銭が適切に返還されることを保証します。
具体的には、保険会社や銀行等による保証などがあります。これにより、購入者は安心して取引を進めることができ、売主側も信用を得ることができます。保全措置を講じることで、万が一のトラブル時にも迅速かつ公正な解決が可能となります。取引の安全性を高めるために、保全措置は非常に重要な役割を果たしています。
手付金等の保全措置の具体例
それでは具体的に見ていきましょう。以下のようなケースで保全措置が重要な役割を果たします。
Q. 売主である不動産会社(宅建業者)が手付金等の保全措置を取っていない。けれど、土地・建物の売買契約は終わり、手付金の支払期限が迫っている。
A. 売主(宅建業者)が保全措置を講じないことを理由に、買主が手付金等の支払いを行わない場合、売主は買主に対して債務不履行責任を追求すること、売買契約を解除すること、違約金を請求することなどは出来ません。
よって、売主が保全措置を講じない場合は手付金等を支払う必要はなく、保全措置を講じたのちに支払いを開始するようにしましょう。
※保全措置が不要な場合を除きます。
Q. 売買契約後、売主が倒産してしまった。まだ、家は完成しておらず、完成の見込みもない。
売買契約時、売主に手付金を支払っている。手付金支払い時に売主より銀行からの連帯保証書を受け取っている。
A. 手付金の返還をしてもらうよう手続きを取りましょう。
手付金は保全措置が行われていますので、保証を行った銀行より手付金が返還されます。
4.まとめ
このコラムでは手付金の基本的な役割について、さらに手付金等の保全措置について詳しく解説しました。
より安全で効率的な不動産取引を行うためにもこういった不動産の基礎知識を備えておくことは大事なポイントになります。万が一の場合に不利益を被ることがないよう、しっかりと理解しておくことが大切です。
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