- マンション情報の住まいサーフィンTOP
- 住まいサーフィン研究所
- 駅・エリア
- ニッポンの自治体 - 気になる”まち”は、こんな街 -
- 東京都港区白金高輪の特徴
丘の上の高級住宅地、2000年開業の白金高輪駅周辺では高層マンション建設が続く
東京港区・白金(しろかね)は、誰もが認める都内で屈指の高級住宅街だ。南北朝時代(1336~1392年)、たくさんの銀(しろがね)を保有する「白金長者」と称された柳下上総助(やなぎしたかずさのすけ)邸があったことに由来する。邸宅があった場所は現在の国立科学博物館附属自然教育園で、現在でも館跡が残る。
1878年(明治11年)に芝区に所属するが、白金志田町・芝白金丹波町以外は荏原郡へ所属替えとなり、13年後、再び芝区に編入され、芝白金今里町、東名光、西名光、松久保、雷神下などをあわせて芝白金三光町となり、1947年(昭和22年)、港区が成立し芝の冠称を除き白金三光町となる。1967年(昭和42年)の新住居表示により、麻布新広尾町、麻布田島町、芝三田老増町、白金三光町、白金志田町、白金台町などをあわせて現在の「白金」となった。「白金」の名が付く町名は「白金」と「白金台」がある。
一方、港区・高輪は港区の南端に位置し、都心から郊外への境界にあたる地域である。北西で白金に接している。高台で縄手道、つまりまっすぐで長い道「高縄手道」を略して「高縄」と呼ばれ、これが転じて「高輪」になったという。この縄手道は、現在も二本榎通りとして残る。「縄手」というのは古代条里制の用語で、当時は田んぼの道を作るのに縄で測って区画していた。地名として“高輪”に落ちついたのは、江戸時代の上・下高輪町だとされる。明治になって総称としての上高輪町は姿を消す。
下高輪町は江戸時代に町奉行支配となり、高輪北町、高輪中町、高輪前町、高輪北横町、高輪台町などと、諸寺の門前(町屋)で構成されていた。明治になって高輪北町、高輪台町、下高輪町、高輪南町、芝二本榎町に集約される。1947年(昭和22年)、港区が成立、1967年(昭和42年)の新住居表示によって、芝二本榎町、芝君塚町、下高輪西台町、芝白金丹波町、芝車町、芝高輪北町、芝高輪南町、芝高輪台町などの全域と、芝伊皿子町、芝二本榎西町、芝白金猿町などの各一部が大合併し、現在の「高輪」となった。
現在では「シロガネーゼ」が住まう、閑静な高級住宅街として知られ、高級なホテルやマンションが建ち並ぶ。
東京メトロ白金高輪駅の開業で変わるエリア
白金台は都営地下鉄・三田線と東京メトロ南北線の白金高輪駅を中心に、東京都庭園美術館、明治学院大学から、都営地下鉄・浅草線の高輪台駅のあたりまでをカバーする。美術館や自然教育園などがあるためか、アカデミックかつ瀟洒な雰囲気が感じられるエリアだ。白金台より南の、明治学院大学付近には新しい高層マンション建設が続き、住民が増えつつあるエリアだ。
かつては白金エリアへアクセスする公共交通は、都営地下鉄・浅草線の高輪台駅しかない時代が長く続き、都営バスを利用するしかないエリアだった。都営地下鉄浅草線は西馬込を始点に、浅草や押上といった下町まで伸びており、新橋では新交通ゆりかもめやJR各線に乗り換えが可能だ。同じく新橋や日本橋で東京メトロ銀座線にも乗り換えができ、なかなか便利な路線だ。
東京メトロ南北線が2000年に開業し、白金台駅と白金高輪駅ができて環境は一変した。白金台駅には都営三田線も乗り入れ、三田や日比谷、日本のビジネス拠点である大手町へのアクセスも格段に便利になった。都営三田線は目黒駅で東急目黒線に乗り入れ、東急線沿線きっての高級住宅街の田園調布や、再開発のおかげで人気沸騰している武蔵小杉に行くこともできる。
2019年、着工した巨大再開発
当然だが、便利になった高級住宅地“白金”でも再開発が進んでいる。2019年8月に着工、2023年の完成を目指す「SHIROKANE The SKY」(白金 ザ・スカイ)は、白金1丁目東部北地区市街地再開発組合が白金高輪駅近くに新設する地上45階、地下1階、高さ156.1m、総戸数1247戸の超高層マンションだ。 建物は東棟(地上45階)、西棟(地上19階)、低層棟(地上4階)で構成するこのエリアで最大の戸数を誇る物件となる。総延べ面積は13万4710平方メートル。
東京建物、長谷工コーポレーション、住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャルが保留床として住宅部分の一部を取得して分譲する予定だ。設計は梓設計、施工は大林組・長谷工コーポレーションのジョイントで行なわれ、2023年3月下旬に入居が始まる予定だ。
高輪一丁目でも再開発が進む。「高輪一丁目共同建替計画」で、2019年8月に本体工事着手している。この再開発事業は、東京メトロ南北線、都営地下鉄三田線「白金高輪」駅から徒歩1分の立地にある、2棟の分譲マンションと隣接の3敷地を計画敷地として建設される35階建てのタワーマンションへの建替計画だ。事業主体はダイワハウスとなる。
港区の小中一貫校の先鞭「白金の丘学園」
このエリアの白金4丁目に、港区立の小中一貫校として先鞭をつけた「白金の丘学園」が人気だ。通学区域は南麻布2丁目~4丁目、高輪1丁目、白金1丁目~6丁目(2丁目は1番~5番)、白金台4丁目と5丁目の一部だ。2015年に港区立三光小学校、港区立神応小学校、港区立朝日中学校の3校が統合して誕生した一貫校である。小中学校の学習内容の接続を重視した新しい学習カリキュラムと一貫した指導により、柔軟で効果的な教育を行ない、子どもたちに新たな教育を提供するとして高い支持を得ている。外国籍の生徒も多い。
新しい公立校として設備も整い、学習環境に恵まれている。が、学区が高級住宅エリアらしく、小学校で学力のある児童はおおむね私立中学に進学するため、中学生の生徒数が少ない。かつ、それに伴って平均学力も下がる傾向にある。ただ、再開発で移り住む新しい住民の動向では、環境が大きく変化することも考えられる。