京都府京都市東山区の特徴
― ニッポンの自治体 ―
京都でも独特の風情や歴史を持った、古くから京都を象徴する地域
東山区は、京都市東部にある、東山連峰と鴨川にはさまれた地域。その京都を代表する景観は、なだらかな東山の山並みと、清らかな鴨川の流れだ。その山と川の間に細長く展開するのが東山区だ。同区には古都・京都のエッセンスが凝集しているといっても過言ではない。
同区の北は三条通をもって左京区につながり、南は十条通の延長線で伏見区と境を接し、東山の山稜を越えると山科区となる。鴨川の西は中京・下京・南の各区となる。
区内東部は森林地域、西部は住宅地域、北部の東大路通と鴨川の間は繁華街で商業地域、南部の鴨川沿いは準工業地域というように多彩な地域特徴を持つ。
京都府・京都市東山区のマンション
2018年に京都府・京都市東山区で販売された新築マンションは不明。中古マンション相場価格は2450万円~7350万円だった。
2019年1月現在、東山区の人口は、3万5101人。総世帯数は2万132世帯である。京都全11区のなかで人口がもっとも少ない。また、全国政令指定都市のなかで65歳以上の高齢化率がもっとも高い。京都市の中で最も高齢化率が高く、31.2%(平成25年9月現在)3人に1人が65歳以上だ。
厳しい景観条例で建築規制実施、文化財と古い街並みが保存されるエリア
古い歴史のある東山地域は、794年の平安建都以前から発展した街だった。
平安時代に入ると、七条には後白河法皇の宮廷(御所)である広大な法住寺殿が、六波羅(五条大路から七条大路一帯)には、平家一族の邸宅が造られた。三十三間堂の名前で知られる蓮華王院は、後白河法皇の命令で平清盛が法住寺殿の一画に造り、贈呈した寺院である。
同区内には祇園や三条京阪周辺などの繁華街があり、鴨川左岸の平野部は古くから市街地化された。一方、東山の山麓には、清水寺など大規模な歴史的寺社が数多く建っている。
厳しい景観条例規制が敷かれているため、市内の他区で見られるような山間部の住宅開発は行なわれておらず、古い街並みが保存されているエリアだ。この趣ある街並みは、政治の中心が江戸に移った江戸時代に完成したといわれている。
東山区は豊かな自然景観や数多くの文化遺産に恵まれたエリアだ。国内外から、年間1000万人以上の観光客が訪れる街でもある。
東山区には、京都を代表する社寺が点在する。北の知恩院、八坂神社、法観寺、建仁寺、六波羅蜜寺、清水寺、妙法院、泉涌寺、東福寺などなど、いずれも歴史と豊かな文化財やすぐれた庭園をもち、四季おりおりの名所となっている。
大陸から伝来した数多くの伝統工芸
東山区は京都伝統産業の宝庫でもある。代表ともいえる清水焼は、奈良・平安時代にはじまったとされる。陶器の産地として発展したのは安土、桃山時代からであり、江戸時代にかけて数多く窯が築かれた。食卓用品、茶華道具、置物などがつくられているが、技術、技法の多様さ、華やかで整然とした美しさが特徴である。
同区内の伝統産業には、大陸から渡来したものも多い。が、扇子は9世紀ごろ日本で考案された。木製の桧扇、次いで紙扇が生み出され、奢侈な工芸美術品として王朝社会の日常生活に深く根ざし発達した。舞扇、能楽扇、茶扇、飾扇、そして涼をとる実用扇などがある。
京葛籠(きょうつづら)も東山で発展した工芸品だ。竹を割り剥ぎ、籠を編み、角にかやを張り、和紙を張る。さらに漆を施して仕上げるが、この間の工程は全部で15。主に婚礼用の衣装籠、呉服・茶道具両用籠等を中心に、乱れ籠、手文庫、小物入れなどがつくられている。最近では、相撲力士のまわしなどを入れる「明荷」と呼ばれる衣装箱にも利用されている。
東山区を象徴ともいえる京都の夏を彩る「祇園祭」は、日本三大祭のひとつに挙げられており、その歴史の長さ、豪華さ、そして祭事が7月の1ヶ月にわたる規模の大きさで広く知られる。祭のハイライトは17日に行なわれる33基の山鉾巡行である。
著:吉田 恒道(公開日:2019.12.26)