東京都品川区の特徴
― ニッポンの自治体 ―
江戸期、東海道有数の宿場町だった品川、その近未来は国際的ビジネス街区
東京都品川区は、東京都の南東部に位置し、北は港区、渋谷区、西は目黒区、南は大田区、臨海部の東は江東区に接する。また、区内は大きく分けて、品川地区、大崎地区、荏原地区、大井地区、八潮地区に分かれる。総面積は22.84平方キロメートルである。
東京都・品川区のマンション
2018年、東京都・品川区で販売された新築マンションは1721戸。同区で販売した新築マンション相場価格は5537万円~9792万円。中古物件マンションの人気も非常に高く、中古のマンション相場価格は4130万円~1億3440万円と高値を保っている。
2019年1月現在、品川区の人口は39万4700人で、22万678世帯。うち外国人は1万3042人、外国人だけの世帯は7117世帯だ。同区の人口は、東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)の41万5728人をピークに減少、約30年で25%減となった。しかし、1998年(平成10年)で底を打ち、増加に転じている。
現在、区内には、JR東日本(5路線・8駅)、東京急行電鉄(3路線・15駅)、京浜急行(1路線・6駅)、 都営地 下鉄(2路線・4駅)、東京メトロ(1路線・1駅)、東京モノレール(1路線・2駅)、東京臨海高速鉄道りんかい線(1路線・4駅)の14路線が縦横に走り、延べ40の鉄道駅がある。ただし、品川駅の所在地は東京都港区となる。
区内の道路としては、第一京浜国道と第二京浜国道が南北に走り、それを補完する幹線道路として中原街道、池上通りが走る。一方、東西を結ぶ幹線道路は山手通りしかないため、区の中央部を東西に横断する補助26号線(都道)の早期完成が強く望まれる。
江戸時代、東海道の宿場として発展した品川
同区域に人が暮らし始めたのは、6~7千年前の縄文時代早期だとされる。武蔵野台地の東端にあたる品川区では、縄文時代の貝塚遺跡が発見されているからだ。なかで大森貝塚は、1877年(明治10年)にアメリカの動物学者E・S・モース博士によって発掘調査が行なわれた全国的に知られる遺跡だ。区内には、弥生時代や古墳時代以降を含めると24カ所の遺跡が存在する。
江戸時代、品川は五街道で最も交通量が多い東海道の最初の宿場として栄えた。品川宿は、江戸四宿のうち唯一海に面した宿場であり、名所や魚介類の名物が多く、風光明媚な地として、江戸の人々が訪れる場所だったという。
明治時代には、日本最初の鉄道が敷設され、官営品川硝子製造所が設立されるなど、京浜工業地帯の発祥地となる。関東大震災以降も復興開発が進み、田畑が宅地や工場へとかわり、私鉄も開業、区域全体が都市化する。
第二次世界大戦の大空襲で区域の多くが焼け野原となったが、戦後の復興も素早かった。近年では、工場跡地などの再開発により新しい街が建設されている。
個性的で特徴ある街区が広がる「しながわく」
冒頭で述べたように、同区は大きく分けて、品川地区、大崎地区、荏原地区、大井地区、八潮地区があり、5地区でそれぞれ特徴がある。
品川地区は、品川駅周辺や臨海部を中心に整備された商業地などの「新しさ・先進性」の魅力と、旧東海道品川宿の街並みなど「伝統・歴史性」の魅力を併せ持つ。一方、天王洲アイルや品川シーサイドフォレストには、オフィスビルが建ち並ぶ。
大崎地区は、新宿・渋谷・臨海部などの副都心と鉄道でダイレクトに結ばれた、職・住・遊・学の拠点。高層ビルが立ち並ぶ複合高層ビル群。一方で池田山や島津山などの高台は閑静な住宅地で、良好な住環境となっている。
大井町駅周辺には商業施設やホテル、文化施設、高層マンションなどが集積した区の中心拠点。
荏原地区は、戸越銀座や武蔵小山、中延などの活気ある商店街が、まちの賑わいを支え、住民の日常生活にとって至便な街だ。
八潮地区は、計画的につくられた「八潮パークタウン」に代表される新しい街だ。みどりと水辺に囲まれた住み良い街区である。
「日本の成長を牽引する国際交流&ビジネス拠点」が生まれる
品川駅周辺の近未来を語るうえでのトピックがある。品川駅は2027年に開業予定のリニア中央新幹線の始発駅となることを受けて、2015年、東京都が発表した「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2014」だ。
表紙・目次を除いた本文・資料でPDF書類A4・100ページに及ぶ膨大な報告書だ。このなかで東京都は、同地域の将来像を正式に示した。このガイドラインによると、同地域を「今後の日本の成長を牽引する国際交流&ビジネス拠点とする」としている。
同時に品川駅西口・北口の再開発計画も示され、品川駅そのものが一新される模様。現在地上2階ほどの高さにある京浜急行品川駅は地上に設置して2階部分は京急・JR・新幹線・リニア線をつなぐ一大歩道デッキとなる。
そのため周辺の鉄道駅からの徒歩移動を考慮し、この歩道デッキは品川および山手線新駅、そして地下鉄泉岳寺駅まで繋ぎ、人の回遊性を高める計画だ。
著:吉田 恒道(公開日:2019.12.25)
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