千葉県柏市の特徴
― ニッポンの自治体 ―
東京のベッドタウンとして戦後急速に発展、若いファミリー世帯が支える住宅都市
千葉県柏市は、千葉県の北西部に位置し、東西距離約18km、南北距離約15km、面積は114.74平方キロメートルと広大な自治体だ。
利根川を境に北は茨城県と接し、東は手賀沼を境界として我孫子市に接する。北端の利根川沿いの地域や、東端の手賀沼に近い地域は低地となっている。海抜が最も低い地点は手賀沼周辺低地で約5m、最も高い地点は市南端(台地部)で約32mである。
千葉県・柏市のマンション
2018年、千葉県・柏市で販売された新築マンションは357戸。同市で販売した新築マンション相場価格は不明。同市内の中古マンション相場価格は1330万円~5390万円。
2019年1月現在、千葉県柏市の人口は、同市の発表によると42万28人。総世帯数は18万9088世帯。県内で5番目の人口を持った自治体だ。30歳台人口の割合が高く、1ないし2人世帯が5割以上を占める。それでも千葉県上位4都市と比べると、3人以上の世帯割合が比較的多いのが特徴だ。柏市は、千葉県内都市のなかでは、比較的ファミリー世帯が多い地域であるといえる。
太平洋戦争終結まで、日本国内には「軍都」「軍郷」と呼ばれる都市・地域が存在した。千葉県では明治以来の陸軍の演習地であった習志野ケ原一帯がその典型だが、現在の柏市域もまた「軍郷」のひとつだった。
柏市域が「軍郷」となったきっかけは、1914年(大正3年)に勃発した第一次世界大戦だ。この大戦は、大型戦艦や航空機など、兵器の飛躍的な発達をもたらした。とくに、航空機は大戦中に大きく進歩する。日本においても、高性能な戦闘機の開発と飛行部隊の創設・組織化、開発・整備を進めた。
そのための飛行場建設を急ぐ陸軍は、畑地が大半を占める千葉県の東葛地域に着目。1938年(昭和13年)1月、柏飛行場が完成し、東京・立川から飛行第五戦隊が移転した。以後、柏飛行場は「帝都」防空の第一線の航空基地となった。
「つくばエクスプレス」の開通で住宅都市から学園都市へ大きくシフト
戦後、同市域は1954年(昭和29年)に東葛市として誕生し、同年「柏市」に改称した。
大正時代、北総鉄道(現在の東武野田線)開通により柏駅はターミナル駅となり、その駅を中心に周辺が市街地として発展した。1960年代より東京のベッドタウンとして成長し、1970年(昭和45年)、柏の街を一変させる大規模な再開発「柏駅東口市街地再開発事業」がスタートした。車と歩行者を完全分離する日本初のペデストリアンデッキ建設は、全国の自治体から注目を集めた。そのおかげで1970年代から柏駅周辺に複数の百貨店や大規模ショッピングセンターなど大規模商業施設が次々にオープンした。
2005年(平成17年)の首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスの開通で、市北部の「柏の葉地域」において東京大学、千葉大学のほか産学協働施設を中心とした文教地区が形成された。それを契機に郊外型ショッピングモールやマンション開発も活発化。柏の葉地域の活性化が大きく進み、学園都市としての顔をも持った街に変貌する。
政令指定都市移行を目指し周辺都市と合併交渉も
つくばエクスプレスが開通した2005年に沼南町と協議していた合併が成立、同町を柏市に編入。この結果、人口は約38万人(当時)、面積は約115 平方キロメートルに拡大、中核市に移行するための面積要件を満たし、2008年(平成20年)に県内で船橋市に次いで2番目となる中核市移行を果たした。
柏市広報によれば、2011年から千葉県北西部に位置する柏市、松戸市、野田市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市の6市で構成する「東葛広域行政連絡協議会」において、広域行政推進事業のひとつとして、協議会内に「政令指定都市問題研究会」を設置し、政令指定都市に関する研究を実施。柏市、松戸市との2市でも「政令指定都市研究会」を設立し、政令指定都市移行による効果や影響、意義などについて、より具体的な検証を行なっているという。
同市の中心となる柏駅にはJR常磐線、東武野田線(東武アーバンパークライン)が乗り入れ、JR上野駅からJR常磐線でJR柏駅にアクセスできる。また、東武野田線は東武船橋駅からのアクセスが便利。東京メトロ千代田線も早くから常磐線直通運転を行ない柏駅に乗り入れている。また、秋葉原駅から出るつくばエクスプレスで、柏たなか駅にアクセスできる。
著:吉田 恒道(公開日:2019.12.26)