兵庫県赤穂市の特徴
― ニッポンの自治体 ―
江戸元禄の城下町の佇まいが残る、赤穂義士のふるさと、そして塩の街
兵庫県赤穂市は、兵庫県の西南端、岡山県との県境にあり、南は播磨灘に面し、海岸線は瀬戸内海国立公園の一角を占める。忠臣蔵の故郷、塩の街として知られ、市内には、国指定史跡の赤穂城跡や赤穂義士ゆかりの史跡などが点在し、江戸元禄の香りや城下町の佇まいが数多く残っている街だ。また、瀬戸内海国立公園の美しい海岸線や効能豊かな赤穂温泉などがあり、これらの自然と歴史遺産が同市の大切な観光資源となっている。
気候は温暖で雨量が少ない典型的な瀬戸内海型だ。市域は、先土器時代などの古代遺跡が多く残る北部、河口デルタ上に発達した旧城下町の中心部、塩田の開発によって開かれた南部、天然の良港に恵まれた坂越地区の4つの特徴的なエリアに大別できる。市域のほぼ中央を名水百選に選ばれた千種川が流れる。
兵庫県・赤穂市のマンション
2018年、兵庫県・赤穂市で販売された中古マンション相場価格は1540万円~2100万円だった。
2019年1月現在、赤穂市の人口は、同市の発表によると4万7839人で、総世帯数は2万413世帯である。
同市市域は、全体の約60%が山地や丘陵で占められ、西播磨奥地に源流を持つ清流千種川が市北部の山間平地を南流し、市南部の低地中央部で播磨灘に注 ぐ。山地は西播山地に属し、起伏量200~400m程度と比較的起伏が小さく、高山・雄鷹台山周辺の山麓や坂越、御崎地区等に丘陵が分布する。低地は、千種川沿いの氾濫原と赤穂三角州が主である。市域総面積は126.88平方キロメートルだ。
北には緑の山々が連なり、南には瀬戸内海国立公園の美しい海岸線が広がる。 山陽自動車道や国道2号線などの各国道、JR赤穂線・山陽本線により広域交通アクセスも至便な街である。
JR線は、新快速電車が朝夕直通運転しており、京阪神から乗換することなく播州赤穂駅へ直結し、大阪駅から約90分、三ノ宮駅から約70分でアクセスできる。車を利用する場合、吹田ICから約90分、神戸JCTから約70分で山陽自動車道赤穂ICにアクセスする。
弥生時代から始まった「赤穂の塩」製塩
先土器時代から古墳時代の遺跡が有年地区で多く発見され、東有年・沖田遺跡は弥生時代中後期、古墳時代後期の竪穴住居などから、相当規模の集落があったとされる。
弥生時代中期には塩屋堂山に農耕集落が形成され、“赤穂塩”として全国にその名を知られる製塩の歴史は、この頃から始まった。
江戸時代、1661年(寛文元年)に赤穂城築城。城下町として発展する。同時に、塩田開発が活発化し、塩の生産を基礎とする藩の経済政策が確立した。
同時に400年前(1616年)に敷設され、現在でも市内の随所にその遺構が残る赤穂上水は、神田上水(東京)と福山上水(広島)とともに日本三大上水とされている。
赤穂義士伝の街は、交通網の整備とともに発展
明治に入り廃藩置県によって、赤穂藩は赤穂県、姫路県、飾磨県を経て兵庫県に編入された。同市は1951年(昭和26年)、赤穂町、坂越町、高雄村が合併し、市制施行し赤穂市が誕生した。同年、国鉄赤穂線相生播州赤穂間開通する。1955年(昭和30年)、有年村を赤穂市に編入、ほぼ現在の市域となる。1972年(昭和47年)に山陽新幹線運転開始される。
昭和40年代、イオン交換樹脂膜法へ製塩方法が転換され、市南部を中心にあった広大な塩田が姿を消す。東浜塩田は文教住宅地と赤穂海浜公園用地として、西浜塩田は臨海工業用地として活用された。1968年(昭和43年)に住居地域と工業地域の遮断緑地として赤穂城南緑地の整備が開始される。
義士親善友好都市交流会議(通称:忠臣蔵サミット)が1989年(平成元年)創設。全国30を超える市区町自治体が加盟する。赤穂市の呼びかけで、全国の「赤穂義士ゆかりの地」となる自治体が、親善と友好を深めながら情報を交換。地域の活性化と発展向上のために相互協力していくことを目的に創設した。毎年、開催される忠臣蔵サミットは加盟自治体のひとつが開催地となっている。
著:吉田 恒道(公開日:2020.01.06)