東京都中央区の特徴
― ニッポンの自治体 ―
超都心は、銀座、京橋・八重洲、日本橋、月島など多彩な個性派エリアで構成
東京・中央区は、その名のとおり東京23区のほぼ中央に位置し、両国橋下流の隅田川右岸に沿って帯状に広がったエリアだ。大部分が江戸時代以降の埋め立てで生まれた土地で、標高1~3mと区内全域で傾斜はなく区域は平坦な土地だ。
江戸開府以来400年にわたって日本の文化・商業・情報の中心として発展してきた、まさに“日本の中心”である。
江戸五街道の起点で日本国道路元標のある「日本橋」、日本一のショッピングストリート「銀座」、日本のウォール街「兜町」、江戸文化を今に伝える「歌舞伎座」、食のまち「築地」、東京の表玄関「八重洲」、下町情緒とウォーターフロントが融合する「佃・月島・晴海」など、数多くの魅力的なスポットが凝縮した東京を代表するビジネス、ファッション、観光都市である。
東京・中央区のマンション
2018年、東京・中央区で販売された新築マンションは848戸。ここ数年、同区内のマンション供給戸数は全般に多く、都心志向のマンション需要が根強いことの証明といえる。同区で昨年販売した新築マンション相場価格は6897万円~1億954万円だった。中古物件マンションの人気も非常に高く、中古のマンション相場価格は4480万円~1億4420万円と、高値で安定している。同区内に低層住宅はほとんど存在せず、住民住居は高層マンションが中心である。
同区内定住人口は1990年代に7万人台まで減少したが、2013年に1967年以来の13万人突破を果たした。2019年9月現在、同区発表の人口は16万6541人で、外国人は8236人だ。この定住者人口は、23区のなかで千代田区に次いで少ない。世帯数9万3950世帯だ。
東京中央区は、江戸開府以来、400年以上にわたり日本の文化・商業・情報の中心として発展してきた由緒ある街だ。戦後の1947年(昭和22年)、東京22区制施行に伴い、京橋区と日本橋区が統合となり中央区が誕生した。
中央区は、千代田区、港区と並び“都心3区”を担っている。面積は10.094平方キロメートルで、東京23区で台東区に次いで2番目に面積が小さな特別区だ。同区の北端は竜閑川跡、西端は外堀跡および日本橋川、南端は汐留川跡だ。東端は江東区と接する隅田川が流れている。その隅田川は下流でふたつに分かれ、中州には中央区・佃島や月島、勝どき、豊海町、晴海がある。同区南東部で東京湾に接する。
日本屈指の商業地区「銀座」、金融都市機能でもある「日本橋」
日本有数の繁華街である銀座。世界的にも有名で屈指の高級商業地だ。銀座は中央区の西部に位置し、北側から銀座1丁目、港区新橋に接する銀座8丁目までで構成する。なお、江戸城外堀を埋め立てた東京高速道路の1・2階部分はコリドー街などの商店街となっているが、行政区画が未確定な部分もあり、俗に銀座9丁目・銀座西◎丁目地先などと呼ばれる地区もある。銀座4丁目と5丁目を除き、1番地が存在しない。
日本橋は中央区の日本橋川にかかる橋で、日本の道路元標があり、国道の始点となっている。旧日本橋区は日本銀行本店や東京証券取引所などが立地する日本の金融中心地である。徳川家康が江戸に幕府を開き、商人の街として開発されたのがこの日本橋周辺の地域だ。前述したように日本橋がかかり交通の要所として定められ、現在の三越の前身である越後屋、白木屋などの大店が集まった。
関東大震災で甚大な被害を受けた日本橋界隈は、土地区画整理事業によって河川や道路拡幅などの改修がなされ、昭和通りや浜町公園などができた。先の大戦でも同エリアの大半を消失するも、東京都の主導により日本橋区と京橋区が合併する。が、日本橋区は他区との合併に難色を示し、統合後も日本橋の名前だけは残すとの意向から、町名に日本橋を冠することとする項目が盛り込まれ、日本橋エリアのすべての町名に日本橋が冠称された。現在中央区のおよそ北半分の地区に見られる数多くの「日本橋◎◎町」という町名は、中央区発足時の町名変更の名残だ。
現在、日本橋エリアには三越やCOREDO、三井不動産本社をはじめとした三井グループのビルが建ち並び三井村と称されている。2005年には重要文化財である三井本館の隣に大型複合再開発ビル「日本橋三井タワー」が完成した。
五輪選手村誘致でわく、臨海部
2000年代になって勝どきや月島などの同区臨海部で超高層タワー型マンション建設が進み、同区内の晴海4丁目に建設される2020年開催の東京オリンピック選手村は永続的な遺産(レガシィ)として教育、スポーツなどの活動を推進する施設として利用。オリンピック参加選手の居住施設は、オリンピック終了後に住宅に転用される。
充実した交通インフラ。昼間人口は4倍以上に達する活気溢れる街区
ただし、中央区は佃や月島、人形町や浜町のような下町情緒にあふれたエリアや、日本橋や銀座といった日本を代表する大商業地区や、エネルギッシュに日本経済を牽引する八重洲のようなビジネス街など、実に多彩な街で構成されており、同区外からの通勤・通学者の流入で昼間人口は60万人以上に膨れあがる。
充実した交通インフラネットワークも同区の特徴だ。銀座線や丸ノ内線など9本の地下鉄が走り、同区内に29の地下鉄駅が存在する。ただ、中央区内に所在する駅はすべてホームやコンコースなどが地下にある。地上に鉄道駅舎がまったく存在しないのは、東京23区ではこの中央区のみである。
一方、高層マンション建設などで住宅開発が進む勝どき・晴海地区などは、都営地下鉄大江戸線「勝どき駅」だけが運用されており、人口の増加に対応した鉄道整備が課題となっている。また2020年の五輪選手村は、東京オリンピック・パラリンピック終了後にマンションとして分譲が決まっている。ただし、公共交通未整備エリアであるのが現状だ。
著:吉田 恒道(公開日:2020.01.24)
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