埼玉県蓮田市の特徴
― ニッポンの自治体 ―
豊かな自然に恵まれた農業都市であり住宅都市でもある「はすだ」
埼玉県蓮田市は、埼玉県の東部、中心地は海抜15.8m、東経139度39分56秒、北緯35度59分27秒に位置し、東西約4km、南北約15km、総面積27.28平方キロメートルの細長い形をした自治体だ。農業都市、あるいは住宅都市として二面性のある顔を持った市だ。
埼玉県・蓮田市のマンション
2018年、埼玉県・蓮田市で販売された新築マンションは168戸。同年、同市内の中古マンション相場価格は2030万円~2660万円だった。
2019年1月現在、蓮田市の人口は、同市の発表によると6万1961人。総世帯数は2万6005世帯だった。
現在、蓮田市は東京都心からわずか40km圏内にありながら、元荒川や黒浜沼など豊かな自然環境に恵まれたエリアだ。
江戸時代からの田園地帯は、明治の鉄道敷設・駅開業で発展
江戸時代、蓮田には見沼代用水が引かれ、稲作が盛んに行われる田園地帯となった。その後、明治時代になり、1885年(明治18年)7月、日本鉄道(現在のJR宇都宮線)が敷設され、蓮田駅が完成したことで大きく発展した。
1889年(明治22年)に町村制施行により、綾瀬村・黒浜村・平野村・河合村が成立した。1934年(昭和9年)に綾瀬村が蓮田町に変更。戦後の1954年(昭和29年)に、蓮田町と黒浜村・平野村が合併して新しい蓮田町が誕生した。
1960年代から高度成長の波に乗って人口が急増、ベッドタウンとして発展して、1972年(昭和47年)10月1日に、市制を施行した。以降、東北自動車道蓮田サービスエリア周辺に工場の進出も盛んになり、現在では化学、建設資材、電気機器、食器、金属などの工場が立地する。2012年、蓮田サービスエリアにスマートインターチェンジが設置された。
明治期から蓮田特産の「梨」の生産が本格化
また、明治28年ごろから平野地区で栽培が始まった特産物の梨は、8月中旬から収穫される「幸水(こうすい)」、9月上旬から出荷が始まる「豊水(ほうすい)」、そして10月に収穫期を迎える「新高(にいたか)」まで、秋の味覚が楽しめる。いずれも大きくて甘いと評判が高く、埼玉県でもトップレベルの栽培面積を誇る。
周辺自治体と合併を模索するも、いずれも完遂できず
蓮田市は、南埼玉郡白岡町・菖蒲町との合併を目指して協議し、市名を「彩野市(あやのし)」とすることまで決まったが、2005年(平成17年)の住民投票で、蓮田市と南埼玉郡菖蒲町で反対派が過半数を占めたため合併は白紙撤回された。
また、南埼玉郡白岡町は久喜市、北葛飾郡栗橋町・鷺宮町、南埼玉郡菖蒲町との合併協議に参加するも2007年に離脱。
一方、蓮田市は新合併特例法の期限である2010年3月末までに、白岡町との合併を目指すことを決め合併協議会を設置し、新市名を「白岡蓮田市」とすることを決め、新市の役所は当面は蓮田市役所とすることとした。
これにより合併期日は2010年(平成22年)3月22日と決定するも、2009年(平成21年)5月に、白岡町の町民意向調査結果で、合併に反対・慎重の意見が約7割を占めた。そのため、白岡町が合併協議会から離脱し、事実上の白紙撤回となった。
これら合併構想とは別に、春日部市・蓮田市・白岡市・南埼玉郡宮代町・北葛飾郡杉戸町の3市2町で、埼玉県東部中央都市連絡協議会を組織し、図書館などの公共施設相互利用や災害時の相互援助や避難場所の相互利用について防災協定を締結している。
また、行田市・加須市・羽生市・久喜市・蓮田市・幸手市・白岡市・宮代町・杉戸町の医師会および自治体、「地域医療再生計画」への提案を行なった実施事業者、埼玉県加須保健所、埼玉県幸手保健所で構成するメンバーが、「埼玉利根保健医療圏医療連携推進協議会」(とねっと)を組織し、複数医療施設にまたがる医療情報を共有化して、住民(患者)を中心とした一貫性のある医療サービスを提供している。
著:吉田 恒道(公開日:2020.01.06)