千葉県千葉市緑区の特徴
― ニッポンの自治体 ―
区民ひとり当たり都市公園面積が市内でもっとも広い「みどり」区
千葉市緑区は、千葉市の東南部に位置し、総面積は66.25平方キロメートルで、若葉区に次ぐ面積を有する行政区だ。区域の中心を東西にJR外房線が通っており、その沿線に市街地が点在する。緑区はその名とおり、自然環境に非常に恵まれており、豊かな自然を生かした公園が数多くある。区民ひとり当たり都市公園面積が千葉市の中でもっとも広いという特徴がある。
千葉県・千葉市緑区のマンション
2018年、千葉市・緑区で販売された中古マンション相場価格は1470万円~2870万円だった。
2019年1月現在、千葉市緑区の人口は、同市の発表によると12万9107人。総世帯数は5万3982世帯である。
緑区は江戸時代、生実藩の陣屋が置かれた中心地
千葉市緑区の歴史は古く、事実、緑区大金沢町字六通から、村田川流域北岸で縄文中期から晩期まで存続している唯一の貝塚が発見された。
1000年以上の歴史がある東光院の前身と言われる寺院跡からは、平安時代までに多く造られたとされる布目瓦が発見されている。この東光院は、かつて広徳寺と呼ばれ、平将門の叔父、千葉氏の祖である平良文の孫、平忠常が建立したと伝えられている古刹だ。
千葉市域は、江戸時代を通じて生実藩の領地であり、代々森川家が藩を治めた。その陣屋が置かれたのが緑区であり、藩の中心地として栄えた。
豊かな緑に囲まれた区域、農業地域と住宅都市の顔を持つエリア
緑区のシンボルとなっているのが、土気台地に広がる東京ドームの約22倍の広さの「昭和の森」だ。公園の一部が県立九十九里自然公園に指定され、豊かな自然環境が残されており、草花や樹木、野鳥や昆虫など多くの種類の植物や生き物を見ることができる。
公園内の展望広場から九十九里平野が一望できる。起状に富んだ地形から国際クロスカントリー選手権などの会場にもなり、市民はもとより市外からも多くの人々が訪れる公園だ。
一方、同区の中心部の鎌取地区には、ほたるの飼育の「泉谷公園」やスポーツ施設を兼ね備えた「有吉公園」もあり、多くの区民に親しまれている。
こうした恵まれた自然環境のもと、多くの山林、畑地、田地を保有しており、特にJR外房線の北側地区を中心に酪農、養豚、野菜栽培などの農業が営まれている。
全国に緑区は5つ、「元気な緑区大集合/全国緑区フォーラム」創設
その一方で、JR外房線沿線の鎌取・誉田・土気地区においては、土地区画整理事業が実施され、ベッドタウンとして年々宅地化が進んでいる。鎌取駅南部にあるおゆみ野や土気駅南部のあすみが丘では、1970年以降に土地区画整理事業が進められ宅地化が進み、人口の増加や商業施設が集結するようになった。
とくに、区役所のある鎌取地区を中心とした東南部土地区画整理事業も、2001年(平成13年)6月に換地処分が行われ、同区域は都心への交通アクセスの便利な京成電鉄千原線などにより、ベッドタウンとして発展する。
区の南部、市原市との境に位置する大野台地区では、先端技術産業を中心とする研究所や研究開発主導型工場を主体とした「土気緑の森工業団地」の整備が進み、次世代産業の育成に貢献するものと期待されている。
別項でも触れたが、全国政令指定都市の5市に「緑区」があり、もっとも古い緑区は1963年に誕生した名古屋市緑区、もっとも新しいのが2010年の相模原市だ。
名古屋市・横浜市・千葉市・さいたま市・相模原市の緑区がある5政令指定都市は、比較的自然が多く残るなかで、新しい街づくりが進み、人口も年々増加しているという共通点を持っているため、同じような環境を持つ5行政区が、全国規模で交流と連携を深め、共通するさまざまな課題に取り組み、個性豊かで活気に満ちた地域社会を築く事を目的に、「元気な緑区大集合/全国緑区フォーラム」を創設している。
著:吉田 恒道(公開日:2020.01.06)