細野透の「赤信号・黄信号・青信号」 不定期
細野 透

[第73号]伊藤忠都市開発が「家族の変化に合わせて、間取りを変化できるマンション」

2023年03月01日

「コンセプトルーム」を2023年1月下旬にグランドオープン

 伊藤忠都市開発は、東京都・江戸川区・西葛西に建設中の新築分譲マンション、「クレヴィア西葛西(総戸数49戸)」のコンセプトルームを、2023年1月21日にグランドオープンさせました。

 このマンションの特徴は、「可動収納」や「T字型ウォールドア」などを採用することで、「家族の変化(STAGE)に合わせて、間取りを自在に変化できるプラン」を用意したことです(下図参照)。

 私は長い間、分譲マンションを取材してきたのですが、「間取りを変化できるマンション」という名前に接したのは初のケースでした (画像はすべて、伊藤忠都市開発のニュースリリースから引用)。

 

「間取りを変化できるマンション」の特徴

 「間取りを変化できるマンション」のプランは、次のような特徴を持っています。

 ①キャスター式で設置位置を移動できる「可動収納」と、
 ②住戸内の間仕切りを自在に変更できる「ウォールドア」とを組み合わせることにより、
 ③広々とした「1LDK」から、間数を増やした「3LDK」まで、
 ④「ライフスタイルに合わせた、プランの変更を可能にした」。

 

「住戸プランの一例」

 

「可動収納」とは

 次に示す写真には、キャスター式で設置位置を移動できる「可動収納」と、住戸内の間仕切りを自在に変更できる「ウォールドア」が示されています。

 この「可動収納」と「ウォールドア」を上手に組み合わせることで、広々とした「1LDK」から、間数を増やした「3LDK」まで、ライフスタイル に合わせて変更することが可能になります。

◼︎左側が「可動収納」、右側が「ウォールドア」。

 

「可動収納」の操作法

 

「ライフステージの変化」に伴う対応

 ライフステージの変化に伴い、「入居者が必要とする住まいの形」は変化していきます。

 例えば、暮らし始めた時には2人家族だった夫婦も、子どもが生まれて4人家族になったり、子どもが大きくなって個室が必要になることもあります。また働き方の変化などによって在宅時間が大幅に増えることも起こり得る時代です。

 こうした背景を踏まえて、「間取りを変化できるマンション」では、暮らし方と住まい方の変化を見据えて、フレキシブルに対応できる流動的な間取りの創造を実現しています。

◼︎「STAGE⁃⁃01」妻・夫30歳、子供無
 お互いに仕事は忙しいけれど、2人の時間も大切にしたい。

◼︎「STAGE⁃⁃02」 38歳、子供(幼児・小学生)
 子育てと仕事を両立させつつ、家族の時間も愉しみたい。

◼︎「STAGE⁃⁃03」 妻・夫50歳、中学生・小学生
 繋がりつつも、家族それぞれのプライバシーを大事にしたい。

 「STAGE01」から「03」まで3枚の図を眺めると、「家族の歴史」に触れさせてもらったようで、何か「ほのぼのとした感情」が湧いてきます。

 

細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。

建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。