埼玉県さいたま市桜区の特徴
― ニッポンの自治体 ―
政令指定都市「さいたま」のなかで田園風景が広がるエリア
さいたま市桜区は西側に荒川が流れ、さくら草公園や秋ヶ瀬公園、荒川総合運動公園などが自然豊かなグリーンベルトを形成している。都市化の進んださいたま市のなかで、田園の面影を残した地域である。同区東部や南部は住宅地が中心の市街地となっており、国道17号新大宮バイパスに沿って、流通業務施設や工場が立地する。
埼玉県・さいたま市桜区のマンション
2018年、埼玉県・さいたま市桜区で販売された新築マンションは不明。同区内の中古マンション相場価格は、1750万円~3360万円だった。
2019年1月現在、さいたま市桜区の人口は、さいたま市の発表によると9万6010人。総世帯数は4万5365世帯だ。同区の総面積は18.64平方キロメートル。
特別天然記念物の田島ヶ原サクラソウ自生地もある田園都市
同区内の荒川河川敷には、国指定特別天然記念物の田島ヶ原サクラソウ自生地、ハンノキ林などの樹林地など自然環境が良好な状態で存在し、さらに水田や畑などの豊かな田園風景も残る。まさに区名は、田島ヶ原のサクラソウ自生地がある事に由来するものであり、歴史上の地名に基づくものではない。なお、サクラソウはサクラソウ科、サクラはバラ科の植物であり、それぞれはまったく異なる種である。
さいたま市では、貴重な植生を維持するため、外来植物の除去や草焼きなどを実施している。
また、大久保古墳群や神社仏閣、田島の獅子舞や宿・神田の祭ばやしなどの歴史文化資源も豊富だ。
都市基盤として重要な区内の幹線道路は、東西方向に埼大通り(国道463号)が横断し、南北方向には新大宮バイパスが走っている。また、鉄道駅としては区の南端部に1973年に開通したJR武蔵野線の西浦和駅があり、区境に近接して1985年に完成したJR埼京線の南与野駅、中浦和駅がある。
1960年代後半に国立埼玉大学が移転、そこを拠点とする文教地区
桜区は、さいたま市内南西部に位置し、旧浦和市の大久保地区と土合地区の一部からなっている。このふたつのエリアは、ほぼ明治時代に自治体として確定しており、1955年(昭和30年)、人口急増を機に浦和市に併合。その後の大宮、浦和、与野の平成の大合併を経て、2003年の政令指定都市施行にともなって、大久保地区と土合地区を基盤とする桜区が誕生した。
1964年から1969年にかけて国立大学法人・埼玉大学が浦和市内常盤(現在の浦和区)から桜区中央部の下大久保に移転した。埼玉大学は文理5学部(教養・教育・経済・理学・工学)と3大学院研究科(人文社会科学・教育学・理工学)からなり、キャンパスでは約1万人の学生・教職員が、さまざまな研究・活動を行なっている。
また、区内の道場地区には、区役所や図書館、ホールなどが複合的に集積したプラザウエストが整備され、桜区の文化活動や市民交流、生涯学習システムなどのサービス拠点として機能。隣接する総合体育館とあわせて多くの区民に利用される施設となっている。
西浦和駅西側の田島7-8丁目地区は、さいたま市の産業集積拠点として選定され、権利者との調整や各種調査・設計、区画整理事業が進められている。今後、企業の誘致が行なわれる予定。
また、西浦和駅北口の街づくり事業も検討されている。加えて、西浦和駅南側では田島団地の建て替え工事が予定される。
著:吉田 恒道(公開日:2019.12.26)