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- 東京都新宿区代々木の特徴
歌川広重が「代々木村の代々木」として描いていた街
代々木という地名のエリアは、旧代々木村一帯の地域であり、東に明治神宮があり大山町、富ヶ谷、上原に囲まれたエリアだ。一般に南新宿駅、参宮橋地区も含めてこれら地域一帯が“代々木”と認識されることが多い。
現在、代々木1丁目にある「代々木駅」は、1906年(明治39年)に甲州鉄道の駅として開業、1909年(明治42年)に山手線の駅となった。
代々木という地名の由来は諸説あるが、明治神宮の御苑東門(旧彦根藩井伊家下屋敷)の近くに樅の木の大木が代々あったことからとされている。大木は高さ54m、幹の周囲は11mと推定され、江戸時代から旅する人にとって大切な目印だったという。二代目の歌川広重も『絵本江戸土産』に「代々木村の代々木」として描いている。
戦時中に消失した「代々木」名称由来の「樅の大木」
樅の木は、第2次大戦末期の1945年5月、米軍による空襲の際、日本側の高射砲で撃墜されたB29爆撃機が墜落・直撃して焼失したとされる。
焼失以前、1920年頃に撮影された樅の木の写真が見つかり、2017年6月10日から渋谷区東の國學院大学近くの区立白根記念郷土博物館で公開されている。
現在、その御苑東門近くには樅の大木と共に次のような立て札が掲げられる。
「この地には昔から代々樅の大木が育ち「代々木」という地名が生まれました。この前の名木『代々木』は昭和20年5月の戦禍で惜しくも消失しましたので、その後植継いだものであります」
小田急線の駅で乗降客数が下から2番目の「南新宿駅」
渋谷区代々木2丁目にある小田急線「南新宿駅」は1927年(昭和2年)、小田急線の開通とともに開業した駅だ。開設当時の駅舎は、現在よりも100mほど新宿駅寄りにあり、千駄ヶ谷新田駅という駅であった。その後、小田急電鉄本社が現在の小田急南新宿ビルに移転し、1937年(昭和12年)に「小田急本社前駅」と改称した。
しかし、第二次大戦中に小田急電鉄は東急電鉄と合併し本社所在駅ではなくなったため、1942(昭和17)年に「南新宿駅」とさらに名を改め、現在に至るというわけだ。その後、1973年(昭和48年)には、小田急新宿駅の改良工事に伴い、現在の場所に移転した。
南新宿駅は小田急線の各駅停車の停車駅で、隣の新宿駅からわずか800mにあり、JR山手線と中央総武線、東京メトロ大江戸線が乗り入れている代々木駅も500m圏内にあるという利便性の高い立地である。
小田急電鉄で1日の乗降客数が最多の駅は、もちろん新宿駅で約50万人/日だが、すぐ隣の南新宿はたった4000人ほどだという。店舗や住宅、予備校や専門学校、JR東京総合病院などに囲まれているのに、利用者が少ない駅なのだ。なお小田急線全70駅中で乗降客再開の70位は小田原線の足柄駅(神奈川県小田原市)で3984人/日。この駅は小田原線の終点である小田原駅のひとつ手前であり、少ない利用客であることも頷ける。しかし、69位が南新宿駅なのだ。
東京都の都市計画では、このエリアで教育・文化施設とともに、シェアオフィスなどの新たな機能を内包した業務機能の集積を誘導。業務機能が集積する地区や、ファッション・アートについて発信力を有する学校が立地する地区から明治神宮に繋がる緑豊かな街並みを擁した西参道エリアについては、新たな賑わい創出とインキュベーションの推進を図るとしている。
明治神宮本殿にいちばん近い駅「参宮橋」
南新宿から小田急線でひと駅、代々木4丁目に参宮橋駅がある。正月の初詣の季節には、明治神宮に訪れる参拝客のための臨時改札が設けられ、南参道で明治神宮本殿にアクセスできる。明治神宮本殿にもっとも至近の鉄道駅だ。新宿や原宿、初台などのビジネスマンや若者がひしめき合う街から徒歩圏でありながら、そんな周りの喧噪を一気に忘れるほど閑静で品のある住宅街といえる街だ。
春は桜、秋は紅葉が楽しめて、サイクリングコースやドッグラン、さらには季節ごとのイベントまで楽しめる首都随一の緑を抱える代々木公園も目の前だ。一年中生い茂る木々の中で美しい空気と歴史を感じられる明治神宮。そのどちらにも思い立ったら気軽に数分で行ける環境は捨てがたい。
代々木公園に近い、この代々木4丁目・5丁目エリアは、参宮橋駅のほか、地下鉄代々木公園駅、京王線初台駅なども利用出来る鉄道交通に恵まれた地域だ。
一歩、甲州街道を超えると新宿ビジネス街、注目の高層マンション計画
このエリアは京王線の初台、幡ヶ谷、笹塚、小田急線の代々木上原、代々木八幡、参宮橋の街が入り組んでいて、ひとつのエリアとして語られることも多いが、それぞれまったく異なった街の雰囲気を持つ。初台は暮らしやすい下町情緒も漂うが、オペラタワーをはじめとするバリバリのビジネス街とアートが交錯する街。代々木上原はエレガントで優雅な街並み。代々木八幡は人がエネルギッシュ。その中で参宮橋は一番「穏やか」という言葉が似合う街で、ちょうど良いベッドタウンといえる。
この地域と甲州街道で向かい合う西新宿3丁目には、日本の分譲マンションで最高階数となる高さ235m、65階建て、約3200戸規模もの大規模タワーマンションが誕生する。2022年工事が着工し、2029年度の竣工を目指す。場所は、新宿駅と初台駅の間の新宿区西新宿3丁目8~19番だが、詳細については稿を改める予定。