東京都新宿区の特徴
― ニッポンの自治体 ―
日本屈指で世界最大の鉄道ターミナル「新宿駅」を擁する特別区
新宿区は東京23区の中央やや西に位置し、千代田・港・文京・豊島・中野・渋谷の各区にそれぞれ隣接している。東西6.5km、南北6.3kmで、面積は18.22平方キロメートルで、東京23区中13番目の広さだ。地形は台地と低地からなり、豊島台地、淀橋台地、下町低地に分けられる。
豊島・淀橋台地は四谷・牛込・角筈・柏木・大久保・戸塚・落合などの台地で、各台地の間に下町低地が入り組む。区内最高地点は、都立戸山公園内箱根山の標高44.6m。台地の標高は30m程度の高台で、歌舞伎町にある新宿区役所の標高は32.55m。最も低いのは飯田橋付近の4.2mとなっている。
1991年(平成3年)から東京都庁が西新宿副都心にあり、東京都庁所在地だが、東京特別23区は、通常の市町村とは同格に扱われない。そのため都庁所在地の地名は慣例的に「東京」と表記される。
東京・新宿区のマンション
2018年、新宿区で販売された新築マンションは1360戸。新築マンション相場価格は8074万円~1億350万円だった。中古物件マンションの人気も非常に高く、中古のマンション相場価格は比較的落ち着いた価格から高価格帯の物件まで多彩で、3920万円~1億360万円。
東京23区でもっとも外国人が多く住む街
新宿区の住民基本台帳によると2020年1月現在の人口は、34万8452人で、うち12%を超える4万2598人が外国人だ。総世帯数は22万1720世帯。そのうち日本人だけの世帯数は18万7468世帯で、残る3459世帯が日本人と外国人の複数国籍世帯。3万793世帯が外国人のみの世帯である。
同区は東京都特別区でもっとも外国人が多く住む区であり、とりわけ中国人と韓国人が多い。
外国人の国籍は第1位が中国で1万5120人。第2位が韓国(朝鮮含む)で1万150人。第3位がベトナムで3042人、第4位がネパールで2909人となり、上位4カ国で過半数を占めるのが新宿区の特徴だ。残る国籍はさまざまだが、フランス人が787人と他の区に比してやや突出するのは、神楽坂周辺にフランス人が好んで居住するせいか。
また、単身世帯数の割合が62.6%で、23区内1位。65歳以上の単身世帯の割合も33.7%で1位だ。ちなみに23区平均は26.0%である。
戦後、旧四谷区・牛込区・淀橋区が合併して新宿区誕生
江戸幕府が開かれた1603年(慶長8年)の翌年に、日本橋を起点として東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道の五街道が定められた。各街道にはそれぞれ一定数の宿場が置かれた。 甲州街道は日本橋から甲府に至る幹線で、日本橋から最初の宿場・高井戸までの距離が長すぎた。そこで、その中間にあたる場所に宿場の設置が認められた。その宿場は、信州高遠藩・内藤若狭守が幕府に返上した下屋敷跡に置かれたこと、新しい宿の意味から「内藤新宿」と呼ばれ、新宿の地名の由来となった。
新宿区は、第2次大戦後の焼け野原から復興をスタートさせた1947年(昭和22年)3月、東京22区制施行に伴って、かつての四谷・牛込・淀橋の各区が統合して成立した。四谷、牛込の両区は1878年(明治11年)、東京府15区の区として誕生していたが、淀橋区は、豊多摩郡の淀橋町、大久保町、戸塚町、落合町に分かれていた。この4町が、1932年(昭和7年)10月に併合してできたのが、淀橋区である。ただ、この合併には歴史的文化的背景がまったく異なる地域の合併であり、なかでも牛込区住民の反対も大きかったとされる。
新宿発足以前の“街”淀橋・四谷・牛込の特徴
淀橋区が誕生したころ、新宿駅周辺は百貨店、映画館、劇場、カフェなどがひしめく繁華街に発展する。明治以降、山の手の繁華街として有名だった四谷、神楽坂にとって替わることとなった。
その淀橋区の名称は、成子村と中野村の間を流れる神田川にかかっている橋を餘戸、あるいは四所橋と呼んでいたことが由来で、そこから転じたとされる。また、寛永年間3代将軍・家光が休息した折りに、川の流れがよどんで見えるから「淀橋にせよ」といったという説もある。さらに、8代将軍・吉宗が山城国(現在の京都)「淀」にその景色が似ているので名付けたという説も残る。
甲州街道沿いの街、宿場の街として栄えた旧四谷区。明治時代に田園の住宅地として都市開発され、以降成熟した住宅地となった牛込地区は、先の戦災被害が比較的軽く、古くからの街並みが残っているなど、よき江戸の風情が残った地域である。神楽坂、早稲田、市ヶ谷などはすべて、住居表示未実施の牛込エリアである。
世界一の鉄道ターミナル「新宿駅」を擁する一大商業地
1日の乗降客数350万人といわれる交通インフラとして世界最大の鉄道ターミナル新宿駅があり、JR山手線・中央線などの各線のほかに小田急、京王、地下道で繋がる西武新宿線を含めて私鉄3線、丸の内線、都営新宿線、同大江戸線の地下鉄が乗り入れている。その他、新宿区内には東西線、副都心線など合計8線の地下鉄が走る。
また、百貨店4店舗をはじめとした商業施設の集積も銀座に並ぶ規模であり、新宿を代表する百貨店・伊勢丹新宿店は、百貨店日本一の売上を誇り、年間3000億円超の売上を単独で目指せる国内唯一の大型デパートだ。
早稲田大学や東京理科大学などの大学・学校も多い。大規模医療施設が集積しているのも新宿区の特徴で、主だった医療施設を挙げると、慶應義塾大学病院、東京医科大学病院、東京女子医大病院、国立国際医療研究センター戸山病院など、超一流医療機関が集中する。
このように新宿区は、大規模商業地、個性的な田園住宅地、歴史ある伝統の街、都庁のある学術・先進医療都市といった多面性、大都会の縮図のような街なのである。東京都庁を中心とする西新宿・副都心高層ビル街と、日本一の歓楽街・眠らない街・歌舞伎町があり、昼夜ともに圧倒的な存在感がある国際都市だ。
著:吉田 恒道(公開日:2020.01.24)
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